あきこ おもちゃ屋の娘

昭和27年から平成19年までの55年間、首都圏各地に34店舗を構えていたおもちゃ屋「さくらトイス」の二代目。現在はおもちゃコンサルタントとしても活動しています。懐かしいおもちゃ・おもちゃ屋の思い出を書いていきます。

あきこ おもちゃ屋の娘

昭和27年から平成19年までの55年間、首都圏各地に34店舗を構えていたおもちゃ屋「さくらトイス」の二代目。現在はおもちゃコンサルタントとしても活動しています。懐かしいおもちゃ・おもちゃ屋の思い出を書いていきます。

マガジン

  • ファンシーショップ「トント」の思い出

    おもちゃ屋の二代目である私が、昭和51(1971)年から手掛けていたファンシーショップの思い出を語ります。

  • おもちゃショー・展覧会レポート

    おもちゃショーをはじめとする展示会や、おもちゃにまつわる展覧会のレポートです。

  • 昭和~平成 懐かしいおもちゃのお話

    おもちゃ屋の娘として生まれ、後に二代目となった私が見てきた、昭和~平成の懐かしいおもちゃを年代別にご紹介します。

  • おもちゃ屋の娘 さくらトイス55年のお話

    おもちゃ屋「さくらトイス」の2代目社長を務めた私が、おもちゃ屋の思い出話、懐かしいおもちゃのことをつづっていきます。

  • おもちゃメーカーの歩み

    ヒットおもちゃ、ロングセラーおもちゃを生み出してきたメーカーの歩みについて、取材させていただきました。

最近の記事

  • 固定された記事

昭和30年、おもちゃ屋の娘に生まれて(自己紹介)

皆さんは子どもの頃、どんなところでおもちゃを買ってもらったか、覚えていますか?   現在はネット通販や家電量販店で買う方が大多数だと思いますが、その昔は、町のおもちゃ屋で買った方が多かったのではないでしょうか。 昭和40年ごろからはおもちゃ屋さんが続々と増えはじめ、最盛期には全国で約1万件になりました。そのため、どこの町の商店街でもおもちゃ屋さんが1軒はあったと思います。その後大型ショッピングセンターやスーパーなどのおもちゃ売り場も加わりましたが、そんなおもちゃ屋で、ずらっ

    • ファンシーショップ「トント」の思い出3 お店の一年を振り返る(1~6月編)

      おもちゃ屋「さくらトイス」を経営する父の元に生まれた私は、短大を卒業すると、「さくらトイス」のファンシーショップ部門を担当することになりました。今回は、ファンシーショップTONT(トント)のお話、三回目です。 当時、業界誌で、ファンシーショップ運営についての取材を受けたことがあります。 そこに店内の様子が写っていましたので、ご紹介します。どんな店だったか、雰囲気を感じていただけるかと思います。 おもちゃ屋とファンシーショップ、経営の違い 私はファンシーショップ部門の後、

      • グッド・トイ2024発表!受賞おもちゃの中から、私のおすすめ4選

        10月27日、「グッド・トイ2024」の受賞式が東京おもちゃ美術館(東京都新宿区)で行われ、「グッド・トイ大賞」など各賞が発表されました。 このグッド・トイは、全国の「おもちゃコンサルタント」資格認定者の投票で選ばれるものですが、実は私もおもちゃコンサルタントの資格を2000年に取得し、その後おもちゃコンサルタントマスターも取得しています。 また、グッド・トイの選考委員として、この10年ほど選考にかかわっています。 そんな、私にも縁の深いグッド・トイ。今回は、グッド・トイ

        • ファンシーショップ「トント」の思い出2 懐かしのキャラクター、雑貨に囲まれた店

          おもちゃ屋「さくらトイス」を経営する父の元に生まれた私は、短大を卒業すると、「さくらトイス」のファンシーショップ部門を担当することになりました。今回は、ファンシーショップTONT(トント)のお話、二回目です。 さまざまなメーカーからの売り込み 1977(昭和52)年4月、田無駅前ポポロショッピングセンター1Fに、ファンシーショップTONT(トント)の二つ目のお店がオープンしました。   最初の店は八王子ダイエー店で、さくらトイスのベテラン女子社員が店長でしたが、田無店では

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          3本
        • おもちゃショー・展覧会レポート
          7本
        • 昭和~平成 懐かしいおもちゃのお話
          9本
        • おもちゃ屋の娘 さくらトイス55年のお話
          21本
        • おもちゃメーカーの歩み
          4本

