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お金はただの紙切れではない それを信じる力が、未来をつくる!

さくらはその日、いつものように朝のコーヒーを手に取り、少しだけのんびりした時間を過ごそうとしていた。東京の空は晴れていて、窓から差し込む光が彼女の小さな部屋を優しく照らしている。22歳で上京してから、東京での生活には慣れてきたものの、心のどこかにずっと感じている不安があった。派遣の事務員として働く彼女の収入は決して十分とは言えず、老後の心配があるからだ。
少しでも将来への不安を和らげようと、投資を始めたものの、まだ100円をオールカントリー(オルカン)に投資しただけ。彼女にとって、それは大きな一歩だったが、まだ本格的に投資家とは言えない状態だった。

コーヒーの香りが広がる部屋で、さくらはいつものようにスマホを手に取り、Twitterをチェックしていた。

最近は投資関連のアカウントを多くフォローしており、次々と流れてくる情報に目を通すのが日課となっていた。そんな中、ある一つのツイートが彼女の目に留まった。

「お金は信用でできているんだよ。」

その一言が、彼女の心に深く響いた。「お金が信用でできている?」さくらはその言葉を頭の中で繰り返した。お金というものは、単に物を買うための手段、毎月の生活費を支払うための道具だとしか考えていなかった彼女にとって、「信用」という言葉が結びつくことは、これまで思いもしなかった発想だった。

ツイートはさらに続いていた。「お金自体には価値がない。みんながそれに価値を見出しているから成り立っているだけ。もし誰もお金を信用しなくなったら、それはただの紙切れになるんだよ。」

「お金がただの紙切れになる…?」さくらはその言葉に少し戸惑いを感じながらも、同時に興味が湧いてきた。今まで当然のように使ってきたお金というものが、実は人々の「信頼」によって成り立っているという事実が、彼女の中に新たな疑問を生み出した。

午後、彼女は昼食を簡単に済ませると、兄に電話をかけることにした。さくらには2歳上の兄がいて、昔から何か困ったことがあれば相談する相手だった。兄は東京で働き始めて数年が経ち、さくらよりも経済や社会について詳しかった。

電話がつながり、兄の声が聞こえてくると、さくらは自分の疑問をぶつけた。

「お兄ちゃん、お金って本当に信用でできてるの?それってどういうこと?」

兄は少し笑ってから、「お金の本質について話すとね、もっと奥が深いんだよ」と、さくらが期待していた以上の説明を始めた。

「例えば、昔の歴史を見るとわかるけど、物々交換が経済の基盤だった時代があったんだ。お金がまだない時代、みんなは直接物を交換して生活していた。牛を持っている人はそれを米と交換したり、パンを作っている人は木材を持っている人と物を交換していたんだよ。でも、こういう物々交換には大きな問題があった。たとえば、牛を欲しいと思っているけど、相手がパンではなく鉄を欲しがっていたら、交換が成り立たない。だから、もっと便利な交換手段が必要になったんだ。」

さくらは「うんうん」と頷きながら、兄の話を興味深く聞いていた。

「そこでお金が登場した。最初は金や銀といった貴金属が使われていたんだ。みんながその貴金属には価値があると信じていたから、物と交換できる共通の基準として機能したんだよ。でも、金や銀だって実は、信頼があって初めて機能するものだったんだ。例えば、もし誰も金に価値があると思わなくなったら、それはただの重たい金属でしかない。」

さくらは「へぇ、そんな風にお金ができたんだ…」と感心して聞いていた。

「もっと面白いのは、紙幣が登場したときだよ。紙幣って、ただの紙だろ?でも、その紙切れに価値があるってみんなが信じたからこそ、お金として使えるようになったんだ。紙幣が初めて大々的に使われたのは中国なんだよ。11世紀の宋(そう)朝の時代に、金や銀の代わりに紙幣が発行され始めた。これも、最初は『こんな紙に価値なんてない』って思う人もいたらしいけど、やがてその紙を受け取ると、他の人もそれを使えるとみんなが信じるようになって、広がっていったんだ。」

「中国が最初に紙幣を作ったの?」さくらは少し驚いた。そんなことを知らなかったからだ。

「そう。だけど、紙幣も完全に信用が崩れたら意味を持たなくなることもある。たとえば、ドイツのヴァイマール共和国の時代に、ハイパーインフレーションが起きた話は有名だよ。第一次世界大戦後、ドイツは莫大な賠償金を支払わなければならなくて、政府はお金をどんどん刷ってしまったんだ。その結果、通貨の価値が急激に下がって、パン一個を買うために何億マルクものお金が必要になるっていう事態になった。紙幣の信用が完全に崩壊したんだよ。」

「パン一個で何億マルク?それって、どうやって生活してたの?」さくらはその話を聞いて、衝撃を受けた。

「みんな、物々交換に逆戻りしたり、外貨を使って生活したりしてたんだよ。お金の信用がなくなると、それはただの紙切れになっちゃうんだ。」

さくらは兄の話を聞きながら、お金の背後にある「信用」という概念がどれだけ重要かを理解し始めていた。「じゃあ、今の私たちが使っているお金も、みんながそれを信じてるから成り立っているんだね。」

「その通り。だから、どれだけお金を稼いでも、国や経済への信頼が崩れたら、そのお金は無意味になることもある。そう考えると、投資も同じで、信頼できる会社や国にお金を預けることが大切なんだよ。」

さくらは、自分が投資した100円について考え直した。ほんの小さな一歩だと思っていたその投資も、実は「信用」に基づいて成り立っていることに気づいた。彼女がオルカンに投資したのも、世界経済を信頼しているからだ。そして、その信頼があればこそ、お金は未来への約束として機能するのだ。

さくらはその夜、自分の投資口座をもう一度確認した。まだ100円しか投資していないが、その100円もまた、彼女自身が何かを信じているからこそ投資したものだ。彼女が選んだオールカントリーは、世界中の企業に分散投資する商品だったが、その背景には彼女が「世界経済は信頼できる」と思っているからこそ、その商品を選んだのだと気づいた。

「お金は信用でできている…」さくらはその言葉を何度も反芻しながら、これからも投資を続けていく決意を新たにした。

これからも投資頑張るので、皆応援よろしくね😚
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