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本日の一曲 ハイドン・シリーズ 交響曲第44番 悲しみ (Sinfonia No.44 "Trauer", 1771)

交響曲第44番も自筆譜は残っていなくて、楽譜出版社の1772年のカタログにあることから、1771年ころの作曲であろうと言われています。ハイドンさんの「疾風怒濤(シュトゥルム・ウント・ドラング)」時代の作曲です。疾風怒濤時代は、1768~1773年であり、ハイドンさんが36~41歳の時期で、エステルハージ家の楽長として活動していた時期です。アラフォーから不惑の40歳で責任のある地位にあった時期ですね。この時期に、後進のモーツァルト、ベートーヴェンと並び称されるウィーン古典派と呼ばれる音楽が量産されることになります。

「悲しみ」という副題の由来は、真偽のほどは明らかではありませんが、ハイドンさん自身が、ご自分の葬儀の時にこの交響曲のアダージョを演奏してほしいと希望したからだそうです。ただ、実際にハイドンさんの葬儀に演奏されたのは、モーツァルトのレクイエムだったそうです。

交響曲第44番の調性はホ短調ですが、当時、ホ短調の交響曲はあまりなく、ブラームスの交響曲第4番の登場を待つことになります。

また、メヌエットが第2楽章、緩徐楽章が第3楽章になっており、このような構成は、ほかに交響曲第32番と交響曲第37番があります。

交響曲第44番ホ短調「悲しみ」(Sinfonia No.44 e moll "Trauer", Hob.I:44)
第1楽章 Allegro con brio ターンターンタンタンという印象的なフレーズに支配された短調の楽章です。
第2楽章 Menuetto & Trio. Allegretto 第1楽章と同じくホ短調のメヌエットです。
第3楽章 Adagio この楽章がハイドンさんが葬儀のときにと望んだ楽章です。こちらはホ長調の穏やかな音楽です。
第4楽章 Finale. Presto 「疾風怒濤」という言葉に近い楽章です。

さすがに第44番にもなると、たくさんの演奏があります。本日は、往年の演奏の動画を2つほどご紹介します。

ヘルマン・シェルヘン(Hermann Scherchen)さん指揮ウィーン国立歌劇場管弦楽団の演奏。

フェレンツ・フリッチャイ(Ferenc Fricsay)さん指揮ベルリンRIAS交響楽団の演奏。「RIAS」とは、1946年に西ベルリンに設立されたアメリカ軍占領地区放送局(Radio In the American Sector)のことです。

(by R)

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