10月に読んだ本まとめ【年200冊読む】
Kindle Unlimitedがなければ、とっくに破産している本の虫が10月に読んだ本まとめ。
簡単な感想があったり、なかったりします。
97冊目『地図と拳』小川哲
直木賞受賞が決まってすぐに買ったのに、今まで積みっぱなし。ボリュームがね……手をつけるまでちょっと躊躇しました。
読む人によって、誰を主人公と見るかだいぶ意見が分かれそう。わたしは細川かなと。序盤へろへろだった細川があんなに大きくなるなんて……と謎に親目線で読みました。
98冊目『盟約の少女騎士』陸秋槎
『地図と拳』がどうにも寝る前に片手で読める厚さではなかったので、就寝前にKindleで並行して読んでました。
数学的ミステリとSFの印象が強い陸秋槎ですが、中世ファンタジーも書けるんだなあと驚き。訳はやっぱり稲村さんに限る。
99冊目『なれのはて』加藤シゲアキ
単行本発売が10月25日でしたが、待ちきれず9月末発売の小説現代10月号で全編一気読み。(修正前の原稿らしい)
校正前の原稿のせいか、なんか惜しい。すごく惜しい。メインテーマはとても良いのに、原稿を膨らませるためなのか色んなエピソードがごちゃごちゃに詰め込まれていて、しかもそれが本筋にはあまり関係ないという状態が散見される。
結局あの話なんだったの?と思うことが多すぎて、ラストシーンの感動が薄れてしまったのが残念。校正後の単行本に期待。
100冊目『レーエンデ国物語 喝采か沈黙か』多崎礼
記念すべき今年100冊目は『レーエンデ国物語』の3巻。1巻も2巻も苦しい終わりだったので、そろそろレーエンデ独立への光が欲しいと思いながら発売日に一気読み。紙媒体で買ったところ、掌編の小冊子が挟まっていて、その時点でめちゃくちゃ泣いた。ユリアとトリスタンをどうにかして幸せにしたいし、テッサとルーチェに明るい未来をあげたい。
1巻2巻よりはまあ穏やかじゃん、と思ってるところを突然ぶん殴られて撃沈。しんどいブロマンスでした。
ユリアが見出し、テッサが命懸けでまいた種が、革命の歴史ごと抹消されながらもリーアンとアーロウの手によって芽吹く。4巻と5巻は2024年発売らしいので、キリン並みに首を長くして待ちます。
101冊目『彼女の色に届くまで』似鳥鶏
似鳥鶏の改行少なめ文章がわりと好きだということに気づきました。
天才少女に自身の才能のなさを突きつけられる主人公くんの構図、創作やってる身としてはだいぶつらい。作中で「平凡を平凡な方法で抜け出そうとする平凡」という言葉が出てきますが、まさしく自分がそんな感じ。
102冊目『[映]アムリタ 新装版 【新装版】』野崎まど
なんというか……しょうもない会話文と雰囲気だけで押し通したような小説なのに、読み終わったらすごいもん読んだなあって思うんですよ。
最近のメディアワークスはキャラ文芸とかエモ系恋愛小説ばかりだけど、大賞一作目はこんな尖った話だったのも驚き。今は講談社タイガのほうが野崎まどに合ってるけど。
103冊目『先生とそのお布団』石川博品
ただの作家の私小説かと思いきや、果てしなく猫のことを想う小説でした。猫飼ったことないのに号泣した。
読み終わった後で、高校生の頃めちゃくちゃ好きだった『ヴァンパイア・サマータイム』と同じ作者だと気づく。ファミ通文庫の無情な打ち切り祭りに苦しめられながら、書き続けてくれてありがとう。ファミ通文庫のことは忘れて、ガガガ文庫で頑張って……。
104冊目『後宮の検屍女官4』小野はるか
新刊が出るとそのひとつ前がKindle Unlimitedの対象になる金欠にはありがたいシリーズ。Kindle Unlimitedは読んだページ数によって作者に入る金額が変わってくるらしいので、作者に一銭も入らない古本よりマシ。
せっかちおばさんなので、なかなかくっつかない二人を焦れったく思っている。
105冊目『キーリ 死者たちは荒野に眠る』壁井 ユカコ
名作ラノベと聞いて期待大。Kindle Unlimitedで全巻読み放題対象でした。
序盤からぐいぐい引き込まれる。重ためハードボイルドの中で、甘酸っぱい二人のやりとりが映える。キーリとハーヴェイのやりとり、ちょっと少女小説らしさも感じるよね。
106冊目『永遠についての証明』岩井圭也
フラッツ予想をはじめて知った時に、実際に計算してみて本当にどんな数字からはじめても1になるのに感動したことがあります。4→2→1ときて、さらに1→4→2→1と無限ループに入るのめちゃくちゃ面白くないですか??
森博嗣、井上真偽、陸秋槎、ここらへんの数学系小説好きな方におすすめですが、数学的な面白さよりも天才が沈んでいくしんどさをこれでもかというほど見せつけられるので、感受性高い方は読まないほうが精神衛生的によかったり。元気な時に読んでください。わたしは後半しんどすぎてずっと泣きながら読みました。
どこかで作者の名前を見たことあるなと思ったんですが『この夜が明ければ』を買ったまま読んでなかっただけでした。
107冊目『硝子の塔の殺人』知念 実希人
大変失礼ですがこの作者Twitterでワイワイ(隠喩)やってる人ってイメージしかなかったので、ずっと読むの避けていて、ようやく初読。なぜ、なぜ阿津川辰海に触れない……! 令和の本格派筆頭といえば阿津川辰海でしょ。今村昌弘が出てくるのに阿津川辰海が出てこない謎。(阿津川辰海デビュー後に書かれたものなのに……)
話面白いのにね、Twitterでワイワイやってるのもったいないですよほんと。
108冊目『喜嶋先生の静かな世界 The Silent World of Dr.Kishima』森博嗣
中村さんが同じゼミにいたらたぶん好きになってる。学生時代、大学図書館の地下書庫で資料漁ってコピー取ってる時が一番楽しかったかもしれない。お金が許すなら大学院行きたかったな。
109冊目『ラザロの迷宮』神永学
場面転換が目まぐるしすぎて、読んでいて疲れが……。もうすこしひとつの視点でまとまった分量を読みたかった。
話としては好きな人はめちゃくちゃ好き、嫌いな人はとことん嫌い、人によってかなり評価の分かれる出来。残念ながらわたしには合いませんでした。同じ作者の『心霊探偵八雲』シリーズのほうが50倍面白いと思ってしまう。
110冊目『星くずの殺人』桃野雑派
『老虎残夢』以来の桃野雑派。特殊設定ミステリなら桃野雑派!を確立しつつある。前回は気功の使い手が密室で殺される話だった。
ほんのちょっと先の未来(コロナ禍以降らしい)、格安宇宙旅行の最中に起こる無重力下での首吊り事件。この設定がすでにもうめちゃくちゃ面白い。キャラ造形も良いし、展開も文句なしの面白さ。ネタバレ見ずに読むことをおすすめします。
というわけで今月は14冊でフィニッシュ。ほぼ2日に1冊ペース。今月の上旬にコンテスト用の長編を書き終わってから、残り期間はインプットに専念しようと躍起になった結果です。おかげで次はミステリーを書きたいなあと思いながら、自分の頭の悪さに絶望しました。
来月は111冊目からスタート。あと2ヶ月で89冊読むってまじ?
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