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コンサルから起業を目指す学生へ ーサクラス代表の起業観

 サクラス株式会社代表の池上さんは「コンサルティング会社→サラリーマン社長→起業」という経歴を持つ。池上さんと同じような「コンサルから起業」を目指す学生は多いのではないだろうか。
 サクラスのインターン生で、新卒でコンサルティング会社に入社予定の私が、「コンサルから起業のキャリア」についてインタビューを行った。


起業の経緯

ーー池上さんはどのような経緯でサクラス株式会社の起業に至ったのでしょうか?

 僕は高校生くらいの時から「起業したい」という漠然とした思いがありました。当時は学生の時に起業する人はほとんどいなかったので、起業まで踏み切れませんでしたが、自分で携帯向けのゲームを作って、流行らせたりしていました。

 新卒でコンサルティング会社に入社したのも「将来的な起業につながるかな」と思って入ってみたところがありました。ただ、結果からすると起業とコンサルティングは関係なかったと感じています。コンサルティング会社で4年半勤めた時に、いきなり起業することができず、一旦ベンチャー企業でサラリーマン社長をすることにしました。5年くらいやったんですけど、最終的にサラリーマン社長も辞めて、自分の会社をやることになったという経緯です。


ーーサラリーマン社長になってから起業に至るまでの間で苦労した経験があれば教えてください。

 なんだろう、全部やってみるまでわからなかったって感じですよね。コンサルは起業と違うと思わなかったし、サラリーマン社長もオーナー社長と違うと思わなかったし、オーナー社長ってこんな感じなんだっていうのもやってみないとわからなかったので。

 創業者と雇われている社長とコンサルタントの3つが全然違うものだったということは、やってみてわかりましたね。


コンサルで感じたギャップ

ーーそれでは「コンサル入社前に想定していたもの」と「実際に経験した内容」にギャップがあれば教えてください。

 自分が学生の時は、コンサルでは最初に経営の知識やスキルがつくと思っていましたね。

 感じたギャップは2つあって、1つはベンチャーと大企業では経営課題が違うこと。コンサルティングファームのクライアントは大企業で、数万人の従業員を抱えるような会社だから、10人規模でやっているベンチャーと課題が全然違う。経営者の仕事内容も違うので、そこでギャップがありました。もう1つは、クライアントの社長と関わらないこと。コンサルのジュニアの頃は、経営企画部のお手伝いっていう感じの仕事が多かったです。それでもすごいことだけど、社長と経営相談するというよりは、部長や課長の人と対話することが多かったので、"経営"よりかは"部長とか課長のお悩み"のことは分かるようになる思う。という話が2つ目のギャップとしてありました。

 それと、自分で会社立ち上げる時とコンサルとでは、求められるスキルが結構違うから、将来起業したい人が絶対にコンサル行く必要があるのかは、微妙なところですね。タイプによるけど「保険が欲しい」とか、大学院みたいな感じで「まだ起業できそうにないから足腰鍛えたい」みたいな場合は、一旦コンサル行くので間違いないと思うんですけど。

起業で感じたギャップ

ーーそれでは「起業の前に想定していたもの」と「実際に経験した内容」にもギャップがあれば教えてください。

 昔に比べて「資本主義の世界における会社のあり方」みたいなのが、より深く理解できるようになったような気がしますね。難しいけどね(笑)。

 具体的に言うと、例えば3000万円くらいの超高額な広告を受注した時に「3000万円を先に支払わないといけない」とか、「全部終わってからお客様に請求する」とか、「そうすると6ヶ月間3000万円借りてこないといけない」とか、「お金を借りるという時に、自分の信用力では、銀行・個人・親戚はどこまで貸してくれるのか」とか。こういうのって、サラリーマン社長の時とか、コンサルの時に考えないことですよね。

 あとは、仕事あげるよって言ってた人が「やっぱり人事異動しちゃったから、あげられなくなっちゃった」とか、そういうのもありますよね。もし「そのために先走って動画作っちゃってたらどうしよう」とか、「100万円かけて動画作ったのに、やっぱりいらないわって言われました」とかね。

 お金・責任・信用みたいなものが、生々しい感じで分かるようになったって感じだよね。

 あとは、よく言われることだけど、起業の世界だとPMF(プロダクトマーケットフィット)みたいな「お客さんに支持されるかどうか」っていうことが一番大事だと感じています。僕が学生の時には「組織を作っていくのは大変だろうな」って感じていたんですけど、それよりも「お客さんをどう取ってくるのか?」のほうが難易度が高かったです。

 当時は僕も「会社を作るなら、自分が素晴らしいリーダーにならないといけないんだろうな」って思っていました。もちろんそれも大事なんですけど、「大企業の部長になる」「課長とか部長になる」みたいな、「仕事が勝手にやってくるような会社の中ボスになる」みたいな、そういう時の方が大事になると思います。

起業を目指す学生へ

ーーこれから起業を考えてる学生はどんな経験をしておくべきですか?

 さっきも言った通り、経験しないと分からないことが多かったですね。先に本を読んでもどうしようもないという感じでした。

 その上で何を経験すべきかで言うと、学生だったら小さくてもいいから商売するといいと思います。自分が好きなもののPCサイトを運営してみるとか。僕も、高校生の頃に待ち受け画像を販売するサイトをやっていました。ゲームのサイトもやっていたんですけど、ゲームだと「BtoBから遠くなっちゃう」とか「エンタメっぽくなっちゃう」ので商売っぽいやつがいいです。

 商売にもいろんな起業のあり方があります。「プロダクトを作って伸ばしていく」のもあれば、「スモールビジネスを自分でやる」みたいなのもある。最終形が少し違うかもしれないけど、自分が目指している最終像の縮図版をやってみる。プロダクトを作りたいと思っているんだったら、作ってAppStoreに出してみる。Oculus向けのVRコンテンツを作ってもいいと思うし、アウトプットするのが大事かな。

 もうちょっと人間が好きで「上司のために働きたい」とか「部下を育成したい」とか、興味が人に向いている人は基本的には起業に向いていないから、大企業に就職した方がいいと思います。


ーーアウトプットが大事なんですね。では、もしも2024年に池上さんが学生だったら、どのようなことに挑戦しますか?

 今だったら、ブロックチェーンゲームとか作って見るといいんじゃないでしょうか?それかAIか。「会議の品質を評価するツールを作る」とか「学校の授業をサボってもバレない自分のアバターをAIで作る」とか「実はその場にいなくても、自分みたいに振る舞ってくれるアバターを作る」とか、そういうのをやりますね。

起業を経て成し遂げたい夢

ーー最後に、池上さんが起業を経て成し遂げたいことを教えてください。

 2つ考えていて、1つは日本のコンテンツ産業を輸出産業として拡大することに貢献したい。もう1つは、面白い未来型の組織を作ることですね。個々人が分散型組織で勝手に働くような、組織全体が自動化されている未来型の組織みたいな、組織そのものの先進性を追求したい。というのが、今のやりたいことですね。

(文/K.N.)


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