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5.魂のカタルシス〜薩之綉編〜⑤

彼女とzoomで対応してくれたので

浄霊が終わった事と、薩之綉さんからのメッセージを依頼主(彼氏さん)に伝える。

彼氏さんは納得されていた。

夢に顔立ちの綺麗なお坊さんが出てきた事があるし、本人も霊感が強いのと、手から白い煙のようなモノがでてるのが時々見えると思っていた。

そしてそれが気というエネルギーで人を癒すことの出来る技術だと知り、喜んでいた。

なぜなら、彼の仕事は整体師で、患者さんにはゴッドハンドと呼ばれていたから。

「聞いてよかったです。これから、心の中でいつも感謝します。」

そう言って微笑んだ彼の顔は、どこか少し薩之綉と似ていた。

「今回、私も自信をもらいました。まだ、未熟だとどこかで思っていたので、そこを指摘してもらって、魂と向き合う覚悟を試されたような気がします。」


「実は、私も自信がなくて、言えてない事がある。」

彼女がモゾモゾと口を開いた。

「私に憑いていた霊が嘘つきだって言われてからずっと引っかかってた事があった。
本当はいいたくないけど、今なら言える気がする」

「あ、では、私はこれで失礼します。せっかくのタイミングなので、ちゃんとお話しされて下さい。失礼します。」

笑顔で挨拶をしてzoomをきる。

2人でしっかり素直に話して、いい方向へ行ったらいいな。

心地よい満足感が、
消えたパソコンの黒い画面に反射して、微笑んでいる私を映していた。

自宅の仏壇にお線香を立て
薩之綉さん、お母さん、赤ちゃん、僧侶の皆様の浄仏に手を合わせた。

ん?

背後に気配を感じる。

【私は現代でまたお坊さんとして生まれ変わっている。手から気がでる能力もそのままだ。】

「え?薩之綉さん?」

【魂の数は決まっていない。
もう1人の私は現世でまた修行をしている。

これを読んだ人がピンときたり、耳に入ったりしたら、それは私だ。

それを知らせたかったから、わざわざ小説にしてもらった。

安心しろ。
現代では、手の能力を封印されることはない。

正しいとか間違いとか、
思想や価値観を強要する時代は終わり

今世は選べる。

選んだことに責任を持てばいい。】

「いつか、現代の薩之綉さんにリアルでお会いできるかもしれませんね!
その時は、このお話をします。
ありがとうございました。」

【ありがとう】

本当の浄霊終了。

そうか、どこかで会えるかも知れない。

手から気が出ているお坊さん。

前世は薩之綉さん。


(LINE)携帯の音がなる。

「会社に何がいるようなので見て頂けませんか?」

「わかりました。責任者の方に許可を頂いて
社内の写メをお願いします。」

以前、ご依頼を頂いたお客様からだった。

社内の様子はすぐに送られてきた。

その写メは、結婚式場だった。

「冠婚葬祭の会社の事務をしているのですが、

最近同僚のブライダル担当の子が、

女性の声がする、と怖がってて。どうですか?」

確かに。

白いウェディングドレスをきた女性の霊がいる。

「確かにいますね。でも、これ、浄霊となると会社に請求する方が良いかと思うので、
責任者の方にご相談してみてはいかがでしょうか?
もしかすると、お祓いとかを会社で依頼してる所があるかもしれませんし。」

「わかりました。ありがとうございます。」

そのやりとりをした翌日、

「責任者がお会いしたいと言っているのですが、

こちらまで来て頂けますか?」

この依頼が、
この式場のいわくつきの原因が発覚する。

魂のカタルシス〜薩之綉編〜完


つづく



#創作大賞2024 #ホラー小説部門

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