本日の一曲 vol.437 モーツァルト ガンツ・クライネ・ナハトムジーク (Wolfgang Amadeus Mozart: Ganz kleine Nachtmusik K.648, 1760s)
今年、2024年の9月にモーツァルトさんの新曲が発表されました。と言っても、古い楽譜が発見されたということで、最後の作品とされる「レクイエム(Requiem, K.626)」以後に作曲された曲ということではありません。
モーツァルトさんの作品には、オーストリアの音楽学者ルートヴィヒ・リッター・フォン・ケッヘル(Ludwig Ritter von Köchel, 1800/1/14~1877/6/3) さんが整理した目録の番号、ケッヘル番号と呼ばれ、数字の前に K. とか Kv. というアルファベット付きの番号が付けられています。初版は1862年で、番号はほぼ年代順に付されています。目録は現在2024年の第9版であり、年代順の配列は廃止され、既存の番号に変更はありません。
今回の新曲はK.648ということですが、作曲の年代は、レクイエム以降ということではなく、1756年1月27日生まれのモーツァルトさんが十代で、1760年代後半のころの作曲と考えられているそうなので、1766年~1769年、モーツァルトさんが10~13歳のころの作品ということになり、ケッヘル番号でいうと、これまでのK.34以降の2桁の作品群のあたりの1曲ということになると思います。
そのころモーツァルトさんがどのような曲を作曲していたかというと、交響曲第5~11番、ピアノ協奏曲の第1~4番、弦楽四重奏曲第1番、オペラ「バスティアンとバスティエンヌ」などであり、室内楽曲はほとんどないのですが、今回の新曲はヴァイオリン2台とチェロのための弦楽三重奏のセレナーデであり、ヴァイオリンやチェロの若い学習者にとっては、うってつけの曲ではないかと思います。
シュポア室内管弦楽団のソリスト、ヴァイオリンのカタリン・ヴェステルマン(Katalin Westermann)さんとジュリア・サルディ(Giulia Sardi)さん、チェロのニコ・トロイトラー(Nico Treutler)さんによる演奏です。
アップル・ミュージック・クラシカルには、その限定バージョンで、チェンバロ伴奏が追加されたものが公開されています。ヴァイオリンの篠山春菜さん、ネジャ・クリナー(Neža Klinar)さん、チェロのフロリアン・ビルザック(Florian Birsak)さん、チェンバロのフィリップ・コンプロイ(Philipp Comploi)さんによる演奏です。
(by R)