#小説
名探偵ボディビルディング【毎週ショートショートnote】
20XX年現在。世の中はAIによる犯罪が増えていた。
何せ、人間なら直前で倫理感や罪悪感で留まるであろうシチュエーションで躊躇うことなく遂行するのだ。命乞いも意味を成さない。
AIによって人類は考えるという事を手放した。AIが作ったニュースに踊らされ、政治家や著名人の醜聞が起こるたび、短絡的に一般人がAIに完全犯罪を行うよう命じるから、現在は法律やドラマ、声優、スポーツまでAIによるものに取って
大増殖天使のキス【毎週ショートショートnote】
「ねぇ、知ってる?外国にキスっていう意味のチョコがあるんだって」
幼なじみ(男)が私の部屋のベッドでマンガを読みながら言った。
「何、急に。」
私は冷めた目で幼なじみを眺めた。
「今読んでいるマンガに描いてあってさ」
ほら、と私にそのページを見せた。
「へぇ、最初売り出した時は『げんこつ』って名前だったんだ……」
私はベッドでポテトチップスをつまんでいるこいつを殴りたい。
「でも『げんこつ
運試し擬人化【毎週ショートショートnote】
ある夫婦に男の子が産まれた。
夫は芸人だった。芸能界は実力だけでなく、運にも恵まれていないとならない。
「なあ、子どもの名前なんやけどさぁ、あみだくじで決めたらオモロイと思わん?」
夫は、大吉、中吉…と紙に鉛筆であみだくじを書いた。
「はあ?何言うとんの!大吉とかならええけど、凶とか縁起悪いの出たらどないすんの?」
夫の提案に、妻は反対した。
「それはそれで、オイシイやろ!さあ、ひとつ選ん
カミングアウトコンビニ【毎週ショートショートnote】
ああ、この人だ。
会ったことのない君と街ですれ違った時、私は直感した。
私はこの人に恋をしないと決意した。
「今度からT君の弟がバイトに入るから、仕事教えてあげてね。」
店長が言うT君は、私の同級生で、私より前にこのコンビニで働いていた。
T君は私の事を嫌いだった。
T君の第一志望の高校に私が受かり、彼が落ちたからだ。
問題はT君に私が片思いしていた事だった。
私は弟のS君の前では、何とも思
ショートショート王様【毎週ショートショートnote】
昔々、ある島国に王様がいました。
王様は政に関してはとても優れていて、貴族も民も幸せに暮らしていました。
ただ、この王様には弱点がありました。
自分のこととなると、途端にヘタレになってしまうのです。
一般階級の女性に片想いをしているのですが、長いばかりで要領を得ない話しぶりになっていまい、まったく想いが彼女に伝わらないのです。
命令をすれば、彼女は手に入れられるかもしれません。
しかし王さま
結婚式ゾンビ【毎週ショートショートnote】
「本当に良いの?」
「ああ、いっきに殺ってくれ。」
生前の僕は、彼女の手で最期を迎えた。
終わりの後は始まりである。
僕は呪術師の彼女によって、10年後生ける屍として蘇った。
生前、皇位継承権を持っていた僕には何も自由がなかった。
お飾りだけの権力、きらびやかな城という監獄、愛してもいない婚約者。
生きているのに死んでいるようだった。
ある年、ひどい日照りが続いた。
作物は枯れ、人民は飢餓に
みんなで動かない【毎週ショートショートnote】
文明開化頃。
写真に撮られると魂がとられるという迷信があった。
これはある家族の物語である。
「写真に魂をとられるのは、あたしゃまっぴら御免だよ。」
とその家の祖母が写るのを拒否した。
「だけどさ、嫁ぐ娘の為に写真を撮ろうって皆で決めたじゃないか。」
と父親が説得する。
「嫁ぎ先が遠方だから、里帰りも難しいからね。」
母親の目が潤んでいる。
「写真技術師の人待たせてるから、早くして!」と
ポケット大増殖【毎週ショートショートnote】
勉強机からやって来た猫型ロボットは、「僕は里帰りする」と言い出した。
そいつは、国民的アニメの青いあいつにそっくりだった。
俺はロボットの出す道具に頼りきりだった。
そこで、俺はロボットに「里帰りするならポケットを置いていけ」と迫った。
ロボットは舌打ちをし、「ほら、ポケットだ。」と投げつけて、机の引き出しから里へ帰っていった。
俺はさっそくポケットに手を突っ込んだ。
「あん、あん、あ
神様時計【毎週ショートショートnote】
「『かみさまどけい には
おわって しまった ほし の じかん が
きおく されて います。
かみさまどけい が
なくなる と
ほし は そんざい を
わすれられて しまいます。
かみさま は ときどき
とけい を まきもどして
ほし の きおく を
ながめて います。
かみさま に とって
どの ほしも たいせつ な
たからもの でした。』
今日の絵本は、ここまで~!」
保育士が絵本を
ぴえん充電【毎週ショートショートnote】
毎週ショートショートnote、「ぴえん充電」にチャレンジしました。
落語みたいなかんじで読んでいただけると幸いです。
時は江戸文化が最高潮に花咲いていた頃。
人々は浮世絵と算術に夢中になり、長屋の前では朝顔などを育てるのが流行であった。
「ねえ、お前さん。ぴえん充電って知ってるかい?」
「何だい、藪から棒に。
充電ってぇ言うと、あれかい?
『えれきてる』のことかい?」
えれきてるとは江戸時