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本日の一曲 vol.522 グリーグ:ペール・ギュント全曲 (Edvard Grieg: Peer Gynt Op.23, 1875)
「ペール・ギュント」は、ノルウェーの劇作家ヘンリク・イプセン(Henrik Ibsen, 1828年3月20日生~1906年5月23日没)さんが1867年に書いた全5幕の韻文劇であり、これに同じくノルウェーの作曲家エドヴァルド・グリーグ(1843年6月15日生~1907年9月4日没)さんが1875年に曲を付け、1876年2月24日にオスロで初演されたものです。
この全曲の中では、第4幕前奏曲の「朝の気分」が兎にも角にも有名です。
エストニア出身のネーメ・ヤルヴィ(Neeme Järvi, 1937年6月7日生)さん指揮エーテボリ交響楽団( Göteborgs Symphony Orchestra)の演奏で「朝の気分(Morgenstemning)」です。
ネーメ盤の全曲プレイリストです。
「朝」に次いで、ノルウェーの曲らしくヘヴィーメタルなどにたいへん頻繁に引用される「山の魔王の宮殿にて」もまた有名です。これを引用した曲のリストです(ノルウェー語版Wikipedia)。
「山の魔王の宮殿にて」は、ネーメ・ヤルヴィさんの息子さんであるパーヴォ・ヤルヴィ(Paavo Järvi, 1962年12月30日生)さん指揮エストニア国立交響楽団(Estonian National Symphony Orchestra)の演奏です。
パーヴォ盤の全曲プレイリストです。
劇の内容ですが、ChatGPTに要約してもらったものに、幕ごとにネーメ盤の収録曲目を合わせました。
第一幕
舞台設定: ノルウェーの農村。
主人公ペール・ギュントは、母親オーセと共に暮らす無鉄砲で夢想家の若者。村での評判は悪く、無責任で自分勝手な性格として知られている。
ペールは結婚式に招かれるが、そこで裕福な農家の娘である新婦イングリッドを誘惑し、彼女をさらう。しかし、イングリッドを捨ててしまい、村人たちに追われる身となる。
途中、ペールは美しいソルヴェイグと出会い、恋に落ちるが、自分の自由を求めて彼女を捨てて逃げる。
ネーメ盤
No.1 婚礼の場にて(第1幕前奏曲)
No.2 ハリング舞曲(第2場と第3場)
No.3 スプリンガル(跳躍)舞曲(第3場)
第二幕
舞台設定: 森や山の中。
ペールは森の中で奇怪な冒険を経験する。山の魔王の館で、魔王トロル王出会う。
トロルの世界に取り込まれそうになるが、彼の人間性が邪魔をして完全に同化できない。
トロルの娘と結婚を強いられるが、それを拒否し、トロルたちを敵に回して逃げる。
ネーメ盤
No.4 花嫁略奪 : イングリッドの嘆き(第2幕前奏曲)
No.5 ペール・ギュントと山羊追いの女達(第3場)
No.6 ペール・ギュントと緑衣の女(第5場への導入)
No.7 ペール 「育ちのよさは馬具みりゃわかる」(第5場の結び)
No.8 山の魔王の広間にて(第6場の開始)
No.9 山の魔王の娘の踊り(第6場)
No.10 ペールはトロルたちに追い回される(第6場)
No.11 ペール・ギュントと妖精ベイグ(第7場)
第三幕
舞台設定: ノルウェーの荒野。
ペールは放浪を続け、ソルヴェイグの元へ戻ることを決意する。
ソルヴェイグは彼を無条件に受け入れ、二人は幸せな生活を送るかに見えるが、母親オーセが亡くなり、ペールは再び自分の内なる不安に駆られ、ソルヴェイグを残して旅に出る。
ネーメ盤
No.12 オーセの死(第3幕前奏曲)
No.12 オーセの死(第3幕第4場の中)
第四幕
舞台設定: 世界各地(アフリカなど)。
成長したペールは、冒険家や実業家として世界中を旅する。しかし、彼の行動は自己中心的で、他人を犠牲にして利益を得ることが多い。
彼は一時的に裕福になるが、最終的に全てを失い、孤独な放浪者として生きることになる。
異国の地で死の運命を感じ、故郷に戻る決意をする。
ネーメ盤
No.13 朝のすがすがしさ(第4幕前奏曲)
No.14 泥棒と盗品買い(第5場)
No.15 アラビアの踊り(第6場)
No.16 アラブの族長の娘アニトラの踊り(第6場)
No.17 ペールのセレナーデ(第7場)
No.18 ペール・ギュントとアニトラ(第8場)
No.19 ソルヴェイグの歌(第10場)
No.20 メムノン像の前のペール・ギュント(第11場への導入)
第五幕
舞台設定: ノルウェー、故郷の森。
老いたペールは故郷に戻るが、これまでの生涯で何も成し遂げていない自分に気づく。
ペールは「鋳掛け屋(ボタン職人)」という死の象徴に出会い、自分の人生が「本物」ではなかったと告げられる。
彼が人生の意味を問い直す中、ソルヴェイグと再会する。彼女は長年彼を待ち続けていた。
ソルヴェイグは彼を抱きしめ、彼の魂を救う祈りを捧げる。物語は彼女の愛に包まれて幕を閉じる。
ネーメ盤
No.21 ペール・ギュントの帰郷 : 夕方の嵐の海(第5幕前奏曲)
No.22 難破(第1場と第2場の間)
No.23 小屋でソルヴェイグが歌っている(第5場)
No.24 夜のシーン(第6場)
No.25 ペンテコステ賛美歌 「祝福の朝なり」(第10場)
No.26 ソルヴェイグの子守歌(第10場)
よく引用させていただいている「オペラ対訳プロジェクト」さんの方でも対訳作業が進んでいるようです。
また、グリーグさんは、全曲版から1891年に第1組曲作品46を、1892年に第2組曲作品55を編曲しました。第1組曲には、朝、オーセの死、アニトラの踊り、山の魔王の宮殿にて、の4曲が選ばれ、第2組曲には、イングリッドの嘆き、アラビアの踊り、ペール・ギュンとの帰郷、ソルヴェイグの歌、の4曲が選ばれています。
ヘルベルト・フォン・カラヤン(Herbert von Karajan, 1908年4月5日生~1989年7月16日没)さん指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団が演奏する組曲版のプレイリストです。
(by R)
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