永田カビの最新作「膵臓がこわれたら少し生きやすくなりました」を読んだネタバレ・毒舌ありの感想
Kindle配信当日に読んだ
Kindle配信当日に読みましたー。
永田カビのエッセイは今のところ全部読んでます。
レズ風俗は流行り→作者の表現性や珍しい体験に興味が出た。
その後の作品→作者自身の今後に興味。
おもしろかったのは1作目で、その後はわりと惰性で読んでるかもしれません。
でも続いたらまた読むだろう惰性。そんな魅力がありますね。
ネタバレ・毒舌ありの感想なので注意して読まれたし⚠️
23.4.1:追記、編集
前作の内容が半分を占めてる
なんだろう。今回は。
半分くらいは前作のアル中からの膵炎で入院した話の焼き直しでした。
なので新しい情報や知見なんかはあまりない。
作者が作品を描きたいから(求められたから?)描いて出した、みたいな感じ。
前作の時系列で、前作では描かれなかったわりとディープな内容が描かれていて、前作の暴露本って感じ。
膵炎で入院→退院後→再度アル中で入院→…実は最初の膵炎で入院する前にアル中で精神科に入院していて一度は断酒に成功!入院中に両親が恋しくなり退院後の親子旅行を計画!でもその親子旅行の飲み放題でアル中再発!という、、。
まあ、第三者からすると呆れるのと同時に両親に対して同情してしまうような経緯があったようです。再発のタイミングがかなしい…。
それから前作の焼き直しの内容に。
読んでいる途中で、いや、前作1つにまとめられる内容を長引かすな。
と思ってしまった。
今作は比較的ライトな前作よりも、精神科への入院や、そこでの出来事、アル中になった心理的経緯なんかも描かれていて前作が表ならこちらは裏話といった感じ。
作者やメンタル持ちのアル中膵炎エピソードのリアルが赤裸々に語られていて、これは全作に言えることですが、普通の作家なら隠してしまうようなリアルな内容をあまり脚色せずに描かれています。
これは本当に永田カビならではのことだなーと思います。
なかなかできることではないので。
永田カビは作者というより自身がコンテンツとなってしまった。
毎度思うけど、炎上覚悟でここまで自分を赤裸々に描けるのはある意味他にはできないことではある気がする。
なんというか、作者自身がコンテンツになってしまったような感覚を覚えます。
ただ読んでいて、作者の成長は感じられない。
良くなったり悪くなったりの繰り返しで、全作を通して少しずつ成長しているが、漫画を公開したことによって?悪くなっているところもある気がする。
そこがまたリアルな病相と言える。
そして、結局作者はどうしたいの?健康になりたい?人との繋がりが欲しい?
自分の願望をふわっと描いているし、最後は「私がいかにだめ人間かというか事を書いたような話でしたが、こんな奴でもこんな事してても人生が好転する事ってあるんだ…と少しでも生きていく上で希望になれたら」と締めくくっています。
でも、それはもっと良くなってからの台詞では??
酒はやめられているのかもしれないですが、前作〜今作で思うのはそれをずっと続けられなければ延々と同じことの繰り返しなわけですよ。
それが今の作者には出来るのか?その準備ができているのか?
親に「お前は宝物だ」と言われて感動する気持ちがあるのであれば、その気持ちを無碍にしないためにも心身ともに健康である努力をすべきなのでは?
厳しいかもしれないけど。
でも作者の頭の中では、心身ともに健康であるためにはどうすべきか少しはわかっているはず。
断酒をして摂食障害を止め、他人と良く関わる術を学ぶべきでは?そうする為の方法を考えるべきでは?それには長い時間や労力、他の人(医療者含む)との関わりや援助がもちろん必要そうだけど。
そのために両親を足場にするのではなく自分の足で立てるくらいに健康でいなくてはいけないのでは。
それなのに、作者の中に自分が酷い目に遭う事でゆるされた気分になるもの(カタルシス的な?)がある気がするんですよね。
私の受け取り方もあるのかもしれないけど。
レズ風俗の中で描かれていた、自傷行為に関与すると思われる「自分が傷つくことで許されるような感覚」みたいなものを感じて、危ういと思ってしまう。
作者は漫画家ですが、自分自身をコンテンツにする事で売れてしまった。
自分のフィクションの作品よりも自分自身を作品にしてしまうようになった。
それって芸能人と似てますよね。
一般人であっても、噂の人、みたいな芸能人枠の人っていますけど、そういう人たちに近くなってしまった気がする。
でも、自身がコンテンツになることの向き不向きやリスク(芸能人として期待されるキャラが作者の健康にプラスなのかわからない)を違えてしまうと、作品を描くための病気の自分を作り出してしまうのではないかって恐ろしくなりますね。(病院からの脱走もこうして作品として描けますしね)
まとめ
永田カビだけじゃないことですが、そのままの自分自身に近い部分をコンテンツとして出してしまうと、自分への評価と作品への評価の棲み分けが難しくなる気がして心配ですね。
実際前作では「こんな事描いたらどんだけ叩かれるか…」という発言が冒頭に出てきます。読者の視線を意識している発言だなと思います。
作者は私よりも年上ですが、子どもっぽく見えてしまう。
本を読んでいて、自力で生きてやる!元気になってやる!何かを掴み取ってやる!という意識が感じられない。(気力が病気のせいで湧かないのかもしれない)
ただ、周りの人が助けようとしても、本人にその気がないのならどうすることもできないのですよ。
作者がそれに気づいて、今後は自分をコンテンツにしなくても愛される作品を作ってくれる、自己肯定感のある漫画家になってくれたら良いなあと思うのでした。
さんざん言いつつも、次も何だかんだ買う気がします。
惰性でとは書きましたけど、何だかんだ作者の更生を願っていますよっ。
おしまい。
永田カビの初エッセイ。私はpixivで読みましたが、本とはちょっとした違いがあったような。
この一人交換日記を読んで、生々しいメンタル患者のリアルを感じた気がする。
レズ風俗よりもリアルタイムの連載だったせいか、絵柄にも作者の精神状態が現れてた。
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