        記事

          東日本大震災、スカイツリー開業など、2011~2015年の出来事とヒットおもちゃ

          この連載では、昭和27(1952)年から平成19(2007)年まで55年間続いたおもちゃ屋「さくらトイス」の2代目社長を務めた私が、おもちゃ屋の歩みや懐かしいおもちゃのお話を書いています。 今回は2011年(平成23年)~2015年(平成27年)までのおもちゃを紹介します。 この頃にはさくらトイスを閉めてから数年が経っていて、商売の目ではなくおもちゃ自体が良いおもちゃかどうかを見るようになりました。 2011(平成23)年、東日本大震災の影響でアナログおもちゃが注目される

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          ファンシーショップ「トント」の思い出1 八王子店・田無ポポロ店オープン

          父が昭和27(1952)年に創業したおもちゃ屋の、二代目社長を務めた私ですが、実は、おもちゃ屋にはなりたくないと思っていました。  そんな私が短大卒業後に父の会社に入り、最初に担当したのがファンシーショップです。  今では「雑貨屋」と言われることが多いですが、小学生~大学生くらいまでの女性をターゲットにした、かわいい小物を集めたお店です。  このファンシーショップは初めて手掛けた仕事ということもあり、懐かしい思い出がたくさんあります。  今回から何回かに分けて、1970年代後

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          東京おもちゃショー2024で見た注目ポイント&私のおもちゃ大賞

          国内最大規模のおもちゃの展示会、「東京おもちゃショー」。 今年は8月29~9月1日、東京ビッグサイトにて開催されました。 毎年楽しみにしている東京おもちゃショー、私は関係者向けの29日、30日に観に行きました。   ちょうど台風10号が九州に上陸して各地で大雨となり、東海道新幹線が運休になるなどした日でしたので、例年に比べて人が少ないようにも感じましたが、各社が力を入れて新商品・おすすめ商品をプレゼンし、海外からのバイヤーの方も多く見られるなど、活気のある展示会でした。 また

          東京おもちゃショー2024で見た注目ポイント&私のおもちゃ大賞

          55年続いたおもちゃ屋を閉店するまで3.社長として「閉店」をやり遂げる

          この連載では、私の父が昭和27年に創業し、私が二代目社長を務めたおもちゃ屋「さくらトイス」の歩みをお話しています。 さくらトイスは、私が社長になってから約10年後に、全店を閉店しました。平成19(2007)年のことです。 今回は、閉店を決めた経緯や、閉店までの日々のことをお話しします。 平成18年、ヒット商品がなく、資金繰りが厳しくなる 平成17(2005)年は「ホームスター」というヒット商品は出ましたが、テレビ通販に商品を持っていかれてしまいました。私たちのような専門

          55年続いたおもちゃ屋を閉店するまで3.社長として「閉店」をやり遂げる

          ナノブロック、∞プチプチなどユニークな商品が多数。2000年代後半のヒットおもちゃ

          この連載では、昭和27(1952)年から平成19(2007)年まで55年間続いたおもちゃ屋「さくらトイス」の2代目社長を務めた私が、おもちゃ屋の歩みや懐かしいおもちゃのお話を書いています。 この時期は、おもちゃを販売する異業種小売店のおもちゃ売場拡大や、トイザらスの出店の影響を受けて、メーカー・問屋の統合や子会社化が始まりました。 例えば、2005年にはバンダイとナムコが統合、2006年にはトミーがタカラと統合、問屋ハピネットは関西の問屋モリガングを子会社化して、ますます大

          ナノブロック、∞プチプチなどユニークな商品が多数。2000年代後半のヒットおもちゃ

          55年続いたおもちゃ屋を閉店するまで2.不振の原因と社長としての取り組み

          この連載では、私の父が昭和27年に創業し、私が二代目社長を務めたおもちゃ屋「さくらトイス」の歩みをお話しています。 さくらトイスは、私が社長になってから約10年後に、全店を閉店しました。平成19(2007)年のことです。 前回の記事では、戦後40年好調だった玩具業界が段々曇り始めてきたことを書きましたが、今回はさくらトイスの不振の原因や、私が社長として取り組んだことをお話します。 閉店に至る10の原因 当時、不振の原因を書きだした資料がありますので、ご紹介します。 1

          55年続いたおもちゃ屋を閉店するまで2.不振の原因と社長としての取り組み

          300年の歴史を誇るおもちゃメーカー、増田屋コーポレーションには「元祖」がたくさん(後編)

