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本日の一曲 vol.426 マーラー 交響曲第1番 (Gustav Mahler: Symphony No.1, 1899)

マーラーさんは、1878年7月にウィーン大学を卒業した後、ピアノ教師、劇場の指揮者など下積みの時代に入ります。1886年に26歳でライプツィヒ歌劇場の楽長となり、1888年の28歳のときに交響曲第1番の第1稿を完成させますが、何度か改訂し、1899年の改訂が最終版になっています。

その間、1888年10月にブダペスト王立歌劇場の芸術監督に就任、1889年に両親が亡くなり、1891年にハンブルク歌劇場の第一楽長に就任、1894年に交響曲第2番「復活」が完成、1895年に弟オットーが自殺、1896年に交響曲第3番を作曲、1897年にカトリックに改宗、同年にウィーン宮廷歌劇場の芸術監督に就任しました。

交響曲第1番は、第1稿のときには標題はなかったのですが、1893年の第2稿上演のときには、全曲を「交響曲様式による交響曲」として、ジャン・パウルの小説から「巨人(Titan)」という標題を命名しました。

各楽章にも以下のような副題を付けました。

  • 第1部 青春の日々から、若さ、結実、苦悩のことなど

    1. 第1楽章 春、そして終わることなく

    2. 第2楽章 花の章

    3. 第3楽章 順風に帆を上げて

  • 第2部 人間喜劇

    1. 第4楽章 座礁、カロ風の葬送行進曲

    2. 第5楽章 地獄から天国へ

そして、1899年に出版された最終稿では、部と副題が削除され、第2楽章の「花の章」も削除されています。

本日ご紹介したいのは、最終稿の第3楽章、第2稿の第4楽章「座礁、カロ風の葬送行進曲」です。「カロ」とは、17世紀のドイツの版画家ジャック・カロ(Jacques Callot)さんのことです。カロさんの版画で動物たちの葬送行進のものがあるらしいのですが、なかなかネット上では見つかりません。

Tadasさんのサイトの記事にそれらしいものはあるのですが、どんぴしゃりではないようです。

さて、交響曲第1番の第3楽章ですが、まず1977年の小澤征爾さん指揮ボストン交響楽団(Boston Symphony Orchestra)による演奏です。動物たちが棺を担いでとぼとぼ歩いている情景を思い浮かべてみるとよいかと思います。

このテーマになっているのは、「グーチョキパーでなにつくろう」とか「ラーメン、タンメン、チャーシューメン」で有名なあの曲を短調に移調したものですね。この短調への移調がすこぶる効果的で、グロテスクな物悲しさのようなものがイメージされるのではないかと思います。

この曲のオリジナルは、フランスのわらべうたで「フレーレ・ジャック(Frère Jacques)」という曲です。

フィリップ・ジョーンズ・ブラス・アンサンブル(Philip Jones-Bläserensemble)の演奏です。

先ほどの小澤盤の交響曲第1番「花の章付き」のプレイリストと、フィリップ・ジョーンズ・ブラス・アンサンブルのアルバム「Easy Winners」のプレイリストです。前者は、小澤征爾さんがボストン交響楽団の音楽監督に就任したばかりの若い頃の溌剌とした演奏であり、後者は、ブラスバンドのアルバムですが楽しい仕上がりになっています。

以前のマーラーさんの記事についても、ご覧になっていただけるとうれしいです。

(by R)

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