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映画日誌’24-40:エイリアン:ロムルス

trailer:

introduction:

宇宙空間を舞台に未知の生命体エイリアンとの死闘を描いた、リドリー・スコット監督による1979年の傑作『エイリアン』の”その後”を舞台に、エイリアンの恐怖に遭遇した若者たちの運命を映し出したSFサバイバルスリラー。『エイリアン』シリーズ通算7作目となる。リドリー・スコットが製作を手掛け、『ドント・ブリーズ』のフェデ・アルバレスが監督を務めた。『プリシラ』のケイリー・スピーニー、『ライ・レーン』のデヴィッド・ジョンソンらが出演する。(2024年 アメリカ)

story:

劣悪な環境で不自由な暮らしを強いられ、人生の行き場を失った6人の若者たちは、廃墟と化した宇宙ステーション「ロムルス」を発見し、生きる希望を求めて足を踏み入れる。だが、そこで彼らを待ち受けていたのは、人間に寄生して異常な速さで進化する恐怖の生命体・エイリアンだった。その血液はすべての物質を溶かすほどの酸性のため、攻撃することができない。逃げ場のない宇宙空間で絶望的な状況の中、6人の若者たちは宇宙最強にして最恐の生命体と対峙することになるが・・・

review:

何を隠そう、『エイリアン』をきちんと観たことがなかった。なんだかよくこういう話をしている気がするが、所謂「金字塔」と呼ばれる作品をたまに見落としてきている。リドリー・スコットの一作目が1979年なのでリアルタイムで観ていなくて当然なんだが、一作目を観てないと自ずとシリーズが公開されても観ようという気が起きず、ここまで来たという感じだ。ちなみに『プロメテウス』は一作目の前日譚なので観た。

今作は一作目の”その後”が舞台とのことで、一作目さえ観れば何とかなりそうだ。急ぎ配信で若き日のシガニー・ウィーバーの聡明な麗しさを目に焼き付けつつ、宇宙貨物船ノストロモ号の悲劇を体験する。1979年ということで、コンピューターのユーザーインターフェイスなどは古めかしいものの、「ユーズド・フューチャー」ないしは「デッドテック・フューチャー」と呼ばれる様式美で確立された世界観は決して古くない。

エッグ、フェイスハガー、チェストバスター、ゼノモーフと進化していく宇宙最恐生命体エイリアンの恐怖、アンドロイドの存在、ウェイランド・ユタニ社の目論見などをインプットして最新作に挑む。まったく陽が昇らない植民地惑星は、ブレードランナーで観た未来のよう。ディストピアの劣悪な環境で労働を強いられ、人生に希望を見出せな若者たちは、一縷の望みをかけて漂流する宇宙ステーションに辿り着く。

21世紀におけるプロダクションデザインはどうなっているのか?という関心があったが、一作目の世界観を踏襲しており、その割り切り方は潔くもある。20世紀に人々を震撼させた仄暗い宇宙空間の閉塞感もそのままに、歴代シリーズのオマージュやお約束が散りばめられ、クリーチャーと対峙する恐怖が再来する。力の限り闘う女性=レインの姿は一作目のリプリーを彷彿とさせる。ていうかリドリー・スコットが描く女性像、みんなことごとく強くていいぞ。

そして誰よりも人間らしい振る舞いをしていたアンドロイドのアンディに訪れた変化は、優れた人工知能と人間の共存は、本当に人間に幸福をもたらすのか?という哲学的な問いを孕む。スリラーとして存分に恐怖を味わいながらも、人間の末路を考えさせられるテーマだった。んで、隣の座席にお座りになったお方が伸びをして大きくワキを開く度に強烈なスメルが漂ってきて、ゼノモーフが口を開いたときの臭いとしてインプットされてしまったことも相俟って、エキサイティングな映画体験だったよね。4DXか。

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