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本日の一曲 vol.559 ヴァイル:アラバマ・ソング (Kurt Weill & Bertolt Brecht: Alamaba Song, 1927)
マハゴニー
本日ご紹介するクルト・ヴァイル(1900年3月2日生)さんの「アラバマ・ソング」は前にご紹介した「三文オペラ」と同時期のナチス時代の1927年に音楽劇(Songspiel)「マハゴニー(Mahagonny)」の中の1曲として作曲されたものです。ロッテ・レーニャ(Lotte Lenya, 1898年10月18日生~1981年11月27日没)さんの歌で、ロジャー・ビーン(Roger Bean, 1919年8月30日生~1979年3月9日没)さん指揮ロジャー・ビーン・ウント・ザイン管弦楽団(Roger Bean Und Sein Orchester)の演奏です。
歌詞・台本も「三文オペラ」と同じくベルトルト・ブレヒト(1898年2月10日生~1956年8月14日没)さんによるものです。
マハゴニー市の興亡
「マハゴニー」は、1930年にオペラ「マハゴニー市の興亡(Aufstieg und Fall der Stadt Mahagonny)」として再構築され、こちらでも「アラバマ・ソング」が使われています。ヴィルヘルム・ブルックナー=リュッゲベルク(Wilhelm Brückner-Rüggeberg, 1906年4月15日生~1985年4月1日没)さん指揮のオーケストラによる演奏、歌は同じくロッテ・レーニャさんです。
1956年にリリースされたオペラ全曲盤のプレイリストです。
オペラをお聴きになればお分かりになると思いますが、オペラはドイツ語ですが、「アラバマ・ソング」は英語になっています。「マハゴニー」という都市は架空の都市という設定なのですが、そこにいる売春婦が酒場で「アラバマ・ソング」を歌います。「ウイスキーをくれ」「次の可愛い男はどこ?」ということを歌っています。デカダンスの薫りがします。ナチスに目をつけられたのも当然と言えるでしょう。
アラバマ・ソング
アラバマ・ソングは、ロックのアーティストに歌い継がれました。ジム・モリソン(Jim Morrison, 1943年12月8日生~1971年7月3日没)さんが歌うドアーズ(The Doors)の「アラバマ・ソング(Alabama Song (Whisky Bar), 1967)」です。
デヴィッド・ボウイ(David Bowie, 1947年1月8日生~2016年1月10日没)さんが歌う「アラバマ・ソング(Alamaba Song, 1980)」です。
追伸 (2025/02/18) ロッテ・レーニャ
ロッテ・レーニャさんは、ドイツのミュージカル舞台女優で、1925年にクルト・ヴァイルさんと知り合い、翌年1926年に結婚し、一度の離婚期間をはさみ、1950年にヴァイルさんが亡くなるまで、ヴァイルさんの妻でした。1928年には「三文オペラ」初演でスリで売春婦のジェニー・ダイバー役を引き受け、これが出世作となりました。
その後、ロッテさんは舞台女優として活躍しましたが、1963年には映画「007/危機一髪(007/ロシアより愛をこめて)」にソビエト特殊諜報部隊スメルシュのクレッブ大佐役として出演しました。
(by R)
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