寒中の珊瑚/Satsuki×さんかくしおハッカ
「もうだめかもしれない…」
―――平凡で幸せな暮らしがしたいだけなのに。
―――ただただ、一生懸命にやってきただけなのに。
「なんで、こんな事になったんだろう?」
理想と現実のギャップに苦しんだ。
夫と離婚し、仕事をしながら4人の子どもを抱え、家事や育児に追われた。仕事から帰ると目に映るのは洗い物と洗濯物の山。子どもの不登校も続いていた。
学校の提出物の確認も、文房具の準備もままならない日々。
希望を持って新しい生活をスタートさせたはずだった。しかし、現実は違った。
ケアマネジャーという仕事、家事、子育てといった不安で胸がいっぱいになり、涙がとめどなくあふれた。
2022年1月。彼女は当時のことをそう振り返った。
*
多くの谷山を乗り越えた人は、海のような優しさを持っている。
天真爛漫でエネルギーに満ち溢れた普段の表情からは想像もつかないほど暗く、苦しい時代があった。
そんな彼女の名前は大城五月(おおしろさつき)。
沖縄県浦添市出身、那覇市育ち。
若くして独立型の居宅介護支援事業所を起業し、介護保険に縛られない新しい形の「病院付き添いサービス」事業の展開、さらには沖縄の貧困問題や女性の権利擁護にも奮闘する経営者兼事業家であり、いくつもの輝かしい活動実績を持つ。
そんな彼女がこれまでの人生で味わってきたもの。
それは苦難の連続であった。
針で刺せば破裂してしまいそうなほど消耗していた彼女を支えた希望とは、いったい何だったのか。
彼女の話を深く読み解いていくにつれ、そこには多くの人にとっても人生の「幸せ」を左右するかもしれない、興味深い「学び」があることが分かった。
*
「この記事を読んで、多くの人が勇気をもらえるならうれしい」
「私もまだまだ今が落ち着いているだけ。これからもやっぱり色々と悩むことがあるかもしれない。だけど、過去の経験があったからこそ気づいたものも多い。だから不安は以前より少ないです」
Satsukiさんは笑顔でそう話す。
いつも笑顔の印象があるのは、彼女自身が今の自分に満足しているからだろう。
やりたいことをやり切っている人の表情は、すがすがしい笑顔であふれる。
だからこそ、これまでの事を聞いてみたい。
そんな風に思ってしまうのは、きっと私だけではないはずだ。
今回は「Satsuki×さんかくしおハッカ」特別コラボ企画と題して、「人間・大城五月」のこれまでについてを、私とSatsukiさんの膨大なインタビューをもとに徹底的に深掘りさせていただいた。
(※今回の記事を掲載するにあたり、Satsukiさんとのリモート面談を重ねました。赤裸々に語られたSatsukiさんの実体験を読者の皆さまにも余すところなく伝える事が出来れば幸いです。極めてプライベートな部分まで「読者のためになれば」とオープンにしてくださったSatsukiさんの気持ちに応えるためにも一生懸命、文章を練り上げました)
どうか、最後まで読んでいただけると嬉しいです。
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