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尽くせば尽くすほど、なぜかあなたの気持ちは離れていった。(後編)

「恋愛は惚れたもん負け。」

ああ、本当にそうだな。
私が好きになったからこの恋はダメなんだ。
そう思っていた。

この記事は前回の続きです。
未読の方はこっちから読んでね。

というわけで先生との道徳に反した恋はぬるりと始まってしまったわけだけど、あれほど夢見ていた恋の成就はいつになっても私を満足させてはくれなかった。
むしろ、密かに片想いしていた頃の方がずっとずっと楽しかったとさえ思えるくらいに。

あの頃の私はというと、先生から連絡が来ればすぐに返したし、会っている時も全て先生の都合に合わせて、絶対にわがままは言わなかった。
それでも、そうすればするほどに、なぜか先生の気持ちは急速に離れていった。

どうして?なんで?
もしかしてもう飽きてしまったんだろうか?

毎日そんなことばかりを考えていて、会えないと不安が募るから、約束をしていなくても毎週のように東京に帰るようになった。
だって、毎週帰っていれば突然先生に誘われてもすぐに会いにいくことができるから。

それでも会える日なんて本当に稀で、先生と会えない日はせっかく東京に帰ったのに何もせずずっと実家で眠っていた。
友達と遊ぶ気力もなかったし、時々遊んでも不倫の恋の相談なんてできるはずもなく、嘘をつき続けることで余計疲労が溜まった。

配属先の同期たちとも会わなくなった。
東京から配属された何人かの同期社員たちはそれぞれ配属先の地域のスポーツチームに入ったり、同期同士で出掛けにいったり、みんなその土地を楽しもうとしていたから、毎週のように東京へ帰ってしまう私とはタイミングも合わなかったし、今考えるといつまで東京に固執しているのだろうと呆れられていたのかもしれない。

そうなると余計に先生に執着するようになった。
私の世界には先生しかいなかった。
だけど先生には家庭があり、仕事がある。
当然先生の方は私を最優先になんてできるはずはなく、私はそういう先生の態度に絶望して、時々爆発してはメンヘラ長文を送りつけたり、やっと会えたと思ったら「困ったら頼ってなんて言っておいて全然助けてくれないじゃん」と激昂したりもした。

地獄すぎる。

そんなことを続けていたら、突然その時はきた。

「僕たちの関係がバレました。もう会えません。」

片想い期間から数えると約1年にも及んだ先生への恋はこのひと言で一方的に幕を下ろされたのだった。

「恋愛は惚れたもん負け。」

ああ、本当にそうだな。
私が好きになったからこの恋はダメなんだ。
当時の私はそう思っていた。

だけど、そうじゃないことは今になると痛いほどわかる。

「惚れたからダメだった。」
のではなく、
「自分のことしか考えていなかったからダメだった」
のだ。

あの頃の私は先生に尽くしていた。
自分の時間は全て先生のために使い、先生から言われたことは全て従い、できることはなんでもした。

だけどそれを先生は求めていたのだろうか?

答えは間違いなくNOである。

自分の時間を全て先生のために使ったのも、言われたことに全て従うのも、全部先生のためではない。
先生に会いたかった自分の為だし、先生に愛してほしい、嫌われたくない自分の為だった。

もし仮にその行動の全てが本当に先生のためにしたものだったとしたら、その行動に見返りがなくても構わないはずなのだ。
だって、「先生のために自分の時間を使えた」ことが嬉しいはずだし、「わがままを言わないで一緒に時間を過ごせた」だけで満足できるはずだから。

私は「先生のためにした」と思っていた行動の全てに見返りを求めていた。
だからその見返りがないとメンヘラになるし、怒るのだ。
そんなふうに過ごしていたら相手の気持ちが離れていくのは当然である。


「じゃあ、私が尽くさないと離れていってしまう人にはどうすればいいの?」

過去にそんな男もいた。

もし、あなたが無理をしてその男に尽くしているのだとしたら、そういう人からは一刻も早く離れた方がいいの一言である。

あなたがしたくないことをしているのに、それを良しとして甘えてくる男があなたを大切に思っているわけがないからやめた方がいいし、
もし尽くし続ければいつかきっと報われると思っているなら、その時点で見返りを求めているので、やっぱりやめた方がいい。

第一尽くし続けないと離れてしまう相手があなたのことを愛しているわけがない。断じてない。
(わかっていても簡単に離れられないのが恋愛でもあるんだけどね。)

とはいえ男に限らず人は卑怯な生き物だから、格下には容赦がないし、恋愛関係なら尚更その上下関係は強固なものとなってしまう。
雑に扱われて利用したいだけされたらポイ。
どうせ捨てられるなら見切るのは早い方がいい。
むしろ、男の方がこちらに執着してきて捨てずにずっと搾取され続ける方が地獄だからさっさと捨ててくれる男の方がまだマシまである。

私は今回の恋を含め、過去にそういった独りよがりな尽くし行為ばかりしてきたし、されてきてもいた。

結果してもされてもクソ恋愛だったわけだけど、独りよがりに尽くされる側の感情ってどうなんだろうというのも女性視点ではあまりないような気がするので、次回はそんな恋について書いてみようと思う。

きっと俺様系クソ男たちがどう考えてどんな気持ちでいるのか、少しはヒントになるはずだ。

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