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透明なシェイクスピア

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もっとクリアに刺さるシェイクスピアを! 新しい翻訳の試みを語ります。 (付記)紙の本、神保町の共同書店PASSAGE(パサージュ)で取り扱っていただいています。どうぞよろしく。…
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2020年1月の記事一覧

「生きるべきか死ぬべきか」、それは誤訳だ。『ハムレット』の"例の箇所"について(透明なシェイクスピア(1))

To be, or not to be, that is the question.『ハムレット』三幕一場の「例の箇所」だ。いま、この記事を読んでくれているあなたは、どういう日本語訳で覚えているだろうか? 「生か死か」? 「世に在る、世に在らぬ」? 「生きるべきか死ぬべきか」? あえて言おう。どれも、誤訳だ。 え、どこが誤訳なの? と、あなたは問うかもしれない。 "be"という動詞には「存在する」という意味があるから、その不定詞"to be"は「存在すること」つまり「生き