「不思議な薬箱を開く時・薬種・薬剤編」
アルラウネについて
マンドレイクの亜種として、
ドイツにアルラウネ(Alraune)、
アルラウン、アララウン、アルリュネケン、
エルトメンヒェン(erdmännchen「大地の小人」)があります。
この呼称は、古高ドイツ語の語彙集において、
アルルーナ(Alrûna)、
アルルーン(Alrûn)という単語が当てられています。
ホルヘ・ルイス・ボルヘスによればもとは(Alruna)で、
「ささやき」または「ざわめき」を意味した(Rune)からで、「謎を書かれたもの」を意味します。
アルラウネは通常ドイツ語辞書において、
alp(夢魔) raunen(囁く)の合成語とされ、
盗賊の家系に生まれた者、
妊婦なのに盗みをしたりしようとした女性から生まれた者、
実際には無実なのに、
拷問にかけられて泥棒の「自白」をした者が縛り首にされたとき、
彼らが童貞であって、死に際に尿や精液を地にたらすと、
その場所からアルラウネ、
またはガルゲンメンライン(Galgenmännlein「絞首台の小人」)が生じます。
アルラウネを引き抜く方法はマンドレイクと同じ手順ですが、
保存の方法は、かなりの相違があるようです。
手に入れたアルラウネを赤ブドウ酒できれいに洗い、
紅白模様の絹布で包み、箱に収めます。
アルラウネは毎週金曜日に取り出して風呂で洗い、
新月の日には新しい布を着せなければなりません。
手間をかけて、大切にすることで、
アルラウネに、様々な質問の答えを求めることができるようになります。
この植物は未来のことや秘密のことを教えてくれるのです。
しかしあまりに大きな要求をすると力が弱って死んでしまうので注意しましょう。
アルラウネは、当初の持ち主が亡くなりますと、
故人の末の息子がこれを相続する習わしです。
父の棺には、必ずパンの切れ端と一枚の貨幣を入れてください。
しかし息子が父より先に死んだら所有権は長男のものとなります。
このときも末の息子の棺にパンの切れ端と貨幣をいれなけれます。
ヤーコプ・グリムは、『ドイツ神話学』第37章「薬草と鉱石」において、
アルラウネの語源はドイツ古代の女神アルラウン(Alraun)ではないか、と主張しました。
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