ファンダメンタルズ×テクニカルマーケティングを読んで違和感が残り続けた話。
助けてください……
もう、私は全てが分からない……
ことの経緯
発売日に購入して以降ずっと積んでいた北の達人コーポレーション創業者であり現役のマーケッターでもある木下社長の著書「ファンダメンタルズ×テクニカル マーケティング Webマーケティングの成果を最大化する83の方法」を読んでいました。
「うわ、良い本だなぁ。こんな本かける社長が実在するのか?」とか思いながら半分ほど読み進めたところ気になる内容をみつけました。
初版第一刷の「第一章 テクニカルクリエイティブーー広告をチューニングする。48 KPIで優先順位を判断する」の部分です。
そこでは広告→BLP(ブリッジページ)→HLP(販売用LP)という導線の広告を改善する場合、BLPからの遷移率を上げるべきか、HLPのCVRを上げるべきなのか?を悩むよね。という問題を解決するための話をしています。
時間や人的リソースが有限である以上、物事には優先順位をつける必要があります。「BLP、HLPどっちも改善してやれ!」なんて贅沢なことをしている余裕はないですからね。
今まで、オレ流でやってきた私にとって垂涎ものの知識だったので試してみたんです。
難易度を計算して簡単の方から優先して取り組む
書籍によると「平均値」と「必達目標値」を比較してどちらが実現の難易度が低いかを計算して判断する、とあります。
「なるほど、わかる。難易度が簡単かどうかはオレ流でやってたけど平均値と必達目標値から逆算するのか!」
興味を持ったので、とにかく確かめてみようという気持ちになり、計算をしてみました。
結論から言っておくと「あれ、なんか実感と違うんだけど良いんだろうか?」という不安に苛まれている。
恐らくどこかで認識の齟齬が発生しているので、是非見つけて「おい、素人マーケッター、貴様のここが違うんだよ!」と否定していただきたい。いや、冗談とかじゃなくてお願いします……。
計算してみよう
基本定義
計算をする前に基本的な定義からおさらいしておくと
獲得単価(CPO):顧客一人当たりを獲得するのにかかったコスト。広告費÷顧客獲得人数で算出する。
クリック単価(CPC):広告→BLPにかかるコスト
遷移率:BLP→HLPに遷移したユーザーの割合
CVR(購入率、コンバージョン率):HLPを見て商品を購入・成約した率
広告をクリックした人が購入に至る率は、BLPからHLPに遷移したのちに、HLPでコンバージョンする必要があるので。$${遷移率×CVR}$$で計算できる。
そのため、購入が発生するために必要なクリック数nは
$$
n × 遷移率 × CVR = 1\\
\therefore n = \frac{1}{遷移率 × CVR}
$$
購入が発生するために必要なクリック数nが計算できたので、次はCPO、顧客一人を獲得するのにかかったコストを計算してみよう。
$$
\begin{split}
CPO &= 1人購入に至るまでに必要なクリック数 × クリック単価\\
&= \frac{1}{遷移率 × CVR} × CPC\\
&= \frac{CPC}{遷移率 × CVR}
\end{split}
$$
このCPOの式はよく使うので適宜戻ってきてもらいたい。そして、私がこの段階で間違っていたら教えて欲しい。いや、ほんとに……。全てに自信がない。
現状実績値・平均値・必達目標値という3つの水準が登場する
現状実績値:改善したいクリエイティブの実績値
必達目標値:採算のあうCPOを基準としたときに必要な遷移率・CVR
平均値:同商品・同媒体における別クリエイティブ群の平均値
と理解したのですけど、間違ってますかね……?個人的には必達目標値を計算するときに齟齬ってるのかな…なんて。
必達目標値について詳しく
必達目標値とは「採算が合うCPO」を達成するときに、必要な遷移率・CVRの事である。
つまり、必達目標遷移率を計算するとき、現状のクリック単価やCVRは現状実績値のまま変更させないということ(だと私は理解したんだけど…)。
$$
目標CPO = \frac{CPC}{目標遷移率×現状CVR}\\
\therefore 目標遷移率 = \frac{CPC}{目標CPO×現状CVR}
$$
同様にCVRの目標値は以下の式で表せられる。
$$
目標CVR = \frac{CPC}{目標CPO×現状遷移率}
$$
こう考えたんですけど、間違ってますかね……?個人的にはここがめちゃくちゃ怪しいと考えてるんですけど……。
難易度指標について
遷移率の難易度指標は
$$
