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サクラスのフルリモートワークと目指す組織体制

 コロナ禍で導入する企業が増加したリモートワーク。非常時への対応以外にも通勤時間の削減、生産性の向上などを目的として、現在も一定数の企業がリモートワークを導入している。サクラスは創業時からリモートワークを採用しており、2023年2月より全メンバーがフルリモートワークへ移行した。在籍しているメンバーの構成は以下の通りである。

サクラスメンバー構成(2024/5/15時点)
 ・Googleアカウント数:66名
 ・サクラスメンバー名簿登録者数:53名
  (うち社会人31名、学生インターン22名)
 ・Slack登録者数:課金アカウント43名、非課金アカウント16名
 ・4月業務委託先:33名(社員役員除く)
 ・首都圏外エリアより参加:アメリカ1名、名古屋1名、関西2名、九州2名


 サクラスではプロジェクトとメンバーのニーズをマッチさせて仕事を進めるため、メンバー全員が常に稼働しているわけではない。仕事内容、状況、メンバーが変わる中でどのようにフルリモートワーク体制を運用しているのか、その仕組みと今後の組織体制がどう変化していくのか、代表にインタビューした。

 サクラスの組織風土として以前から浸透していた「友情・努力・勝利」の3つの価値観を仕組み化することで、個人のモチベーションを高められる環境を築き、スムーズなフルリモートワーク体制を実現している。さらに、フルリモートワーク体制へ移行したことにより、サクラスの目指す「個人主導のフラットな組織」の実現に近づいている。


――元々リモートワークと出勤のハイブリッド型を採用していましたが、2023年2月よりフルリモートに切り替わりましたね。なぜフルリモートへ切り替えたのでしょうか?

 きっかけはコロナ禍における変化でした。世の中の変化として東京以外、色んな場所で働きたいというニーズが増えたように感じています。国内移住やワーケーションですね。また、私としてもコロナ禍でリモートの割合を増やしていき、フルリモートで組織を回す仕組みができると確信できたことが大きいです。満員電車に乗るストレスも削減できますしね。

――東京都が都内の企業を対象に行った調査でも、通勤時間削減はリモートワークを導入した目的の上位でした。満員電車や長時間移動など通勤時のストレスは大きいですよね。フルリモートワークを採用して良かったのはどんなところですか?

東京都 多様な働き方に関する実態調査(テレワーク)2022年度


 やはり東京以外にも優秀な人はたくさんいて、その才能とコラボできるのがフルリモートワークのいいところですね。私自身も海外へ行く機会が増え、色々な場所から仕事ができています。

――私も地方在住かつ育児中なのですが、フルリモートの恩恵に預かり仕事ができています。私はあまりフルリモートワークのデメリットを感じていないですが、何かデメリットと感じることはありますか?

 そうですね、ないような気がします。

――前述の東京都の調査によると、導入企業がデメリットと感じる点として「コミュニケーションの減少」、「勤怠状況の把握」と「セキュリティの確保」が挙げられています。サクラスではどのように対応していますか?

東京都 多様な働き方に関する実態調査(テレワーク)2022年度


 日々のコミュニケーションは毎日の朝礼とプロジェクトごとの週次定例ミーティングでとっています。どちらもZoomで開催し、朝礼は社長と社員1名が毎日参加しています。そこへ用件があるメンバーが自由に参加できるルールですね。プロジェクト横断での処置や勤怠管理の承認などを行っています。また、新規でサクラスに参加したメンバーはしばらく朝礼に参加してもらい、情報共有するようにしています。他にも情報共有としてSlackの活用とデータのクラウド化により全員が同じ情報を共有でき、必要なタイミングで適切な情報を得ることができます。
 このnoteもコミュニケーションの一つとして活用しています。会社の価値観や文化を共有するのにいいツールだと思っています。

――「勤怠状況の把握」と「セキュリティの確保」ですが、サクラスはどのように行っていますか?

 まず勤怠状況の把握ですが、サクラスは3つの事業部があり、各事業部ごとにプロジェクト単位で仕事を行っています。勤怠状況は“タイムシート”と呼ばれるスプレッドシートにて共有しています。プロジェクトごとにコードがあり、メンバーはプロジェクトのコードと、成果物単位の稼働時間をタイムシートに記入します。案件管理は別のスプレッドシートにて行っており、週次で開催される定例ミーティングでPMがそれらのスプレッドシートを用いて案件の進捗と成果物、稼働の質をチェックし承認しています。
 セキュリティの確保は、デジタル化してクラウド化し、権限管理することでリスクに対応しています。そのためにもGoogleアカウントやSlackアカウントは稼働時間に応じて整理し、データにアクセスする必要がある人たちだけに権限があるようにしています。

――スムーズに切り替えられたこととして他にどのような要因があると考えられますか?

 リモートワークでは、個人がモチベーションをどのように管理するかが重要なポイントだと思っています。サクラスでは、フルリモートワーク以前から「友情、努力、勝利」という価値観を重視してきました。この3つの価値観は個人のモチベーションを維持する上で重要な要素であり、仕組み化することで組織としてもメンバーがモチベーションを高められる環境を整えています。

――もう少し詳しく「友情、努力、勝利」とその仕組みについて教えてください。

 優秀な仲間がいて(友情)、納期が決まっていて(努力)、成果が評価される(勝利)環境が重要だと思っています。これを仕組み化していることで組織風土となっていると思います。
 友情は現在、朝礼や週次定例にて定期的に仲間と質の高い情報共有をする場が設けられています。努力は案件管理表でタスクで切った細かい納期管理を行っています。勝利はポイント制で評価しており、案件管理表で案件・プロジェクト単位で管理しています。

――価値観が仕組みにつながっていますね。現在仕事はどのように振り分けられていますか?

 振り分けというよりは個人のニーズと仕事のマッチングをしているのですが、現在は代表によって行われています。個人のスキルと仕事のマッチングを自動化していくのもおもしろそうですね。組織内だけでなく外部からの指名も可能とか。

――将来的な話が出ましたが、今後はどのような組織の取り組みを考えていますか?

 1つ目は、NFTなどによる組織の共同所有化の仕組みを完成させたいですね。先ほどの「友情」や「勝利」に関わる部分で、オーナーとなることで、より組織にコミットした優秀なメンバーを集めることができますし、それぞれの成果と対価が連動できます。結果を出した分だけ、より報われる仕組みですね。
 2つ目は、さらに経営の自動化を進めて、個人主導のフラットな組織作りを進めていきます。納期やポイント数を管理している“案件管理表”をさらに自動化することで、タスクの進捗を自動で反映させ、納期のリマインド機能も自動化していきます。また、表彰の自動化を進め、上司がいなくとも客観的なパフォーマンスを測定し、評価することで、個人のパフォーマンスやモチベーション向上につなげていきます。



サクラスは、「友情、努力、勝利」の価値観を基盤に、フルリモートワーク体制を効果的に運用し、個人のモチベーションを高める組織文化を築いている。フルリモートワークへの移行は、メンバーが働く場所に縛られず、全国および海外からも優秀な人材と協力できる環境を実現した。今後はNFTなどのテクノロジーの活用と自動化を推進し、組織全体の効率と生産性をさらに向上させることを目指す。

(文/K.S.)


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