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昭和46年、石神井公園の西友、戸塚のダイエーなど、テナント出店が続く

1970年代初めに大流行したおもちゃと言えば、アメリカンクラッカーです。
金属のリングに結ばれたひもの先に、プラスチック製のボールがついていて、それを上下にカチカチ打ち鳴らして遊びます。
当時は「カチカチクラッカー」と言う名で販売していたと思います。
あまりの人気で、問屋さんでも品切れ状態でした。

ある日、おもちゃ屋を経営していた父がどこからか、アメリカンクラッカーの玉・ひも・取手のリング・ビニール袋・印刷されたヘッダー厚紙を持ってきました。
「どうしたの?」と聞いたら、メーカーの人手が足りなく商品が間に合わないので、やり方を習って部品だけ買ってきたと言いました。

その日から家族、近くに住んでいる社員総出で、カチカチクラッカー作りです。男たちが球に紐を付け、取手を付けます。そして女たちが袋詰めし、上部にヘッダーを止めてできあがりです。こんな時代もありました。懐かしいです。

今回は、1970年代、スーパーやショッピングセンターなどのテナント出店が続いていたころのお話です。


昭和46年、石神井公園の西友に出店

昭和46(1971)年、石神井公園店西友から出店依頼がありました。
後に私がさくらトイスに関わり出した時に、バンダイの営業の新入社員の方が石神井公園に住んでいて、小さい頃によくさくらトイスに行っていたそうです。
「まさか自分がさくらトイスの担当になるとは、夢みたいな話です。」と言われたのを思い出しました。子どもの頃の思い出に残っているなんてありがたいですね。

昭和47年、ダイエー戸塚店に出店

1972(昭和47)年、戸塚のブリジストン工場の横にダイエーがショッピングセンターを作ることになり、そこへも出店しました。工場の近くには社員寮もあってファミリー層が多く、ニーズがありました。

広さは30坪で、裏の駐車場側の立地でした。ひとつの店舗の中でも、場所によって売り上げが違います。本当なら正面玄関入口道路に面した側で出店したかった父はがっかりしました。
でも、車で来る人が多かったため、行き帰りにおもちゃ売場の前の通路を通るためかえって良い結果となりました。

高校生の頃だったと思いますが、クリスマスに戸塚店に手伝いに行き何日間か女子社員の家に泊めさせていただいた記憶があります。その節はお世話になりありがとうございました。
所沢、八王子、戸塚は、さくらトイス全店の中でも残る売り上げの良い店で、ずっと後まで残ることになりました。

戸塚店の様子。「トイジャーナル」1975年10月号よりお借りしました

なお現在、「ダイエー写真集」というサイトで、全国のダイエーの懐かしい写真が公開されています。八王子店、戸塚店ももちろんありました。
お近くにお住まいの方には懐かしいかもしれませんので、サイトをご紹介しますね。
【八王子店】

【戸塚店】

店は店は生き物。同じところにずっといない方がうまくいく

父はこう考えていました。
「店は生き物と同じ。同じ場所にずっといるより、新しい店に変えていく方が得策だ。
5年から10年で駅ができたり道が変わったりと立地環境は変わるので、土地を買わずにテナントを借りて、出店退店を繰り返す方がうまくいく」

そんな方針の元、1973(昭和48)年には、新所沢駅前の南ショッピングセンター内にも出店。着々と店舗が増えていきました。
 
また、さくらトイスではおもちゃだけでなく、ぬいぐるみやファンシーグッズ、お菓子類も扱いました。
 
余談ですが、ぬいぐるみは、昔の業界内では「おもちゃ」ではなく「雑貨」の扱いとなります。
戦後、日本のおもちゃが海外に盛んに輸出されていたころ、輸出玩具のパッキンとして、布を縫い合わせて犬などの形にし、おがくずを詰めて発送した業者がありました。それが海外で好評となり、やがて商品化。それが日本のぬいぐるみの始まりだという説があります。
 
父は珍しいもの好きであり、また根っからの商売人だったので、お客が喜ぶと考えたものは何でも置きました。
終戦後、代々木のワシントンハイツの近くで創業した当時には、アメリカ人向けにスーベニールとしての日本人形を置き、大きなサーキットのある福生店ではコカ・コーラの瓶の販売機も置いていました。
もっと珍しい物では、イースターでは生きたヒヨコを売りました。段ボール箱に裸電球を入れてヒヨコたちは暖を取っていました。夏はカメを売っていたこともあったんですよ!


昭和27年から平成19年までの55年間、東京・埼玉・神奈川・千葉・茨城の各地に34店舗を構えていたおもちゃ屋「さくらトイス」の2代目社長を務めた私が、おもちゃ屋の思い出話、懐かしいおもちゃのことをつづっていきます。毎月11日に公開予定ですので、続きをお楽しみに!

また、「さくらトイス」のことを覚えている方、ぜひコメントをくださいね。

編集協力:小窓舎

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