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本日の一曲

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さくらMusic officeでは、新企画「本日の一曲」をスタートしました! この「本日の一曲」では、ジャンルにこだわらず、時にはアーティストや時代背景にも触れながら、誰もが知…
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2024年7月の記事一覧

本日の一曲 vol.357 荒井由実 翳りゆく部屋 (1976)

「荒井由実」は、松任谷由実さんの結婚前の名前であり、「ユーミン」さんのことです。荒井由実さんは、、1954年1月19日、東京・八王子の老舗呉服店「荒井呉服店」の5人兄弟姉妹の4番目の二女として生まれました。デビューや、本日ご紹介する「翳りゆく部屋」リリースの経緯は、このnoteにある荒井由実さんがかつて所属していたALFA MUSICさんの記事が詳しいので、こちらをご覧ください。 「翳りゆく部屋」は、1976年3月5日、荒井由実時代の最後の7枚目のシングルとしてリリースされ

本日の一曲 vol.356 ビートルズ ヘルター・スケルター (The Beatles: Helter Skelter, 1968, cf. Koji Ueno & Dmitri Shostakovich)

ビートルズの「ヘルター・スケルター」というと、いくつも記事が書けてしまうだろうという名曲です。「2018 Mix」バージョンでどうぞ。最後、「おや?」と思いますので、最後までお聴きください。 英語の「helter-skelter」とは、16世紀末に誕生した言葉だそうで、「あわてふためいた」という意味です。イギリスでは、20世紀初めに「ヘルター・スケルター」という遊園地のすべり台が登場しました。 日本では、もっぱらビートルズのハード・ロックの曲として、その名前が親しまれてき

本日の一曲 vol.355 エンジェル 来日記念 タワー (Angel: Tower, 1975)

本日ご紹介するのは、キッス、クイーン、エアロスミスに続く(はずだった)ハード・ロック・バンド、エンジェルです。エンジェルは、現在、47年ぶりの来日中です。 エンジェルのセルフタイトルのデビューアルバム(1975)の記念すべき1曲目「タワー」です。ただ、エンジェルのアルバムのうち、デビューアルバムから4枚目まではサブスクのメニューにはありませんので、1980年にリリースされたライヴ・アルバム「ライヴ・ウィズアウト・ア・ネット(Live Without A Net)」に収録され

本日の一曲 vol.354 ドビュッシー 牧神の午後への前奏曲 (Claude Debussy: Prélude à "L'après-midi d'un faune", 1894)

はじめに夏の気怠い(けだるい)隠微な午後には、クロード・ドビュッシーさんの出世作「牧神の午後への前奏曲」がぴったりです。オリンピック気分とはかけ離れた音楽ですね! この曲は、フランスの詩人ステファヌ・マラルメ(Stéphane Mallarmé)さんの詩「半獣神の午後(牧神の午後)」に感銘を受けて作曲されたものだと言われています。「Faune」とは、ギリシア神話とローマ神話に登場する半人半山羊の神話上の生き物のことを言います。 マラルメさんの詩については、こちらをご覧くだ

本日の一曲 vol.353 クイーン クール・キャット (Queen: Cool Cat, 1982)

クイーンのオフィシャル・チャンネルから、今年の5月24日に「クール・キャット」のオフィシャル・リリック・ビデオが公開されました。題名の「クール」とはあまり関係ないと思いますが、曲自体、納涼感があるので、この季節にご紹介します。 この曲は、1982年5月4日にリリースされたクイーンの10枚目のアルバム「ホット・スペース(Hot Space)」に収録された曲ですが、このアルバムは、ブラック・ミュージック指向だったため、発売当時は評判がよくありませんでした。 話は前年にさかのぼ

本日の一曲 vol.352 ディーリアス 夏の歌 (Frederick Delius: A Song of Summer, 1931)

フレデリック・ディーリアス(1862年1月29日生~1934年6月10日没)さんは、イギリスの作曲家とされますが、両親はドイツ系であり、両親がイギリスに帰化したため、生まれはイギリスであり、生まれてからしばらくはイギリスで音楽教育を受けていたものの、その後の生涯からすると、その音楽のルーツはミクスチュアなものだったと言えます。 ディーリアスさんの両親の家業は羊毛業であり、息子が音楽の道に進むことを反対していた父親は、息子に仕事を与え、ディーリアスさんをスウェーデン、フランス

本日の一曲 vol.351 BACCO CHA CHA ME (1979)

このレコードはギタリストの高中正義さんのプロジェクトによるもので、「BACCO」はバンドの名前、「CHA CHA ME」はアルバムの名前で、同名の曲も収録されています。 メンバーは、高橋ゲタ夫さん(ベース)、ロバート・ブリル(Robert Brill)さん(ドラム)、高中正義さん(ギター)、佐藤準さん(キーボード)、ジム・ダイアモンド(Jim Diamond)さん(ボーカル)です。 ロバート・ブリルさんと佐藤さんはCharさんの日本最高のギター名盤であるセルフタイトルのデ

