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映画日誌’24-12:カラーパープル

trailer:

introduction:

ピュリッツァー賞を受賞したアリス・ウォーカーの小説を原作に、巨匠スティーブン・スピルバーグが1985年に映画化しアカデミー賞10部門にノミネートされた名作『カラーパープル』を、ブロードウェイのミュージカル版をもとにリメイク。制作総指揮にはスピルバーグのほか、オリジナル版に出演したオプラ・ウィンフリー、音楽を担当したクインシー・ジョーンズが名を連ねる。主演はブロードウェイ版でも主人公を演じたファンテイジア・バリーノ。同じくブロードウェイ版に出演したダニエル・ブルックス、『ドリーム』のタラジ・P・ヘンソン、『リトル・マーメイド』のハリー・ベイリー、シンガーソングライターのH.E.R.が出演する。(2023年 アメリカ)

story:

優しい母を亡くし、横暴な父に虐待され、10代で望まぬ結婚を強いられた女性セリー。父の決めた相手と結婚させられ自由のない生活を送っていたが、唯一の心の支えだった最愛の妹ネティとも生き別れになってしまう。そんな中、セリーは自立した強い女性ソフィアと、歌手になる夢を叶えたシュグと出会う。それまで父や夫の言いなりになっていたセリーだったが、彼女たちの生き方に心を動かされて少しずつ自分を愛すようになり、未来を変えていこうとする。

review:

スティーブン・スピルバーグが若かりし頃のウーピー・ゴールドバーグを主演に迎え、クインシー・ジョーンズの音楽で映画化した伝説の映画『カラーパープル』をリメイクしたブロードウェイ版ミュージカルを元にしたリメイクである。ややこしい。スピルバーグ版は観ていないが、“H.E.R.”ことガブリエラ・ウィルソン見たさで観た。にもかかわらず、しばらくどこに出てるのか分からなかった。なぜなら目立って歌わないからである・・・!彼女目当てで行くと肩透かしを喰らうかもしれないが、とてもキュートなのでファンには眼福だろう。

物語の舞台は20世紀初頭のアメリカ。父親から虐待を受け、10代で望まぬ結婚をさせられて奴隷のような結婚生活を送る黒人女性セリーが、自立した強い女性たちに影響されて自我に目覚め、自由を求めて立ち上がる物語だ。白人から差別される黒人という構図ではなく、あくまでも黒人コミュニティの中の出来事が描かれる。豪華なキャストによるミュージカルパートやドラマチックな展開に引き込まれ、最後まで中弛みすることなく観たし、それなり感動した。が、何となく物足りなくて、あまり心に残っていないのが正直なところ。

黒人、そして女性であることが二重の差別を生み、人間扱いすらされない凄惨な描写に心が潰されそうになるが、その後の筋書きがどこかファンタジーでまるでリアリティがなくなってしまう。そこでスピルバーグ版のあらすじを読んでみると、ミュージカルパートに食われて随分とストーリーが端折られていることがわかる。本来あるべき背骨がないような状況か。で、ここで身も蓋もないことを言ってしまうと、ミュージカル映画でリメイクする必要あった・・・?ということである(笑)。しかしとりあえずスピルバーグ版を観るべきだということは分かったので、そういう意味では観てよかった。

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