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素直でシンプルな、神秘
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黄金繭の全頭が無事に上蔟して、各々の繭を紡いでいる。
5令になろうとする蚕が我が家にやってきて約10日。
ひたすらご飯を食べては排泄して、時には餌の上で食い倒れるように眠っては脱皮を繰り返す。
「なんて素直な生きものなんだろうね」と言い合いながら観察していた蚕も、糸を吐き出す前はものを食べなくなり、いっとき静かになる。
繭を紡ぐ部屋となる「まぶし」に自分の場所を定め、余分な体液を排泄すると、自らの銀河を描くように糸を吐き始めた。
そうしてうっすらとあの繭の形が浮かび上がってくる様子は、宇宙にぽっかりと浮かぶ母船にも見えてくる。
ほんの一寸ほどの宇宙が目の前で創造されていく。
カリカリと、糸を吐いては身の回りに張り巡らせていく音は微かで小さいけれど、宇宙にも匹敵するような神秘を、淡々とやってのけている。
気づかずに素通りしたり忘れたりしているけれど、そんな神秘が周りじゅうで繰り広げられてるはずで。
お蚕さんを通して、神秘の眼差しを思い出している。
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