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映画日誌’24-53:山逢いのホテルで
trailer:
introduction:
『バルバラ セーヌの黒いバラ』『ボレロ 永遠の旋律』などで知られるフランスの俳優ジャンヌ・バリバールが主演を務めたラブストーリー。障がいのある息子への献身的な愛と現実逃避の夢の間で揺れ動く女性を描く。監督・脚本を手掛けたのは、ファッションデザイナーとして活躍してきたスイス出身のマキシム・ラッパズ。本作で長編監督デビューとなる。共演は『ロスト・メモリー』などのトーマス・サルバッハーら。(2023年 スイス・フランス・ベルギー合作)
story:
スイスアルプスをのぞむ小さな町で仕立て屋を営むクローディーヌは、障がいのある息子をひとり育てている。毎週火曜日、彼女は山間のリゾートホテルで一人旅の男性客を選んでは、その場限りのアヴァンチュールを楽しむもう一つの顔を持っていた。そんな日々のなか、ある男性との出逢いが、もう恋を追いかけることなどないと思っていたクロディーヌの人生を大きく揺さぶることになる。
review:
マチュー・アマルリック監督『バルバラ セーヌの黒いバラ』でセザール賞主演女優賞に輝き、『ボレロ 永遠の旋律』では圧巻のダンスを披露した、フランスの名優ジャンヌ・バリバールが、大人のラブストーリーを演じてる。素晴らしい俳優なんだけど、映画における濡れ場は最小限でいいと思うタイプの人なので、高齢者の生々しいまぐわいがなかなかしんどい。何を見させられているんだという気持ちにさせられたのは事実だし、際どい描写が無くても作品として成立したと思うので、もう少しソフトにしていただいたほうが物語に集中できたなぁ。
鑑賞後すぐは少々ゲンナリしてたけど、しばらく経ってから、ああ、あれは非常に美しい映画だったのだな、と、ふと思い至った。美しいピアノの旋律が縁取る、いくつかの印象的なカットが脳裏に焼き付いている。スイスの壮大な山々と湖畔に囲まれた、世界最大級のグランド・ディクサンス・ダムの麓に実在するホテルが舞台だ。我々日本人にとっては黒部ダムを彷彿とさせる、壮大なランドスケープが美しい。大自然に与えられた人工的な形象の中を、その風景におよそ似つかわしくないブーツを履いた一人の女性が闊歩していく。
その女性、クローディーヌは週に一度、一人客の男性とその場限りのアバンチュールを楽しみ、何事もなかったかのように母としての日常に戻っていく。派手なメイクと白いワンピースをまとい、男を目線で誘惑する一方で、麓の小さな街で仕立て屋を営みながら、障がいのある息子に献身的な愛を注いでいる。その二面性を巧みに体現したジャンヌ・バリバールが素晴らしかったし、饒舌すぎない脚本も悪くなかった。が、狙いだとしても、テーマといい人間関係といい全体的にレトロなのよね・・・。映画を観ている間も観た後もずっと考えていたことは、また立山黒部アルペンルートに行きたいなぁ、であった。
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