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#SF

あきかん【短編小説】

あきかん【短編小説】

はじめてそれが置かれていたのは、去年の冬だ。
かなり冷え込む夜だった。
俺が日雇いの仕事を終えて、寝床にしている公園のベンチに帰ると、見慣れないものが置いてあったんだ。

空き缶だよ。
缶詰とかが入ってる口の広い缶に、雪が山盛り盛られてた。
勿論ゴミだと思って捨てたさ。

だが、次の日も次の日も、全くおんなじものがベンチに置かれてる。
こりゃ誰かが意図的に置いているとしか思えない。明日も置かれ

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天国【短編小説】

天国【短編小説】

あたりは真っ白な靄に包まれている。
しかし、寒いという事はない。けれども暖かいというわけでもない。
強いて表現するのであれば「快適」という言葉が適当だろうか。どちらにせよ此処は、そんな概念とは無縁な場所であるように思えた。
次第と頭がハッキリしてくる。
そうだ、私は死んだのだ。という事は、此処は死後の世界という事で間違いないだろう。

私はかつて勇敢な軍人であった。
自分で言うのもおかしな話だが

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りんご【短編小説】

りんご【短編小説】

「しかし、こんなご時世なのに仕事にありつけて、ほんとよかったな」
「ああ。失業支援制度のお陰だよ。一体何人の労働者が救われたことか」

公園のベンチに二人、労働者風の男が並んで座っている。

「所でお前は今どんな仕事をやっているんだ?」
痩せこけて、落ちくぼんだ目をした男が聞いた。

「リンゴをハ当分に切るだけの作業さ。そんなにやり甲斐のある仕事ではないよ」

それに対し、無精髭を生やした

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ある異世界【短編小説】

ある異世界【短編小説】

少年はありきたりな朝を迎える。
16か17か、そこらの少年。場合によっては青年と表現しても良いやもしれない。
ただ、先ず結論から述べておくと、この少年は決してありきたりではない。
もちろん見て分かる通り、少年自体は普通の少年だし、身体や精神に特異なものがあるというわけでもない。
彼の、生い立ちというか、そういうなにかが特殊なのだが、その異変もまたつい最近起こった出来事であった。

少年は着替えを済

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最悪な寝相【短編小説】

最悪な寝相【短編小説】

「つまり、寝相がとても悪いからそれを治して欲しい… と」
白衣の男がカルテを片手にそう問うた。
「はい」
「しかし君ね、人間寝ている間多少は動くものなのですよ。寝返りが多いくらいの方が健康ってなもんですよ」
「いえ、寝返りとかそういう可愛い問題じゃあないのですよ。起きたら全く知らない場所にいる、というような事が度々あって……」
「ほう、では夢遊病というやつでしょうな」
「そういうわけでもないんです

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