世田谷美術館×アートネットワーク・ジャパン 新企画を実施します!
世田谷美術館×アートネットワーク・ジャパン Performance Residence in Museum 2022-23
世田谷美術館とNPO法人アートネットワーク・ジャパンは、身体表現やパフォーマンス表現を行う若手アーティストを対象としたアーティスト・イン・レジデンス(AIR)プログラムを実施します。アーティストの創造環境・活動のフィールドを拡張し、幅広い視野で自身の作家性を追求し表現する、次代を担う若手アーティストの支援・育成を目的にしています。
2022年度は、作曲家・演出家の額田大志が、11月から2023年3月までの期間に計15日間世田谷美術館に通い、〈ボーダレスな音〉をキーワードに様々なリサーチや実験を行います。額田はコンテンポラリーポップバンド『東京塩麹』と演劇カンパニー『ヌトミック』を主宰し、パフォーミングアーツの枠組みを拡張する作品を発表しています。また、国内外の様々なアーティストとのコラボレーションにも積極的に取り組み、多方面から注目を集めている、世田谷区出身・在住のアーティストです。幼い頃から今まで〈場づくり〉に強い関心があると語る額田が、芸術鑑賞の原体験を得た空間の一つでもある世田谷美術館で自身の表現手法を見つめ直し、この場所でしかできないチャレンジを行います。滞在終了後には、今後のプログラム設計に活かすための多様なフィードバックをお願いしています。
滞在期間中は、活動の様子をどなたでも見学して頂けるオープンデーを設けるほか、2023年3月5日(日)には、滞在報告会を一般公開します。(詳細は後日発表)
プログラムの特徴
若手アーティストによる実験的な創造活動を支援
滞在アーティストは、3年以上の活動実績があり35歳以下、もしくは活動を始めて15年以内の方を対象としています。コラボレーションワークや地域とのかかわりを通して、表現の〈越境〉や〈拡張〉に意識的に取り組むアーティストの活動を支援します。
美術館に滞在するからこそできる、対話や実験を重視
アーティストの活動計画立案から滞在中のリサーチや活動を、担当学芸員・プログラムディレクター・コーディネーターがそれぞれの専門性を活かしてサポート。その他にも、アーティストの関心に応じて、美術館で働く人、訪れる人などとの対話や交流の場を設けます。
アーティストプロフィール
額田大志(ぬかた・まさし)
作曲家、演出家。1992年東京都出身。東京藝術大学在学中にコンテンポラリーポップバンド『東京塩麹』結成。FUJI ROCK FESTIVALの出演など、現在までリーダーとして精力的に活動。また2016年に演劇カンパニー『ヌトミック』を結成。「上演とは何か」という問いをベースに、音楽のバックグラウンドを用いた脚本と演出で、パフォーミングアーツの枠組みを拡張していく作品を発表している。
プログラムディレクターコメント
演劇やダンス・音楽・美術・映像といった表現ジャンルの枠を超えて、若しくはそのどれでも無いような、或いはどれでもあるような表現に、アーティストが果敢に挑戦する動きが加速しています。その一方でここ数年の東京では、実験的・越境的な活動を積極的に支援してきた施設のいくつかが、閉館を余儀なくされました。そうした状況やコロナ禍の到来がきっかけとなり、世田谷美術館とアートネットワーク・ジャパンが共同で企画したのが「Performance Residence in Museum」です。いずれは海外を拠点とするアーティストも対象とし、滞在アーティストを公募する形に発展させたいと考えています。今年度、世田谷美術館に滞在していただく額田大志さんとは滞在前後もミーティングを重ね、今後のプログラムを検討するメンバーにも加わって頂きます。アーティスト・美術館・NPOが共につくるアーティスト・イン・レジデンスプログラムに、ぜひご注目ください。
米原晶子(NPO法人アートネットワーク・ジャパン)
担当学芸員コメント
世田谷美術館では開館以来、ユニークな建築空間や館外の自然環境を活かし、音楽・演劇・ダンスなどパフォーマンスのプログラムを多数展開しています。2005年から2021年にかけては、エントランスを舞台に実験的なパフォーマンスシリーズである「トランス/エントランス」を開催し、若手アーティストの支援や美術館空間の可能性を模索してきました。これまでの活動をふまえ、本企画では、当館の空間的特徴以外にもアーティストに着目してもらい、より創造的な試みとなることを目指します。展覧会や収蔵作品との出合いはもちろん、定期的に集うボランティアや講座の受講生、インターンの学生、団体来館で訪れる子どもたち、初めて足を運んでくださる来館者の方なども含め、滞在中に起こるであろう様々な人との出会いが、アーティストにとって新たなインスピレーション源となることを期待しています。また、開館から35年が経ち、日々当館を訪れてくださる方々によって美術館という空間がいかに「活きている美術館」となったのか、本企画を通じて考察してみたいとも思います。
吉田絵美(世田谷美術館)