世界一キュートなねこ はじめてのおうち暮らし(2/2)
わたしはヒステリックになってしまいました。
ケージの中で震えるいもこを背にして仕事をし、同じ部屋で寝ていたわたし。
今思うと、距離が近すぎたのです。
▶前回のおはなし。出会い~トライアル開始まで。
トライアルが開始した当初、いもこはケージの隅で微動だにしませんでした。その場でブルブルと小刻みには震えてはいたけれど。
眠る素振りさえありません。
毛づくろいもしないし、ご飯も食べないし、水も飲まないし、トイレもしない。
部屋の構成上、同じ部屋で在宅勤務をせざるをえなかったわたしは、ずっといもこの視線を感じていました。
正直、鋭敏なわたしはしんどかった。
なんとかご飯を食べさせようと、必死になってウェットフードをやりました。(カリカリなんて食べません)
その"必死さ"というものを、ねこは敏感に感じ取ります。
そして、ドツボにはまっていった……のは言わないでもわかるかな。
日が経つにつれ、いもこはほんの少しずつ動き始めました。
人がいなくなるとご飯を食べ、毛づくろいとトイレをし、なんとかねこじゃらしで遊び始める。
でも、人間への怯えた目つきは相変わらずで、ケージから少し出してやった後、なんとかケージへ戻すために、母はいもこの爪で深手を負いました。
馬鹿力がすごいのです。
そして、夜に鳴きます。
耳栓で耐え忍びましたが、もともと体調が万全でなかったわたしは、日に日にヒステリックになっていきました。
そんなある日、いもこが涙を流していました。
片目がしばしばしており、どうもおかしい。
獣医さんによると、昔ひいた猫風邪?のせいか片鼻が詰まっているとのことでした。
今思うと、環境変化のストレスのせいで、調子を崩したのだと思います。
そんないもこに1日に数回目薬を差す、という仕事も加わり……。
家族がケージをわたしの部屋から移動させる、と言いました。
わたしのヒステリックが増し、見ていられなかったそうです。
1月経っても、そんなに簡単にいもこの様子は変わらず、基本はケージ暮らし。
行動範囲も本当に”じわじわ”としか広がりませんでした。
かわいそうなくらい、常に怯えています。
そして、先住猫であるあねこは、基本的にいもこを威嚇していました。(いもこはあねこには友好的な態度をとっていたのにね)
いもこは成猫間際で、あねこという先住猫もいるため、「トライアル期間は延長しても大丈夫」と言われていました。
1月程度経ったある日に、正式譲渡の手続きを踏みました。
当時の本音は、「これ以上、この子を移動させるのは……」だったりします。
数ヶ月のうちに、多頭飼育崩壊からレスキュー→譲渡会に何度も参加しつつ、保護猫部屋で暮らす→うちに来たのです。
元々繊細な子だろうから、神経質になるのも当然だと。
*
保護猫のTV番組、ありますよね。
スタッフさんが近くにいても大丈夫なねこ、である時点で、わたしはTVに映っているねこは「人馴れしている」と思います。
うちにいる2匹のねこは、今も、ピンポンが鳴ると脱兎のごとく逃げ、暗くて狭いところに隠れます。
2匹とも、膝乗りなんて不可能です。
いもこは今も抱っこに怯えます。
でも、それでいいじゃん。
ねこの性格は、本当にその子その子で、さまざまで。
うちは神経質な子が集まっていると思いますが、
こんな子たちもいる、ということをお伝えしてみたく、書き連ねてみました。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
下の関連記事が、正式譲渡後のお話になります。
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