十二使徒ペトロ
聖人について紹介をする際、私はアトリビュートについても説明をしています。
アトリビュートとは西洋美術において、絵画に描かれている人物を特定する物や特徴のことです。キリスト美術では描かれている人物が持っている物や特徴によって、その人物が誰であるのか、その物はその人物の何を表しているのかが分かります。
さて、クイズです。この3つのアトリビュートで示される聖人は誰でしょう。
1.鍵
ヒント:天国の鍵を授かった人
2.鶏
ヒント:イエスを三度裏切ったときに鶏が鳴いた
3.逆さ十字架
ヒント:この人の殉教した姿
答えは…
十二使徒の一人、ペトロです。
今回はペトロについて紹介します。
ガリラヤの漁師であったペトロは、イエスに声をかけられ、弟子になります(マタイ4:18-22,マルコ1:16-20,ルカ5:1-11)。ただ、ヨハネ福音書では漁をしているときにイエスと出会うのでははなく、弟アンデレに紹介されて、イエスに出会います(1:35-42)。
彼は弟子の中でも筆頭に書かれ(マタイ10:2)、福音書の中でイエスに質問したり、弟子の意見を代弁したりしていることから、「弟子の代表、代弁者」であったことがわかります。たまに「湖の上を歩かせて!ああ、強い風が吹いたー!助けて、イエス様―!」と信仰の薄さを露呈したり(マタイ14:22-33)、イエスに「サタン!」と叱られちゃったりするところも(マルコ8:33)、なかなか親近感がわきますね(笑)イエスが逮捕された後、ペトロは三度の裏切りをしますが、その後は宣教活動に尽力します。今日までキリスト教が伝えられたのは、ペトロがいたから、といっても過言ではないと思います。
実は、ペトロはイエスから色々なものを与えられます。
まずは名前です。
ペトロの本名は「シモン」で、「ペトロ」という名前はイエスがつけたニックネームです。
由来は「ケファ―『岩』という意味―」です(ヨハネ1:42)。
ニックネームをもらった弟子はペトロだけ!名前の由来となっている「岩」は、旧約聖書では「主はわたしの岩、砦、逃げ場…」(詩編18:3)と書かれているように、神と並記されたり、人々の「逃げ場(人を守る場所)」とされているのも見過ごせません。イエスは何か考えていたのでしょうか・・・
次にアトリビュートにもなっている「鍵」です。
ペトロはイエスから天国の鍵を授けられると同時に、「つなぐこと(禁止すること)」「解くこと(ゆるすこと)」の権能も与えられます。(マタイ16:16-20)
そして、「羊、子羊」です。
復活したイエスは、ペトロに対して「私の子羊を飼いなさい」「私の羊を飼いなさい」(ヨハネ21:15-19)とおっしゃいます。「子羊、羊」はイエスが守っていた私達クリスチャンを表す、と考えるのであれば、イエスの帰天後は、ペトロがイエスの役割を担うと言うことだと考えます。
このように何かを授けられた弟子、というのは、やはりペトロだけです。
イエスにとって、ペトロがいかに大きい存在であったのかがよくわかります。
今回は私の推しである「ペトロ」について、アトリビュートも含めて紹介しました。みなさんの推しは誰ですか?
蛇足ですが、6年生の宗教では「十二使徒」について一緒に学習します。
その際、「私の推しなんですよね、ペトロ。皆さんも推し弟子見つけてね。」と児童に言ったら
「いいですよね!でも、先生は同担拒否ですよね?」
と返されました。
「どうたんきょひ、とは…」と聞くと、「推しが被るのが嫌だと思うことを『同担拒否』っていうんですよ!」と教えてくれました。あと、グループ全員が推しの時は「箱推し」というそうです。
うん、私も十二使徒を箱推ししよう。