「不思議な薬箱を開く時・薬種・薬剤編」
こんにちは、みなさん。
「不思議な薬箱を開く時・薬種薬剤編」へ、ようこそ。
さて、今回も、手に入れるに困難極まりそうな、
薬種・薬剤のご紹介をさせていただきます。
イクネウモン(Ichuneumon)
かくのごとく、われらの救主も、大蛇、
すなはち、埃及の河にゐるパロ、
そはすなわち悪魔を、いよいよ死に至らするまでは、
塵に属するものを身につけらるる
〔エゼキエル、第29章3-4〕
なぜならば、いかにして大蛇滅ぼし得むや?
おのづから基督が無体とせば大蛇は彼に向かひて言ひ返ししためしならむ、
「汝は神にして救主、ならば我は汝にかなはずやかし」と。
いや、誰よりも大いなる方がみずからを低められしは、
万人を救はねどためなりけり〔ピリピ、第2章8〕
さて、この動物についてでございますが、
実は、資料が少ない上に、明確な図絵が残されてもおりません。
僅かな手掛かりしかないのです。
しかし、この動物は、大変、希少貴重な薬剤・薬種の一つであり、
外すわけには参りません。
「不思議な薬箱」では、
入手に艱難辛苦が当たり前な薬種・薬剤が殆どであります。
この薬の処方が作成された時代においては、
現代ほど、希少貴重の域ではなかったのかもしれません。
「不思議な薬箱を開く時」と致しましては、
製薬の際して、出来うる限りの情報を出させて頂きます。
イクネウモンは、聖書におきましても、
アリストテレスや、大プリニウスの博物書におきましても、
「龍殺し」という、異名を付けられております。
イクネウモンは、野にいるドラゴンを発見する能力があります。
発見しますと、恐れもなくドラゴンに近づき、
まず、全身に泥を塗り込めまして、
尾で鼻を隠すそうです。
この不可思議な行為は、
イクネウモンが、ドラゴンを殺す為の、
事前行動であるのです。
イクネウモンは、ドラゴンと戦う力を持っているらしく、
それだけではなく、ナイル川の大鰐が相手なら、
さらに簡単に殺してしまうと言われております。
製剤に、ドラゴンなどの大型生物の部位が必要な場合、
自分で狩るには、リスクが大きすぎるということもありましょう。
そういう場合は、
大きさといたしましては、ドラゴンの8分の1ほどの大きさである、
イクネウモンのあとを付け回し、
野のドラゴンを発見、殺してしまうまで待つ、という方法があります。
どうせ、ガチでタイマンを致すのであれば、
死亡リスクが少しでも低い方が良いですね。
イクネウモンにしても、
せっかく殺したドラゴンを
他の動物に横取りされるなど、当然、許す筈もないでしょう。
もちろん、イクネウモン自体も、
薬種・薬剤となります部位の宝庫であります。
イクネウモンは、体内で卵を持つ卵胎生です。
卵が体外に産卵される前に、
イクネウモンの身体を切開し、取り出して薬種と致します。
まず、イクネウモンがドラゴンを殺すのを待ち、
ドラゴンの息の根が止まったところを見計らい、
イクネウモンを狩るという、
まさに、想像を絶する一挙両得ですね。
ドラゴンも、薬種・薬剤の宝庫です。
素晴らしい計画と言えますでしょう。
イクネウモンの生息地は、
主にナイルが流域とされていますが、
アリストテレスや、プリニウスの記録によりますと、
もっと広い範囲に、生息しているとされております。
乾ききった地域ではなく、
大きな河川流域を主軸として、創作することをお勧め致します。