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とうとう転院当日

急性期最後の夜、似てないけど雰囲気福くんな看護師さんが担当だったのかちょくちょく顔を出してくれてた。

Kaoさん、とうとう明日やね。
どんなとこかね〜?
リハビリは厳しいらしいけど嫌言わんとやらんなんよ。Kaoさんなら嫌言わんか。リハビリ好きやもん。(いつから好きって設定になった?)
明日万全で行く為にも今日ちゃんと寝とかんとね。

ねぇ…
明日誰か来る?

ご家族さん来られるよ。

それだけ聞くと寝る体勢に入る。
この頃は起きていられる時間が少なかったように思う。とにかく眠い。

Kaoさん、僕夜中も様子見に来るんで起きて眠れんかったらしばらく待っとってね。きた時に話聞くから。

うん
待っとる

そういうとあっという間に眠ってしまった。
夢を見ることはない。
そして目が覚めたのは案の定12時を回った頃だった。
でも、今日は騒がない。
福くんが来るまで待つ。というコマンドが入力されていた。
そうしてじっと待っているとカーテンが少し開き福くんが顔を出す。

あっ、やっぱり起きとった。
寝れん?

眠くない。

そっか、
じゃ、お茶でも飲むか。

そう言ってお茶を汲みに行ってくれる。
静かに待っているとお茶を入れたコップを持ってきてくれた。

こぼしたりしたら危ないから冷たいのにしてきたよ。

お茶を飲む間福くんとは何気ない話をした。

転院したら知らない人ばっかりになるけどKaoさんなら大丈夫だよね。
とか
話しできる人いたら良いね
とか本当に何気ない会話をした。小さな声で。
私にしたらすごい進化だったと思う。
お茶を飲む間ヒソヒソと話すともうそろそろ目瞑ってみたらねれるかもよ?と福くんはお仕事に戻って行った。

私も福くんの提案通り目を瞑って眠りに落ちる。
急性期に入院して初めて騒がなかった夜だと思う。
朝6:00を回った頃福くんが血圧を測りにきた。

今日はしっかりと眠れたみたいやね。
移動したり、向こうの病院でのお部屋にも荷物はこんだりせんなんから忙しいよ。
あっ、お着替えは僕、用意するから待っとってね。

そういうと福くんはカーテンを少し開けて次の人のところへ移動していく。私はぼんやりとしたままそれを見送った。
転院する事への不安も疑問も何も感じなかった。
ここから場所が変わるだけ。どの病院にいても同じ。そう感じていた。

この日は朝早目の時間から次々と人がやってきた。
PTさん達、OTさん、見覚えのある看護師さん。
口々に次はリハビリ専門だからここよりすごいリハビリするとこやからね。頑張ってリハビリするがいよ。と次の病院の事をいう。

だからリハビリしてないって!

と思いながらうんうんと首を縦に振った。
そんな話をしてる間に家族が到着。
いろんな手続きの後ストレッチャーに乗せられ移動する。廊下で何人ものお世話になった人に見送られ移動していく。
OTさんも元気に頑張られ。また入院せんなんことになって戻ってこられるのはイヤやからまたねは言わんよ。バイバイ。

そうだよね
またここに来るってことは病気になるってことやもんね。

バイバーイ

とは言ったもののOTさんと会えなくなるのは寂しかった。
尿管カテーテルも入れたままの転院。
それでも久しぶりの外に出れるのはなんか楽しみだった。

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