プリティなおばあちゃん猫 地域猫として生きるリアル
しまこは、キジ白のかぎしっぽ、うちの庭にやってくる、さくら猫*の地域猫だ。
*避妊去勢手術済で、耳先をさくらの花びらの形にカットした猫
おめめはヘーゼル、体格は小柄で、年齢不詳のプリティな雰囲気。
ではあるが、ご近所さんの話によると、何度も出産を繰り返している「おばあちゃん」らしい。
小さい頃から何度も出産を繰り返すと、からだが小さいままで育たない、と聞いたことある。
猫の交尾の成功率は100%。
1年に2~3回の出産が可能だ。
避妊手術を終えて、さくら猫となるまで、何度も何度も妊娠して子供を産んだのだろう。
しまこは、うちと、ご近所さんのお家で食事を済ませる。
うちに来たら、窓ガラス越しにじっとこちらを見つめ、ニャア、と鳴く。
うちは、いつもきれいなお水を常備していて、呼びかけがあると食事を用意する。
外猫は、きれいなお水がなかなか飲めないと思う。水を飲まないと、腎臓病になるリスクが上がる事実がある。
そうして、しまこはご飯を食べて、満足げにうちの庭のお気に入りスポットである、段ボールの中に入るか、その上に乗って、眠り始めるのだ。
春、初めて見る、野性味あふれるトラ柄の猫が「ギャアァ」としまこに叫んでいるのを、見た。
家猫のあねこも、一緒にこの様を見ていたのだが、いつもは強気な子なのに、トラ柄の猫を見てまん丸の目で硬直していた。
わたしもトラ柄の猫に恐怖を覚えたので、無理もない。
しまこは、なんとか反撃をするものの、さっさと諦めて高速で逃げ去った。
その後、なかなかうちの庭に来なくなり、庭に来た際もコソコソと陰に隠れて、何かから逃げているようだった。
時折、しまこは「何かから逃げている」ような仕草を見せることがある。
真夏、38度を越す日でも、しまこはクーラーにあたれない。
ふさふさで、汗をかくからだの部分が少ないので、しまこはただただうなだれていた。
日に照らされたアスファルトは危険地帯で、何とか日をよけて、寝る場所を決めているように見えた。
熱くてかなわないのだろう、歩く時も、足裏を地面につけないように、コソ泥のようで。
うちの中にいる、2匹のしあわせな子たちは、そういうしまこをガラス越しに見つめていた。
食欲がなく、カリカリもあまり食べれなくなって、完全栄養食チュールをお皿の上に乗せてやっていた。
「老体だし、これはまずいのかもしれない」と注意深く見ていたが、しまこは夏を乗り越えて、今はカリカリをモリモリと食べて秋を楽しんでいる。
普段、庭先で気楽にゴロゴロと転がり、塀を走り回り、ひょうきんな印象を受ける、しまこ。
わたしは、とてもこの子のような生活はできないし、溢れ出る生命力にいつも驚かされる。
姿を見せなくなる日が来ませんように。
とっても賢い子だから、からだに限界が来る前に、ヘルプの意志表示をしてくれますように。
そうしたら、家の中に入ろう。
何が正解かは分からないし、正解なんてないと思うけれど、わたしはこのような気持ちでいる。
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