ハイパーソムニア
Hypersomnia と綴って、ハイパーソムニア。
「過眠症」を意味する英単語です。
並んで、私が一昨日に、新潮新人賞に応募した作品のタイトルでもあります。
私が抱えている睡眠障害は特発性過眠症。
英語では「Idiopathic Hypersomnia」。
ハイパーソムニアをタイトルにした時点でお察しのことと思いますが、過眠症がテーマの短編小説になりました。
細かく言うと、過眠症当事者の就業がテーマです。
年が明けてからの一ヵ月と十日ほどの間で、私は新しい勤務先に就業し、そして契約を切られました。
雇用元との雇用契約は継続しているので、あくまで仕事だけを失った状態です。
(そうじゃなければ小説なんて書いていられません) 今は次の勤務先を探している状態です。
今回の契約解除の理由はひとつ。
過眠症だから。
業務中に眠ってしまうことが、契約解除になったただ一つの理由でした。
薬を飲んでも、どうしても抑えきれない眠気が、私から仕事を奪いました。
「明日きりで、もう来なくていいよ」と言われたのです。
就業できたのは、たったの三週間でした。
病気なのは分かっている。
でも、眠られると職場の雰囲気によくない。
仕事に支障が出るから、眠っているのを認めるわけにもいかない。
昼間に起きているという当たり前のことが出来ない人に、仕事は頼めない。
そう言われて、ああ、分かっていても受け入れてはもらえないのだなと。
私はあくまで、異質なものとして扱われるのだなと。
怒りはありませんでした。
悲しみと、ぶつけどころのない憤り。
それを文字にして、小説という形に叩きつけました。
自分が社会に受け入れてもらえない悲しみを、憤りを、叩きつけた文章。
推敲のために読み返すことさえも、辛いことでした。
これを書いたことで、救われるわけではない。
仕事が見つかるわけでもない。
それでも、書かないわけにはいかない。
これは当事者である私にしか、書けないことだから。
悔しいのか何なのか分からない感情を抱いたまま、応募フォームから原稿を送りました。
今回に関しては、小説の形を取れているのかすら、自信がありません。
応募規定にこそ従ってはいますが、小説の公募に小説かどうか怪しいものを送ったのですから、一次選考すら通るかも分かりません。
それでも、誰かが目を通してくれるなら。
この行きどころのない感情を、誰かが見つけてくれるなら。
そんな想いだけで書き上げて応募しました。
結果が出るまでは、しばらく時間が掛かります。
結果がどうなろうとも、私はずっと"過眠症の自分"と向き合い続けることになります。
一生の課題です。
でも。
過眠症の私だからこそ、私にしか書けないものが、きっとあると信じて。
これからも、書き続けます。