          おもちゃ、おもちゃ屋やメーカーの歩みを調べている私にとって、どうしてもお話を伺いたかったのが、「パネルワールド」や「モーラー」で知られるおもちゃメーカー、「増田屋コーポレーション」さんです。 創立は、江戸時代の1724年、今年で創業300年という長い歴史をお持ちです。 増田屋さんの歴史は、日本のおもちゃ屋・問屋・メーカーの歴史そのもの。 会社の歴史や、その時代ごとのおもちゃについて、玩具事業部 マーケティング部 開発室チーフの木島誠一さんにお話をうかがうことができました。そ

          300年の歴史を誇るおもちゃメーカー、増田屋コーポレーションには「元祖」がたくさん(後編)

          300年の歴史を誇るおもちゃメーカー、増田屋コーポレーションには「元祖」がたくさん(前編)

          おもちゃ・おもちゃ屋、メーカーの歩みを調べている私にとって、どうしてもお話を伺いたかったのが、「パネルワールド」や「モーラー」で知られるおもちゃメーカー、「増田屋コーポレーション」さんです。 創立は、江戸時代の1724年、今年で創業300年という長い歴史をお持ちです。 増田屋さんの歴史は、日本のおもちゃ屋・問屋・メーカーの歴史そのもの。 会社の歴史や、その時代ごとのおもちゃについて、玩具事業部 マーケティング部 開発室チーフの木島誠一さんにお話をうかがうことができました。そ

          300年の歴史を誇るおもちゃメーカー、増田屋コーポレーションには「元祖」がたくさん(前編)

          55年続いたおもちゃ屋を閉店するまで1.おもちゃ業界の暗雲

          この連載では、私の父が昭和27年に創業し、私が二代目社長を務めたおもちゃ屋「さくらトイス」の歩みをお話ししています。 終戦後の焼け野原だった東京で創業し、高度経済成長期を経て、首都圏各地に34店舗を構えていたさくらトイスですが、私が社長に就任してから約10年後、全店を閉店しました。   理由は、一言でいえば時代の変化により、おもちゃ専門店としての商売が難しくなっていったからです。これは、おもちゃ業界に限らず、戦後から平成にかけての社会の変化にそのまま重なるのではないかと思いま

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          覚えていますか?バウリンガル、ホームスターなど2000年代前半に流行したおもちゃ

          この連載では、昭和27(1952)年から平成19(2007)年まで55年間続いたおもちゃ屋「さくらトイス」の2代目社長を務めた私が、おもちゃ屋の歩みや懐かしいおもちゃのお話を書いています。 今回は平成13(2001)年から平成17(2005)年までのおもちゃの紹介です。    この時期はビックカメラ・ヨドバシカメラ等の異業種が玩具の扱いを拡大していきました。また、今まで玩具業界を支えてきた大きな問屋さんが倒産したり、バンダイとナムコが統合したり、アマゾンジャパンが玩具通販を

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          平成14年、おもちゃのネット販売は難しい…と実感

          この連載では、戦後すぐに私の父が開業し、後に私が二代目社長を務めたおもちゃ屋「さくらトイス」について書いています。 現在、多くの方がネットショッピングを利用していると思います。 さくらトイスがネット販売を始めたのは、平成14(2002)年のことでした。 今回は、その頃の時代背景や、私が感じたことを書いていきます。 おもちゃ販売店の多様化と、価格破壊 平成14(2002)年ごろ、カメラの価格競争、家電製品の価格競争がとうとう玩具業界まで忍び寄り、玩具売場の拡大が始まりまし

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          この夏、ヒットしそうなおもちゃのキーワードは「アナログ要素」「手触り」「大人も楽しい」

          先日、東京浅草で行われたおもちゃの展示会「おもちゃビジネスフェア」に行ってきました。今回の展示会は、夏からクリスマスにかけての各社の新商品、力を入れたい商品を小売店などにアピールするものです。   おもちゃ屋の娘として生まれ、のちに2代目社長を務めた私にとって、おもちゃはずっと身近にあったもの。お店をたたんでしまった今でも、おもちゃの展示会には足を運び続け、気づけば半世紀以上も、おもちゃの流行や変遷を見続けています。   今回は、「おもちゃビジネスフェア」で見たおもちゃの傾向

          この夏、ヒットしそうなおもちゃのキーワードは「アナログ要素」「手触り」「大人も楽しい」