本日の一曲 vol.350 ゆらゆら帝国 な・ま・し・び・れ・な・ま・め・ま・い (2003)

ゆらゆら帝国は、2003年2月に突然「ゆらゆら帝国のしびれ」と「ゆらゆら帝国のめまい」の2枚のアルバムをリリースしました。その年の11月、これら「しびれ」と「めまい」の中の曲をセットリストにしたライヴ・アルバム「な・ま・し・び・れ・な・ま・め・ま・い 」をリリースしました。 このライブアルバムの音がまた強烈で、大音量の中でラジカセを使って録音したような音だったのです。マイクの入力レベルを振り切ったような、とてもクリアとは言えない歪んだ音で録音されていました(ただ、よく聞いて

本日の一曲 vol.349 ピーター・ポール・アンド・マリー 風に吹かれて (Peter, Paul And Mary: Blowin' In The Wind, 1963)

ピーター・ポール・アンド・マリーは、テノールのピーター・ヤーロウ(Peter Yarrow)さん、バリトンのポール・ストゥーキー(Paul Stookey)さん、コントラルトのマリー・トラヴァース(Mary Travers)3人のコーラス・グループです。彼らは、マネージャーのアルバート・グロスマン(Albert Grossman)さんのオーディションにより集められたメンバーであり、アルバートさんによって売り出されたグループでした。 アルバートさんは、1959年にニューポート

本日の一曲 vol.348 ジョン・ケージ ソナタとインターリュード (John Cage: Sonatas and interludes, 1948)

「4分33秒(1952)」で有名なアメリカの現代音楽の作曲家であり発明家、キノコの研究家でもあるジョン・ケージさんの最高傑作と言われる「ソナタとインターリュード」をご紹介します。 現代音楽は、現在の音楽のことではなくて、クラシック音楽の発展形としてのモダンな音楽という意味です。この発展には、いろいろと面倒な理論的展開があったりして難解なのですが、この難解さは置いておきましょう。 ジョン・ケージさんについては、アルノルト・シェーンベルク(Arnold Schönberg)さ

本日の一曲 vol.347 レオンカヴァッロ 道化師より「衣装をつけろ」 (Ruggero Leoncavallo: "Vesti la giubba" from "Pagliacci", 1892)

19世紀末のイタリア・オペラの新しい波として、ヴェリズモ・オペラがありました。これは「現実主義」と呼ばれるもので、簡単に言うと、その辺の人を題材にして、ドラマティックな表現をするオペラと言ってよいかと思います。 そのヴェリズモ・オペラの代表作として、ピエトロ・マスカーニ(Pietro Mascagni)さんの「カヴァレリア・ルスティカーナ(Cavalleria Rusticana、田舎の騎士道、1890)」とルッジェーロ・レオンカヴァッロさんの「道化師」があります。 「カ

本日の一曲 vol.346 グレン・ミラー ムーンライト・セレナーデ (Glenn Miller: Moonlight Serenade, 1938)

グレン・ミラーさんは、1904年3月1日、アメリカ合衆国アイオワ州クラリンダに生まれ、高校生の時にクラスメイトとバンドを結成、1923年にコロラド大学ボルダー校に進学しましたが、中退してニューヨークで音楽の道に進みました。ニューヨークでは、後にジョージ・ガーシュウィン(George Gershwin)さんも師事したロシア出身のジョセフ・シリンガー(Joseph Schillinger)先生に師事しました。シリンガー先生の指導の下、「ミラーズ・チューン(Miller's Tun

本日の一曲 vol.345 エルガー ゲロンティアスの夢 (Sir Edward Elgar: The Dream of Gerontius Op.38, 1900)

エドワード・エルガーさんの楽曲については、2回ほど紹介したことがありました。 本日ご紹介するのは、オラトリオの「ゲロンティアスの夢」ですが、このオラトリオ、日本語では聖譚曲は、声楽曲でその言葉は日本語ではなく、しかもそのジャンルのほとんどがキリスト教に関係するものですので、なかなか日本人には馴染めない分野の楽曲です。 この「ゲロンティアスの夢」ではどんなことが歌われているのかといいますと、曲は第1部と第2部に分かれ、第1部は死期が迫った主人公の男性ゲロンティアスが死に恐れ

本日の一曲 vol.344 フレッド・マクダウェル ユー・ガッタ・ムーヴ (Mississippi Fred McDowell: You Gotta Move, 1965)

「ユー・ガッタ・ムーブ」はアフリカ系アメリカ人のスピリチュアル・ソング(いわゆる「黒人霊歌」)です。黒人霊歌は、16世紀から19世紀まで存在していた大西洋奴隷貿易で奴隷として連れてこられたアフリカ人の歌です。 歌詞は、おおよそ次の内容になっています。「神様が準備できたら『動か』なきゃいけない」という意味です。 You gotta move You gotta move You gotta move, child You gotta move But when the Lo