本日の一曲 vol.418 パガニーニ 24のカプリース (Nicolò Paganini: 24 Caprice)
ニコロ・パガニーニさんは、1782年10月27日に現在のイタリアのジェノヴァで生まれ、1840年5月27日にフランス・ニースにて57歳で亡くなりました。パガニーニさんの人生の前半はイタリアの地で過ごし、45歳の1828年3月のウィーンから始まり51歳の1834年6月のロンドンで終わる怒涛のヨーロッパ・ツアーの後、イタリアに戻り、ニースでの死までの晩年を迎えます。
パガニーニさんの楽曲の楽譜は晩年のときに大部分を焼却し、また死後残された楽譜も散逸してしまって、あまり残っていません。
本日ご紹介する「24のカプリース」はイタリア時代の1800~1810年ころ作曲されたと考えられ、1820年に作品1として出版されたことから、幸いなことに楽譜が残されています。
ヴァイオリニストにとって、この「24のカプリース」は避けて通れません。とりあえず、模範的な演奏として、サルヴァトーレ・アッカルド(Salvatore Accardo)さんの演奏をご紹介します。
しかし、どのように弾いたらよいのかというと、やはり「見せる」ことも考えなければいけないでしょう。その意味で、アレクサンダー・マルコフ(Alexander Markov)さんの演奏をご紹介します。
さらにリサイタルなどで人前で演奏するということになると、ニコロ・パガニーニその人のカリスマになりきることも必要なのだろうと思います。
パガニーニさんの生涯については、noteにやまみちゆかさんの渾身の漫画作品がありますので、こちらをご覧ください。
本はあまりありませんが、浦久俊彦さんの新潮新書「悪魔と呼ばれたヴァイオリニスト パガニーニ伝」のほうは読んでおきましょう。
浦久著作以前の著作で、スティーヴン・サミュエル・ストラットンさん著角 英憲さん訳の「哀しみのヴァイオリニスト 人間パガニーニ伝」です。
また、2014年に公開されたヴァイオリニストのデイヴィッド・ギャレット(David Garrett, 1980年9月4日生)さん主演の映画「パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト」があります。こちらはヨーロッパツアーのロンドン公演から亡くなるまでを描いています。ただ、前述の浦久俊彦さんの著作によると、「ほとんどのシーンは映画上の創作である」と指摘されています(同書90頁)。
ちなみに、デイヴィッド・ギャレットさんは、15歳の時の1996年6月にブルーノ・カニーノ(Bruno Canino)さんのピアノ伴奏付き「24のカプリース」を録音し、1997年にリリースしていました。
ところで、パガニーニさんは幼少の頃から病弱であり、ヨーロッパ・ツアーに出るころには、現代では考えられませんが、当時、病気の治療に使われていた水銀に侵されていたようです。
さらに、パガニーニさんが亡くなった後の「奇怪な物語」もありますが、こちらは前述の浦久さんの著作をご覧ください。
また、浦久さんの著作にも言及されていますが、パガニーニさんの愛器グァルネリ・デル・ジェスの「カノン砲」はこちらです。
そして、最初にご紹介したサルヴァトーレ・アッカルドさんは、このカノン砲を演奏して録音もしています。
パガニーニさんのカプリースについては、かつて一度スティーヴ・ヴァイさんの記事で取り上げたことがありましたので、こちらもご覧いただけるとうれしいです。
(by R)