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日記4・ハラスメント対策を考える前半
ハラスメント防止や事後の企業側の対策を考える上で、素晴らしい経験をしたので、ぜひ紹介させてください。
※書いてたらめちゃくちゃ長くなって来たので、前提部分のみで一度投稿します。
前提:趣味の場でのこと
仕事ではなく、趣味の場でのこと。ハラスメントというほど大仰なことではないのですが、話を聞いてくれた方の対応が、「この人が私の上司だったら…」という100点の対応だったんですよね。
きっかけ:些細な態度に違和感
私は最近、立ち上げたばかりの性的マイノリティ中心の趣味の交流会に参加しています。そこは、全く繋がりがなく参加したのは「ほぼ私だけ」と言っていいほどの出来立ての団体です。
その交流会は、性的指向に葛藤を持つ人たち、いわゆるレズビアン、ゲイの人たちが中心。メンバーには私のような性自認に葛藤を抱える人(トランスジェンダーやノンバイナリー)の知識や接点はほとんどない印象でした。
その中で、コンサバティブ、昔ながらのジェンダー観(男女観)を持ってそうだな人がいました。仮にその方をAさんとしましょう。
印象としては「男と女しかいない」「女を好きだから男、男を好きになるから女」「性別移行するってことは同性が好きなんでしょ」みたいな感じです。
こういった考え方を、専門的な言葉で「性別二元論(Gender binary)」といいます。
性別二元論とは
レズビアンやゲイの方が、「男は女が好きなもの、女は男が好きなもの」という考え方を持っているのは不思議に感じられるかもしれません。当事者も多くの人と同様の価値観をもっているから、苦しむのだとお考えください。私自身も、この考えがあったからこそ、性別移行をしたいと思いながらも、自分のセクシュアリティを30年以上否定し続けてきました。
このような性別二元的な考え方では、私のような生き方や、「ノンバイナリー」と言われるセクシュアリティを理解するのはとても難しいのです。
トランスジェンダーを理解するため必要な脱・性別二元論
よく知らない人にとってトランスジェンダーとノンバイナリーは違いがよくわからないと思います。しかし、ノンバイナリーは、わかりやすく性別移行しているトランスジェンダーから、外見的な何の治療をせず、マジョリティの男性・女性として生活している人も含まれます。それは、ノンバイナリーは「男女どちらかではない」人すべてを表すものだからです。
ノンバイナリーとは、英語のNon-binary、直訳すれば「二元ではない」。つまり、『「性別二元(gender binary)」ではない(non)』性別、性自認というアイデンティティです。
性自認とアイデンティティって、性自認はgender Identityの訳語なんだから同じ意味じゃん!って感じですが、「ノンバイナリー」を名乗ることは、その人そのものな気もするので、あえて区別して書きました。(書いていて私もゲシュタルト崩壊起こしそうですが)
アイデンティティを伴わずとも、私のように男性と認識される生活と、女性と認識される生活両方送っている状態を続けている人も男女二元から外れている存在です。
男女二元的な考えでは、それらは変化の途上や我慢を強いられている状態として理解できるでしょう。しかし、その状態で満足、あるいは不満があっても能動的に選んでいる人、冒頭で上げた「マジョリティの女性・男性として生活する人」の説明しにくいはずです。
つまり私はAさんに「自分を否定されかねない」と、不安を感じたのです。
感じただけでなく
「あ、この人私を男性的な見た目のレズビアン女性と認識してるな?」という発言をしてきました。
もちろん、Aさんからは悪意は一切感じませんでした。ある種、私を尊重するための言葉選びとさえ感じました。
そもそも、性自認に葛藤を抱いている人にわだかまりを与えているとさえ全く気づいてもいないでしょう。男女二元論的発想では、男女のボーダーライン上にたゆたう存在に向けて、配慮どころか認識することが難しいからです。
悪意はないし、いい人でもある。しかし、だからこそ、しんどい…。
ずーっと素足を踏まれているけど、当の本人はソールが厚い靴を履いてて、私が素足であることも、自分が踏んでいることも、痛がっていることも気付いていないようなものです。
課題:傷つけずにどう伝えるか
ここまで読んで「うわ、考え過ぎ。だいぶめんどくさいな…じゃあ、どうやってコミュニケーションとりゃ良いんだよ」と思われた方も多いのではないでしょうか。
私もそう思い、とても悩みました。怒ってもいないし、糾弾する気もありません。何より趣味の場ですから、嫌なら行かなきゃいいだけです。
ただ、交流会を発展させたいと考えているのであれば、私と同じような人に、今度はもっと大きなダメージを与えかねないと思ったからです。根深い問題だからこそ、「些細」のうちに気づいてほしいと思ったのです。
とはいえ、そのシンプルなことをどう伝えたらいいか、とても悩みました。
足を踏まれているという状況であれば、簡単です。だって目に見えて説明もできますからね。しかし、トゲトゲ言葉でもない、コミュニケーションの文脈で傷ついているという、透明にも程がある行為をどうしたら、相手を傷つけたり、逆上させることなく行動だけ変えてもらえるようにできるのでしょうか。
何より、どうしたら「佐倉が繊細なだけ」という個人の問題にすり替えられないか、悩みました。
数日悩んで、交流会の別のメンバーにメールを送って相談することにしました。