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ベルリンの建築 巨匠ミース・ファン・デル・ローエが手掛けた住宅作品(旧レムケ邸)のはなし
大学院のベルリン研修の合間に一人で中心部から抜け出して、ベルリン郊外にあるミースが手掛けた住宅作品 Mies van der Rohe Haus (旧レムケ邸)に行ってきました。
せっかくベルリンに来たのに見たい建築、アートがたくさんありすぎて時間が全然足りない!と、あふれる情報量にあたふたしながら急いでこの旧レムケ邸に向かいましたが、、、
近くには湖があり、自然も多くとてもゆったりとしたベルリン郊外の住宅街。中心部とまったく違う時間の流れを感じ、
「ああ、もう、私はなにを焦っていたんだ」と
その場その場を十分に堪能してなかったことに気づきました。
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ミース・ファン・デル・ローエと言えば近代建築 三大巨匠の一人。
ベルリンの中心にある新ナショナルギャラリーが有名な作品です。
私は新ナショナルギャラリーを訪れてから旧レムケ邸に来たのですが、モダニズム建築の鉄骨、ガラス、コンクリートのイメージとは違って、この旧レムケ邸は伝統的な赤い煉瓦が外壁に使用されていてどっしりとした印象。
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レムケ夫妻は当時バウハウスの校長をしていたミースに小さく控えめで天気のいい日には庭へ拡張できるような住宅の設計依頼をしたそうです。
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外観はとてもシンプルで、L字型のどっしりとした煉瓦の建築に大きな開口部が庭に向かって設置されています。
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外部と内部を仕切る開口部に段差がほぼないので室内から見ると本当に庭まで一体のような解放感のある空間でした。
外から見るとシンプルかつ控えめだった住宅が室内からは庭まで広がる大きな空間になるのです。
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開口部分を壁にするとかなり圧迫感のある空間になっていたと思います。
ミースの言葉に「less is more」があります。
少ない事はより豊かという意味ですが、
個人的には余分や余白というような余っている一見無駄な空間や時間が好きで、そこにこそ本来の豊かさや贅沢さがあるのではと思っています。
なので余分なものをそぎ落とすことにそれほど魅力を感じていませんでした。
目まぐるしい日々とにぎやかなベルリン中心部から、時間のない中で急いでここに訪れて焦っていた自分がいたこと
溢れる情報から大量の知識を取り込もうとしていたこと
そんな状態だった自分が思い立ってここへ訪れ、
依頼者がどういった空間を望んでいたのか、それにミースがどう答えたのか
無駄がないからこそ心が落ち着きを感じる。自分のペースを取り戻す感覚を実感し、これが最高の贅沢かと気づかされたのでした。
ベルリンへ行く機会があればぜひ一度訪れてみてください。
さくさくらでした
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