本日の一曲 vol.222 クレンペラー メンデルスゾーン スコットランド (Felix Mendelssohn: Symphony No.3 "Scottish", 1842 performed by Otto Klemperer & PO)
フェリックス・メンデルスゾーンさんの交響曲は、全部で5曲あります。
第1番 ハ短調 Op.11 1824年作曲
第2番 「讃歌」(シンフォニアと10曲)Op.52 1840年作曲・初演
第3番 イ短調「スコットランド」Op.56 1831、1842年作曲 1842年初演
第4番 イ長調「イタリア」Op.90 1831~1833年作曲 1833年初演
第5番 ニ短調「宗教改革」Op.107 1830年作曲 1832年初演
作曲順としては、第1番→第5番→第4番→第2番→第3番となります。メンデルスゾーンさんの作品番号は、72番までがご本人がつけた番号であり、73番以降はご本人が亡くなった後に付された番号です。交響曲の番号は言い習わしのこともあるので、メンデルスゾーンさんの交響曲は混乱したことになっています。最近の研究では、メンデルスゾーンが作曲した曲は750曲以上あるらしく、2009年にラルフ・ヴェーナー(Ralf Wehner)さんという人が整理した「MWV(Mendelssohn -Werkverzeichnis)」という番号が付されました。
さらに紛らわしいことに「弦楽のための交響曲(Sinfonia)」と呼ばれる楽曲群が存在し、これは、メンデルスゾーンさんが12~14歳のころに作曲した交響曲の習作であり、第1番から第12番まであります。第13番と呼ばれるものもありますが、これは未完の作品で「交響的断章」とも呼ばれます。先程の交響曲第1番の自筆譜には「交響曲第13番」と記されているそうです。
そんなこんなで、本日ご紹介する「スコットランド」は、メンデルスゾーンさんが33歳のころに作曲した最後の交響曲ということになります。メンデルスゾーンさんは、1809年に生まれ、1847年に38歳で早世してしまいましたので、まだまだ若い頃の作品ですが、「晩年」の作品ということになります。メンデルスゾーンさんはたびたびイギリス・スコットランドを訪れていて、「霧の立ち込めたあの地」と呼んでいたスコットランドの印象をもとに作曲された曲です。
本日は、オットー・クレンペラーさん指揮の演奏をご紹介しますが、クレンペラーさんについては、前にモーツァルトの交響曲で紹介したことがあります。
クレンペラーさんの録音の中で最も有名で親しまれているのは、このメンデルスゾーンの「スコットランド」ではないでしょうか。1960年のフィルハーモニア管弦楽団との演奏で、クレンペラーさん75歳の指揮であり、作曲当時のメンデルスゾーンさんの倍以上の年齢の時の演奏になります。軽やかに演奏できる曲だとは思いますが、クレンペラーさんの芸風というか、重厚にオーケストラを鳴らしていて、どこか郷愁を感じさせ、本当にいい曲だと思わせてくれる演奏だと思います。
さらにこのフィルハーモニア管弦楽団との録音の9年後となる1969年、クレンペラーさん84歳のときに、バイエルン放送交響楽団との演奏も残されており、こちらには終楽章にクレンペラーさんの改作部分があります。
(by R)