本日の一曲 vol.514 メンデルスゾーン:交響曲第2番「讃歌」 (Felix Mendelssohn: Symphony No.2 "Lobgesang", 1840)
もしクラシック音楽にヨーロッパ的でリッチでハイソでちょっと格式張ったものを求めるとしたら、ヘンデル(Georg Friedrich Händel, 1685年2月23日生~1759年4月14日没)さんの音楽とメンデルスゾーン(Jakob Ludwig Felix Mendelssohn Bartholdy, 1809年2月3日生~1847年11月4日没)さんの音楽はちょうどよいかもしれません。
メンデルスゾーンさんの交響曲については、今回で2曲目のご紹介になります。1曲目は「スコットランド」でメンデルスゾーンさんが33歳のころの曲、今回の「讃歌」は31歳のころの曲となります。
この「讃歌」も、年末年始にかけてご紹介したベートーヴェンの合唱、バッハのマタイ受難曲、オルフのカルミナ・ブラーナに続いて、4曲目の大規模な合唱を伴う曲になります。
この「讃歌」はドイツ・ライプツィヒにおいて、ヨハネス・グーテンベルク(Johannes Gutenberg, 1398年頃生~1468年2月3日没)さんの印刷技術完成400周年を記念して作曲されたもので、1840年6月25日に初演されました。
曲は大規模な構成になっており、まず第1部の第1曲「シンフォニア(Sinfonia)」の管弦楽による3楽章と第2部の第2曲から第10曲までの声楽曲から成り、全曲を演奏すると1時間強を要します。大体第1部の管弦楽が30分弱くらいです。第2部の歌詞は、宗教改革のマルティン・ルター(Martin Luther, 1483年11月10日生~1546年2月18日没)さんが1534年に完成させた旧約聖書のドイツ語版から採用されています。内容は、神への讃歌であり、歌詞はこちらをご覧ください。
メンデルスゾーンさんは、若くしてバッハ「マタイ受難曲」を再発見して蘇演した作曲家であり、1824年のベートーヴェン「合唱」の初演の後にこの「讃歌」を作曲したという流れになりますので、当然、これらの曲を超える曲を作るという意図があったと思います。ベートーヴェンの9曲の交響曲の続編は、ブラームス(Johannes Brahms, 1833年5月7日生~1897年4月3日没)さんの交響曲第1番と言われたりしますが、この「讃歌」もベートーヴェン合唱の続編と呼ばれるのにピッタリな曲ではないかと思います。
ドイツ・ケルンの西部ドイツ放送(Westdeutscher Rundfunk Köln, WDR)から2022年のライブ演奏の動画が公開されていますので、こちらをご紹介します。サイモン・ハルシー(Simon Halsey, 1958年3月8日生)さん指揮ケルンWDR交響楽団とWDRラジオ合唱団(WDR Sinfonieorchester und WDR Rundfunkchor)の演奏です。
歌手は、ソプラノのカタリーナ・ペルシッケ(Katharina Persicke)さん、メゾソプラノのマリー・ヘンリエット・ラインホルト(Marie Henriette Reinhold)さん、テノールのマシュー・スウェンセン(Matthew Swensen)さんです。
名盤セレクトとしては、パブロ・エラス=カサド(Pablo Heras-Casado)さん指揮バイエルン放送交響楽団と合唱団(Bavarian Radio Symphony Orchestra & Choir)によるものが最近では評判がよいようです。プレイリストと音盤案内です。
(by R)