読書メモ11 レジリエンスの時代ジェレミー・リフキン著 第6章
テイラー主義の発展形=トヨタ生産方式、そしてゲーミフィケーション。
「アマゾンの『サイボーグ・ジョブ』」(byエミリー・グンデルズバーガーp.179)
「商業の仕組みにフレデリック・テイラーが与えた影響は目覚ましかったが、その影響は、二〇世紀の間ばかりか今日に至るまで、社会の事実上すべての面ではるかに深くまで及んできた。
効率に対する彼の執着は、人間の営為の奥深くまで浸透し、人類の自己観そのものを変え、人間の精神だけでなく自然界にまで悪影響を与えている」(p.186)
「鴻海(ホンハイ)の創業者テリー・ゴウは、世界の労働者を強烈に非難した。『鴻海は、一〇〇万を超える労働者を抱えている。
人間も動物だから、一〇〇万もの動物を管理しなければならないので、私は頭が痛い』フォックスコンは労働者をロボットで置き換え続けており、ごく近い将来には『消灯した各工場』で一〇〇%自動化を達成することを目指している」(p.188)
「だが、未来の予想者たちは、次のような展開を見落としている。『レジリエンスの時代』には、何憶もの人が『レジリエントな雇用』に加わり、最も知能の高いテクノロジーにとってさえ複雑過ぎる、生態系の保全・管理という有意義な仕事に取り組むだろう。
この新時代は、私たちの主体性の概念そのものを変え、未来の各世代を、モノの生産と消費を中心とする『労働の倫理』から、自然界の世話をする『保全と管理の倫理』へと導く。
労働者の性質と機能の変化は第四部で取り上げ、レジリエンス革命の経済的を掘り下げよう。
人類に未来があるかどうかは、自らの生存と同胞の生き物たちの生存に対する共通の脅威に、私たちが種として結束して立ち向かえるかどうかに大きく左右される。同胞の生き物たちは、私たちとともに歩んでおり、私たちは彼らから恩恵を受けていることにようやく気づき、そのありがたみを理解し始めたところだ。
それでは私たちは、時間と空間の両面で自分の存在をどう捉え直し、地球温暖化のせいで急速に温まっているこの惑星に順応すればいいのか?化石燃料に主導された『工業の時代』に人類が加えた害に対して、地球の各圏が再適応しようと苦闘するのを、私たちは畏敬と不安の両方を覚えながら、周り中で目にしている。地球上の生命を支配するこの惑星のさまざまな強大な力を屈服させるには、人類の営為だけで十分だなどと信じていたのが、どれほど大きな心得違いだったかに、私たちは気づき始めている。
惑星規模の一つの文明として考えたり振る舞ったりするというのは、一世代前なら大げさで、馬鹿げているようにさえ見えたかもしれない。だが、今は違う。未来は暗いように思えるとはいえ、私たちの種と、同胞たる生きとし生けるものの多くが、来るべき苦難の数々を切り抜けることを可能にするかもしれない最後の切り札が残っている。その切り札をどう使って効果をあげるかを理解するには、地球上の生命とはいったい何か、そして、私たちの種がその中にどう収まっているかを、まったく新しい形で考え直す必要がある。
チャールズ・ダーウィンが一八五九年に著書『種の起源』を出版したとき、生命が歴史の中でどのように進化したかについての、私たちの考え方が変わった。彼の前提の多くが、今日もなお重要性を持っているが、彼が描いた構図は、全貌を語るにはほど遠い。近年、化学と物理学と生物学の分野で劇的な進展があり、生命がどのように誕生するに至り、どのように進化して自らを維持しているかについて、はるかに広大な物語が綴られ始めている。進化についての、この幅広い新たな説明は、まだ一般社会には広まっていないけれど、それは生命を形作ってきたさまざまな力に関する私たちの最も基本的な想定を打ち砕く。
そうした新発見が私たちに語る内容は、命ある地球の上で人間であるとはどういうことかという認識を、根本から変えるだろう。その地球は、相互作用する多種多様な主体から成り、それらがいっしょになって、私たちが存在し、栄える条件を定めている。この新しい知識こそが、正しく吸収されたなら、大切な見識を与えてくれ、そのおかげで私たちの種は、歴史上のこの瞬間に針路を変更することができ、自らの旅の行方を変えられるだろう。人類と、私たちに連なる進化上の家族全体を救うのに、それが手遅れにならなければよいのだが」(p.190)
陽性の西欧、ダーウィニズムと分析理性の行き着く先に、反転して、陰性の東洋的調和世界が展開するのだろうか?
光
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