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愛の為に生きたなら、その選択は間違いではないのかも。映画『ファーストキス』
⚠️ネタバレ有りです⚠️
脚本:坂元裕二さん、監督:塚原あゆ子さんがタッグを組んで制作された作品、「ファーストキス」を見に行ってきました。とっっても好きな作品で余韻が凄いので深夜ですがツラツラと感想を述べます ·͜·
★2回目で、気付けなかったことに気が付く
1回目より2回目ほうが大号泣した。
1回目、新鮮な気持ちでストーリーに熱中するばかりだった。余韻で様々な感想や考察を観て、見逃しているシーンが多くて驚いた。(2回目も観に行かなければ…)と思い 、昨日また映画館に足を運んだ。
2回目はストーリーを把握した上でまた感じるものがとても多くて胸が苦しくなった。
「これ以上僕のことドキドキさせないでください」
という1回目でキュンとしすぎた台詞は、2回目ではキュンとしながらも、何度出会っても駈の変わらない"恋心"の淡さが眩しくて涙が出た。2回目は、(あの時この人はこう感じていたりしたのかな?)など、考える余裕が出来た。
そしてこれは、作中の2人も同じで。
1回目の人生で、精一杯でお互いを思いやることが足りていなかった。たしかに仕事で追われる中、お互いに配慮が欠けてしまう部分はどうしてもあると思う。とにかく2人ともいっぱいいっぱいだったんだなと。タイムトラベルした時にカンナが昔の駈の姿を見ていく度に、遺影に話しかけたり、駈のことを救いたいという気持ちが大きくなっていくのは、忘れていた記憶『駈を選んだ理由』を取り戻していたからだと思う。
「役に立つ話をされるよりマシです」
このカンナの台詞も、駈のことを選んだ理由にきっと入ってる。
私は人間誰しも自分のことで精一杯なのは当たり前だと思っているから、1回目の人生で完璧に相手が求めるものに答えたりすることは難しいし、すれ違いも生まれてしまうと思う。だけどたった一度きりの人生で大切な人のことを思いやる気持ちを忘れずに、後悔を減らしていきたいと強く思う。
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★無言で魅せられる
台詞がない時のお芝居、印象に残った場面が2箇所ある。
1つ目は物語序盤餃子を焦がしてしまった時のカンナの虚ろな表情。駈とは会話していなかったけど、駈が居なくなってからの1人の生活でカンナの中で色々思うことがあったのだと思う。
2つ目は駈とは結ばれない選択をしようとした時に、過去に戻る前に現在の家の様子を見渡して立ち止まる場面。駈との生活の名残惜しさを感じて苦しい。
「悲しい」という感情などを言葉せずに、無言の空間の中で自然と観る側に感情が伝わってくる松たか子さんの演技、流石だった。表情·動きで魅せる力が凄い。
★言葉で魅せられる
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この作品で感じたこと、私は硯駈の感性がとても好きだということ。
『過去現在未来は同時に存在している』
『物理学的に言うと運命の人とは既に出会っています 』
『未来が既に決まってるというのは、なんだか運命の赤い糸みたいでドキドキしませんか?』
ドキドキします!!!!
硯駈のロマンを感じる台詞がとても好きで(お~!)と思いながら劇場でニヤニヤしてしまった笑
こういう独自の感性を持った人、すごく好き。
私自身、知る由もない未来のことについて考えたりすることが好きだから、駈の話をもっと聞いてみたい。この駈の感性だからこそ、カンナのタイムトラベルを割とすんなり受け入れられた。もし違う感性だったら、カンナは変な人だと拒絶されていたかもしれない……でも、強い結び付きのある大切な人にはシンパシーを感じて感性を超えて信じられるのかも??そうかもしれない。(考えがまとまらなくなってきた)
一度きりの人生で後悔なく、という話を前文でしたけれど、心のどこかでこの体の人生が終わったとしても自分の思考はどこかで生き続けるんじゃないか、と考えたりもする。これには、色んな考えがあって面白い。
駈の言葉が好き。駈とカンナの会話が素敵。
私もかき氷屋で2人の後ろに並んで、ただ会話を聞いていたい。
★演技力で魅せられる
松村北斗さん主演の作品を観たのは初めてで。
とにかく、もう本当にとにかく、すごくこの方の演技が好きだった。
声の出し方、目の動き·瞬き、表情、緊張した場面での喉の動き、洋服の裾を掴む仕草、細かな感情の動きがとても伝わる演技だった。
カンナにこっぴどく振られるシーン、赤く揺れる瞳と震える声、感情がダイレクトにこちらに響いてきて素晴らしかった。この場面で涙する方多かったと思う。私も息するのが難しくなるくらい感情移入して泣いた。
結婚のOKを貰った時、嬉しさのあまり柿ピーの柿の方をつまむところが駈らしくて大好き。
2時間ちょっとの映画で、"駈らしい"って思えるのすごくない?
駈のキャラクター性が一貫して細かに表現されているからこそ、"らしい"と思える。
松村北斗さんが駈そのものなんじゃないかと思うくらい、それくらい駈の解像度が高かった。
40代くらいの駈がちゃんと40代で驚いた。咳払いをしたり、スマホを見ながら口を歪めたり、声のトーンも低めだったりちゃんと40代で驚いた。
とても丁寧で繊細な演技をする人だと思った。
彼の演技をこれからもっと観たいな、と思うくらいに。楽しみ。
★結び付きが揺らぐことは無い
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女性と話すことが苦手だけど、カンナと話してる時は素が出せる駈 。カンナと初めて会った気がしない、と感じる駈。どうしてもカンナに惹かれていく駈。これこそ運命の赤い糸、切っても切れなかった。
駈が最後の日に仕事に行く前カンナのことを見つめるシーン、あの表情が頭から離れない。
亡くなってしまうことを知っていながら特別何かをする訳では無く、いつも通り
「いってきます」
という言葉だけ言う駈が本当にかっこよくて。
目の前で助けが必要としている人をほっとけない性格だということを20代の頃の姿で分かるように、駈は後先考える前に目の前の人を助けることを選んだ。ずっと、変わってなくて、ずっと愛おしかった。届いた餃子が先払いになっていたり、遺影が笑顔になっていたり、駈が大切に過ごしてきた15年間に涙が止まらない。
私は結婚願望無かったけど、この作品を観てこんな生活がしたいな、結婚良いなって思えた。
かなりご高齢の夫婦がお互いの手を握りながら覚束無い足取りでゆっくり歩く姿を見て素敵だなって思ったことを映画を観ながら思い出した。一生を共にする人とお互い手を取り合って素敵な関係でずっと居たい。
ほとぼり冷めやらず、真夜中にこのnoteを書くくらい強く胸を掴まれた。
また何回も見直しては新しい発見をしたい。
結果は変えられなかった、それを駈は分かっていた。
愛の為に生きたのなら、どんな選択も間違いではないのかも。
長くなってしまったけど拙い感想でした。(_ _*)
3回目行きます!