働きながら大学に通った4年間を振り返る【2部進学を考えている人へ】
高卒の夫はわたしに向かってよく言います。
「俺も家が金持ちだったら大学行きたかったな~」
そんな時わたしは黙って受け流すのですが、内心では「そんなに行きたかったなら働いて行けばよかったじゃん!!」とふつふつ思っているのです。
なぜならわたし自身が、どうしても大学に行きたくて、勉強をしたくて、働きながら大学へ通うという選択をしたから。
就職を先延ばしにしたいとか、ただモラトリアムを満喫するためだけに大学へ行きたいという夫を、心のどこかで軽蔑しているんだと思います。自分で学費を稼いでまで行きたいとは思わなかったんでしょ? って。
今は住民税非課税世帯だと国立大学の学費無償化という素晴らしい施策をやっています。
しかし、わたしが進学した2016年当時はまだなにも支援がない状態でした。
今回は働きながら大学の2部(夜間部)へ通っていた、人生で一番頑張った4年間を振り返ろうと思います。2部進学を考えている方の参考になれば幸いです。
世帯年収と学費、奨学金について
まず金の話からしましょうかね。
我が家は母+子2人のバリバリ母子家庭でした。父親は蒸発しているので養育費の支払いは一切なし。母は内部障がいがあったので非正規雇用でした。
母の年収は120万円。住民税非課税世帯です。
大学2部の学費や、わたしがもらっていた奨学金、月の手取りについてはこちら。
学費以外にも交通費や生活費などがかかってくるので、年50万円がギリギリ払える額でした。一人暮らしは無理で、実家暮らしです。
頭が悪いなりにかなり頑張って成績優秀者の枠にしがみついていたため、大学が用意する給付型の奨学金をもらえていました。
実質1年学費免除+教科書代全額無償でした。大学の教科書は専門書が多いので、けっこうお金がかかります。
後で詳しく説明しますが、日中は大学内で働いて、夜に講義を受ける生活です。週5日7時間勤務で手取り13万円くらい。首都圏の人から見たら安いと思われるかもしれませんが、地方だと大卒初任給の手取りとほぼ同じくらいです。
限界すぎる1日のスケジュール
就活が始まるまでの3年間のスケジュールを紹介します。
ちなみに3年間で2回ほど過労で倒れたり、扁桃腺炎と膀胱炎に同時にかかったりしたので、おすすめはしません。
保証人がいる、もしくは保証金を払える方は大人しく貸付型の奨学金に頼りましょう。(わたしは保証人がおらず、保証金も払えませんでした)
月~金はこんな感じ。2部は1日2コマしか受けられない代わりに、土曜日も当たり前のように講義があります。土曜日は仕事が休みで、講義だけ受けに行っていました。完全な休みは日曜日のみ。
本当は17時までの勤務なんですが、司書課程の講義を受ける都合上、休憩時間を16時~17時にずらしてもらって、パートのおばちゃんにタイムカードを切ってもらっていました。
大学内での勤務だと、こういうところで融通がきくので本当にありがたかったです。忙しい時や欠勤する人が現れると問答無用で呼び出されるデメリットもありますが。
通学に1時間半かかるのと、けっこう本格的に活動するサークルにいたので睡眠時間が5時間になっています。ここは本当に真似しないでください、わたしはたまたま運が良くて死ななかっただけです。
ただ、どこかしらのサークルには所属しておいた方が良いと思います。大学の試験は情報がある方が圧倒的に有利なので、同じ学部の先輩と仲良くしておくに越したことはないです。
ネットで散見される2部についてのウソホント
ネットを見ていると、ちょっとそれは偏見かな~とか、そんなことないけどみたいな情報があるので2部卒業者として軽く触れておこうと思います。
2部出身だと就職に不利?
就活時、履歴書に2部在学であることを書く必要はありません。
ですが、わたしは2部在学をアピールして就活をしていました。だって日中働きながら勉強しているって、それだけで強みになりません?
実際「働きながら大学に通っています!」と言うと面接官のウケが良かったです。就職前から働くことへの土台ができあがっている状態ですからね。
なんで2部の就職率は悪いの?
これは簡単。2部には昼間よりも圧倒的に社会人や定年退職した方が多いからです。そもそも昼間と比べて、卒業後の進路が「就職」になる人の数が少ないんですよね。
現役の学生はほぼ例外なく就職します。2部から大学院に行く人はめったにいません。大学院に行けるお金があったら、2部なんか来てないんだよ。
昼間の学生を見て虚しくならないの?
たまーに聞かれます。夜に講義受けるのつらくない? とか。
これに関しては、大学へ通う目的によると思います。夢のキラキラ大学生生活! みたいなのを想像して入学すると、たぶん虚しくなって卒業までこぎつけません。
絵に描いたようなキャンパスライフも、就職までの輝かしきモラトリアムも、2部には存在しないからです。
一方で「学費を抑えて勉強したい!」とか「お金はないけど、どうしても大学に行って研究したいことがある!」みたいな人には天国のような場所です。
似たような学生の集まりなので熱量が高く、わりとみんな働いてギリギリの生活をしている人ばかりなので助け合いの精神がすごいです。
決して昼間の学生を馬鹿にするつもりはありませんが「金はあるし就職したくないからとりあえず大学入ってみた」的な人を視界に入れたくないのであれば2部進学をおすすめします。
本当に大学へ行きたい人にしかおすすめしない
どうですか? 大変だなと思いました? それとも、これならできると思ったでしょうか。
正直、つらいことの方が多い4年間でした。お世辞にも楽しい大学生活とは言い難かったです。睡眠時間はまともに取れない、試験前でも休みが取れず、常に時間に追われている状態。奨学金の給付を続けてもらうためにも、講義をサボったり単位を落とすことは決してできませんでした。
自分の身を犠牲にしてまで、勉強したいことはありますか?
茨の道を走り抜けて、卒業まで頑張れますか?
生半可な気持ちで2部へ進学すると、きっと後悔すると思います。体を壊して途中で働けなくなり、学費を払えずに退学した同期もいます。2部へ通っていることから世間の偏見に晒されることもあるでしょう。昼間の学生に見下されることも、一度や二度じゃありません。
よく考えてください。自分はそこまでして、本当に大学へ通いたいのか。
このnoteが少しでも現実を見る手助けになったのなら、幸いです。
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