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似すぎ。今の日本と『鎌倉殿の13人』

似てる。
似すぎ。
テレビの中に、まるごと今の日本。
烏帽子つけてるだけ。

風刺とはとても思えない。
「昔の人もバカだったんだよねー、僕らと同じで。あははっ」
という、ただ、上目線の現状肯定。

大の男が13人も集まってうだうだ評議する。
みんな私利私欲を言うから当然まとまらない。
出勤すれば職場で見られる風景そのままだ。
烏帽子つけてるだけ。

そもそも鎌倉幕府のおしごとって何? と思っていたら、
簡易裁判所、的なことらしい。
太郎と次郎が土地をとりあってどうたら言ってる。
訊いていいですか?

こんなちっさい案件が鎌倉幕府の全おしごとなら、
平家も奥州藤原氏も滅ぼす必要なかったよね。

頼朝を大河史上まれに見る糞パワハラ・セクハラ上司として描いておいて、
死んだとたんに「なんかすごく偉大だった」感を打ち出している。
いま現在、リアルタイムの日本とあまりに似すぎ。
酷似。
吐き気がする。

もう見なければいいのにと思いながら見ている。
目をそらすことが、卑怯な気がしてきた。戦線離脱というか。
エモいシーンに感動しないわけじゃない。梶原景時の最期は見てて泣きそうになった。中村獅童さんお疲れ様と心から思った。
でも、そこじゃない。
景時が主人公ならいい。違うじゃないか。
景時は悪くないと知っていて、殺す北条義時のほうが主人公だ。

なんで? なんでこいつが主人公?
なんでこいつを応援しなきゃならない?

小栗旬さん演じる義時は言う、
「鎌倉を守るのが私のつとめですから」
その守らなければならない《鎌倉》って何?
いまの私たちにとって《鎌倉》に該当するものは何?

《民主主義》ではないだろう。
たぶん《自民党》だ。

頼朝も嫌悪しか感じられないキャラクターのまま終わったが、
前から書いているように、私がどうしても受け入れられないのは義時だ。
小栗旬さんのファンだからものすごく辛い。
でも、だめなものはだめだ。

全体のために個人を殺す。
それが全肯定されるドラマを、私たちはなぜ平気で見ている?

民主主義を殺したのは貴方だよ、義時くん。
真実を隠蔽し、自殺者を出し、暗殺者まで出したのは貴方だ。
あ、ごめん、義時くんじゃなかった。

もう一度書く。何度でも書く。
フィクションだからと笑って流す人は、
フィクションの力を見くびっている。


【付記】
最近、画面に映る小栗旬さんが、あまりに精彩を欠く。ご病気?と心配になるほどだ。三浦義村役の山本耕史さんなどは悪役なほど燃えるタイプらしく(俳優さんあるある)、今回も嬉々として演じておられるけれど、小栗さんは違うのかもしれない。もっと物を考える人なのかもしれない。だとしたらなおさら痛ましい。彼をこんなふうに使う三谷幸喜とNHKに怒りが止まらない。


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