\begin{split}
難易度指標(遷移率) &= 平均値 ÷ 目標値 \\
&=平均遷移率 ÷ \frac{CPC}{目標CPO×現状CVR} \\
&=\frac{平均遷移率×目標CPO×現状CVR}{CPC}
\end{split}
$$
CVRの難易度指標は
$$
\begin{split}
難易度指標(CVR) &= 平均値 ÷ 目標値 \\
&=平均CVR ÷ \frac{CPC}{目標CPO×現状遷移率} \\
&=\frac{平均CVR×目標CPO×現状遷移率}{CPC}
\end{split}
$$
この値の低い方が理論上難易度が低いということである。ので大小関係を確認する。
$$
\begin{split}
難易度指標(遷移率) &= 難易度指標(CVR)\\
\frac{平均遷移率×目標CPO×現状CVR}{CPC} &= \frac{平均CVR×目標CPO×現状遷移率}{CPC}\\
平均遷移率×現状CVR &= 平均CVR×現状遷移率
\end{split}
$$
$${平均遷移率×現状CVR = 平均CVR×現状遷移率 }$$の左辺が小さければ遷移率(BLP)を優先し、右辺が小さければCVR(HLP)を優先して改善すべきということになる。
つまり遷移率(BLP)を優先する場合は以下の不等式が成り立ち、
$$
\begin{split}
平均遷移率×現状CVR &< 平均CVR×現状遷移率
\frac{平均遷移率}{現状遷移率} &< \frac{平均CVR}{現状CVR}
\end{split}
$$
CVR(HLP)を優先する場合は不等号の向きが逆になるだけである。
$$
\begin{split}
平均遷移率×現状CVR &> 平均CVR×現状遷移率
\frac{平均遷移率}{現状遷移率} &> \frac{平均CVR}{現状CVR}
\end{split}
$$
いやちょっとまて
最終的に「平均値÷現状実績値」を遷移率とCVRでそれぞれ計算して小さい方が難易度が低いから優先すべきってなってないか、これ?
色々おかしい。
おかしいところ1つ目
まず、わざわざ必達目標値を計算したのに、完全に無駄になっている。最高にクレイジー。そりゃそうなんだよ。
例えば
CPOを$${\frac{1}{a}}$$にしなければならない。
クリック単価と、相手側の実績は固定する。
この条件なら、目標遷移率も目標CVRも実績のa倍になるだけだ。
「平均値÷目標値」としているけど、やっていることは「平均値÷実績値」をして比較するのと変わるわけがない。定数倍しようが不等号の向きは変わらないんだから。
おかしいところ2つ目
「平均値÷現状実績値」を遷移率とCVRでそれぞれ計算して小さい方が難易度が低いから優先すべきという結論に違和感。
個人的な経験上、平均値よりも悪い数値を出している要素を改善する方が難易度が低いことが多い。しかし導きだされた結果は逆だ。「平均よりも素晴らしいクリエイティブのほうが改善しやすいよ」と言っている。
うそでしょ?今までの経験がすべて覆された感じだ……。
まぁ、どこかで間違っているのでしょうが……。
おかしいところ3つ目
そもそも違和感をおぼえとけって話なんですが「平均値÷目標値」を計算して小さい方が難易度が低いとなっているがおかしい。
例えば、単純に考えてください。
平均値の半分の数値で目標が達成できる
平均値の倍の数値で目標が達成できる
この2つどちらが難易度が低いと思います?感覚で良いです。
普通の感覚であれば「平均値の半分で目標達成できるなら余裕そうだな。」と前者が楽だと思いませんか?
だって、平均的なクリエイティブの倍の成果を出さないと目標達成できない後者は結構な修羅な道ですよね?
これからどうしようか。
多分私はこれからもオレ流で「実績値÷平均値」が小さい方が難易度が低いと判断して優先順位をつけていくのでしょう。
ま、この部分を抜きにしても「ファンダメンタルズ×テクニカル マーケティング Webマーケティングの成果を最大化する83の方法」は名著なので学びは最高に大きいです。
これからも納得できる部分は吸収して、そうでない部分はオレ流でやっていこうと思います。
リスク低く起業してスモビジオーナーになるための情報が得られる定期購読マガジンもやっているので、是非見てください。
ここから先は
スモールビジネス大全
【低リスクで副業的にビジネスを立ち上げ自由に使えるお金を増やしたい方へ】 - 海外スモールビジネスの実例(ケーススタディ) - リスクを最…
サポートしたつもりで身近な人にプレゼントして上げてください.