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娘を「助けない」選択。吉と出るか凶と出るか。

娘が、大学進学の為、90キロ離れた街で新生活を始めることになりました。
夕方、引っ越しを終え、ライフラインを開通させました。その日から住み始めるつもりです。

手伝いに来た私たち家族は帰ることになりますが、後ろ髪引かれる私たちに対し、娘は「どーぞどーぞ帰って大丈夫」という雰囲気です。
早速、美容院を予約してあり、これから行くとの事。
早くも住人気分を味わいたいのでしょうか。

通り道なので、美容院まで娘を送り、そのまま私たち家族は、車で自宅へ帰宅しました。

引っ越しで、とても疲れていましたが、
娘はむしろ、初めての一人暮らし、そして、いつもより都会的な街での生活に、期待いっぱいの表情でした。

自宅に戻った私の携帯に、娘から連絡が来たのは22時近く。
美容院からバスに乗り、新居に帰ってきたところとのこと。
「新居の鍵がない」
「スマホの充電ない」

は~鍵がないとは?!
早くも紛失?

「もう一回よく探してみて」
と伝えましたが、どーしてもない。

なんと、帰宅した私の車の中に、新居の鍵がありました。
ここにあるという事は、娘は新居に入れない・・

なぜ今まで気づかない?
それは、我が家の玄関は、テンキーロックで開錠できるため、鍵を持ち歩く習慣が娘になかったからだ・・
なるほどね~ と腑に落ちている場合ではありません。

さ~ この状況。
娘は、どう乗り切るでしょうか?

新居は、鍵がなく入れず、
合鍵は、新居の中。
実家に帰るにも、新幹線は地震で間引き運転終了。
在来線も、まもなく終電。
高速バスも、もうない。
大学生活がスタートしておらず、近くに知り合いが誰もいない。

娘の充電切れで、電話が不通になった中、私は考えました。

以前の私なら、車を飛ばして、迎えに行ったかもしれない。
でも、この試練は、娘自身が起こしたこと。助けない方がいい。
これを乗り越えたら、きっと自分の力になる。
娘は、自分で何とか出来るはず。
お金を降ろしていたから、無一文ではないはず。

そう思いながらも一方で、
少し前まで田舎の高校生だった娘が、馴染みのない土地で「何とかする」ってどうするだろう。
不安だろうな。焦っているだろうな。
とも思いました。

 タクシーで帰ってくる?
 ホテルに泊まる?
 まさか野宿?
 ヤキモキヤキモキ・・冷静に冷静に・・

再び連絡が来たのは数十分後。

娘は、充電ケーブルを持っていたものの、USBからコンセントへの変換アダプタがなく充電出来ていない状況から、新居に帰る前にまず、コンビニでアダプタを買っていました。
新居で充電するつもりだったのです。
しかし、新居に入れない!
しかも、差し込みが違うアダプタを購入していた!合わない!使えない! 

心折れながら、再度コンビニに行こうとした時、たまたまお昼に家族で行った、近くのうなぎ屋さんを思い出しました。

「アルコール消毒器があった」
「あれはUSBで電源取っていた」
「あれさえあれば」

なんと、うなぎ屋さんに助けを求めたのです。

そこは、おじさん一人でやっている、こじんまりした飲食店。
昼食時に伺った時は他にお客様がおらず、きさくに話しかけていただきました。
「これから近くに住むのでよろしくお願いします~」
と会話してきたばかりでした。
まさか、こんなに早くお世話になることとは思いませんでしたが、結果的に娘は、

おじさんに変換アダプタをお借りし、スマホを充電し、
新幹線も電車もバスもないことをスマホで調べ、
大家さんの連絡先を調べ、鍵を開けてもらえないか電話し、(不通)
お店にいたお客様のアドバイスで、鍵やさんに開錠依頼(怪しい雰囲気を感じやめる)

ホテルに泊まるしかないと判断し、
まてよ。とネットカフェを検索し、朝までネットカフェにいることを決意。
おじさんにタクシーを呼んでもらい、一番近いネットカフェへ行き、一夜を過ごしたのでした。

おじさんも、そこにいたお客様も、みんなで心配してくれたようです。
皆さんありがとう(T_T)

やるなー娘!

私には、ネットカフェの発想がなかった。
「終電のがした。ネットカフェ」
は、都会の人には普通の考えでしょうけど・・

ネットカフェに着き、タクシー代を支払おうとした娘に、
「おじさんから既にお代をいただいています」と運転手さん。

なんと、助けてくれて、心配してくれた 
うなぎ屋のおじさん、
タクシー代まで支払って下さっていました。
(T_T)(T_T)(T_T)

このご恩は
毎日うなぎを食べに行くか、タダ働きして手伝うかのレベル!
本当にありがとうございました。

私が助けなくて良かった。

人に弱みを見せたくない性格の娘が、人に助けを求め、
人の優しさに触れ、
そして、
私よりずっとたくましく、解決する力があると、私が知れたから。

娘は、二度と鍵を忘れないでしょう。
何より、この日のことは一生忘れないでしょう。

翌日、在来線で帰宅した娘は、
眠そうではありましたが、
昨日より一段と晴れやかな顔をしていました。

新生活、その調子!
どんどん失敗していこうよ!

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