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本日の一曲 vol.332 ピアノ・トリオ集補遺 ハイドン ピアノ三重奏曲第40番 (Franz Joseph Haydn: Piano Trio No.40 Hob.XV:26, 1795)

フランツ・ヨーゼフ・ハイドン(1732-1809)さんのピアノ三重奏曲第38番(Hob.XV:24)・第39番(Hob.XV:25)・第40番(Hob.XV:26)の3曲は、ハイドンさんの2回目のロンドン・ツアー(1794~1795)の最後の数週間に作曲されたもので、当時のハイドンさんの恋人だった在英のレベッカ・シュローター(Rebecca Schröter, 1751-1826)さんに献呈されたものです。

レベッカさんは、ピアニストであったヨハン・サミュエル・シュローター(Johann Samuel Schröter)さんの妻だったのですが、1788年に夫を亡くし、未亡人となっていました。その数年後ハイドンさんがロンドンを訪問し、レベッカさんがハイドンさんに手紙を書いて音楽のレッスンを依頼したのがきっかけでした。その後、お二人は恋人関係になったのですが、ハイドンさんは還暦過ぎでもロンドンでは人気の作曲家、レベッカさんは社交界の淑女であり、噂好きからすれば格好の噂になるはずだったにもかかわらず、当時、二人の関係が明るみに出ることはなかったのでした。ハイドンさんは2回目のロンドン・ツアーの時にこのピアノ・トリオ集をレベッカさんに献呈したのですが、ツアーが終わり、ハイドンさんがウィーンに帰ってからは、再びロンドンに戻ることはなく、お二人の関係は友人としてハイドンさんが亡くなるまで続いたようです。

本日ご紹介するピアノ・トリオの第40番は3曲の中で一つだけの短調作品(嬰ヘ短調)であり、秘めた情熱を感じさせる第1楽章と第3楽章と、交響曲第102番第2楽章から転用された(あるいは同楽章に転用した)長調の楽章で、アダージョ・カンタービレのしっとりした第2楽章をはさんだ構成になっています。

アッチョ・ピアノ・トリオ(Accio Piano Trio)による演奏です。

以下は、このレベッカさんに献呈された3曲のプレイリストです。イギリスのピアノ・トリオであるフロレスタン・トリオ(Florestan Trio)の演奏です。

ハイドンさんとレベッカさんのエピソードについて、洋書ですが「バラの少女~ハイドンの最後の愛」という本が出ているようです。

(by R)

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