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本日の一曲 19世紀までのクラシック音楽

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連載「本日の一曲」のうち、19世紀以前のクラシック音楽をまとめました。
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2023年10月の記事一覧

本日の一曲 vol.78 マスカーニ カヴァレリア・ルスティカーナ 間奏曲 (Pietro Mascagni: Cavalleria Rusticana Intermezzo, 1890. cf. Karajan)

マスカーニ作曲のオペラ「カヴァレリア・ルスティカーナ」は、ジョヴァンニ・ヴェルガ(Giovanni Verga)さんの小説・戯曲を題材にしたもので、そのイタリア語の題名は「田舎の騎士道」という意味です。 オペラの舞台は、イタリアの田舎であるシチリアの復活祭の日、主役は、サントツアというソプラノで、彼女の彼氏(トリド)が昨晩元カノ(ローラ。人妻!)と逢っていたらしいと嫉妬して、彼氏本人を問い詰めるのですが、彼氏は取り合わないので、元カノの夫(アルフォ)に話してしまう(田舎なの

本日の一曲 vol.77 スクリャービン ピアノ・ソナタ第2番「幻想ソナタ」 (1897, Alexander Scriabin: Piano Sonata No.2 Sonata-Fantasy)

アレクサンドル・スクリャービン(Alexander Scriabin)さんは、1872年にモスクワに生まれたロシアの作曲家です。スクリャービンさんは、10歳で陸軍の学校に進学しますが、モスクワ音楽院に転学し、そこでピアノと作曲を学びました。同級生にはセルゲイ・ラフマニノフ(Sergei Rachmaninoff)さんがいました。 写真の前列1番左がスクリャービンさん、その右隣がピアノの先生だったニコライ・ズヴェーレスさん、後列右から2番めがラフマニノフさんです。スクリャービ

本日の一曲 vol.76 バッハ ゴルトベルク変奏曲 (1741, cf. Wanda Landowska & Glenn Gould)

「バッハが音楽を手ほどきしたヨハン・ゴットリープ・ゴルトベルクが不眠症に悩むヘルマン・カール・フォン・カイザーリンク伯爵のためにこの曲を演奏したという逸話から『ゴルトベルク変奏曲』の俗称で知られている」(日本語版Wikipedia)という曲です。 この逸話の信憑性は疑われているようですが、確かに、この曲の冒頭のアリアをグレン・グールドさんが晩年の1981年の録音で弾いたように弾けば眠くなるかもしれません。しかし、変奏が進んでいくに連れ、目が覚めるような音型がつぎつぎと紡ぎ出

本日の一曲 vol.67 リスト バラード第2番ロ短調 (Franz Liszt: Ballade Nr.2 h-moll S.171 R.16, 1853)

バラードとは、もともとはフランスでは世俗抒情歌としての声楽曲、イギリスでは物語を歌いこんだ曲だったようですが、18世紀のドイツでゲーテらが文学に曲をつけたりしたので、バラードというと、物語的な曲をいうようになりました。器楽曲でも、物語をモチーフにしたものが作曲されるようになり、ショパンの曲が有名です。 本日ご紹介するリストのバラード第2番は、ギリシャ神話の女神官のヘーローと青年レアンドロスの物語「ヘーローとレアンドロス」を描いたものだと言われています。この物語のあらすじです

本日の一曲 vol.55 ムラヴィンスキー グリンカ 「ルスランとリュドミラ」序曲 (Mravinsky: Glinka: Overture Ruslan and Lyudmila, 1842)

グリンカ(Mikhail Glinka)は、「近代ロシア音楽の父」と呼ばれる作曲家であり、時代的には、このオペラ「ルスランとリュドミラ」の初演が1842年12月9日、その約2年半前の1842年5月7日にチャイコフスキーが生まれたという時代でした。 「ルスランとリュドミラ」というオペラは、極めて大まかに言いますと、魔術師に拐われたリュドミラ姫を騎士ルスランが取り戻しに行き、ついに二人は結ばれる、というメルヘン・オペラで、上演時間は大体3時間10分くらいです。 古典的なオペラ