佐倉イオリ

性的マイノリティ、LGBTQ+を考える人。クィアに関するコラムやエッセイ、当事者インタビューなど書いています。性自認は男性、性的指向も男性。そんな自分のアイデンティティに名前をつけるなら、ノンバイナリーになるのかもしれない。SNSは主にスレッズにいます。

佐倉イオリ

性的マイノリティ、LGBTQ+を考える人。クィアに関するコラムやエッセイ、当事者インタビューなど書いています。性自認は男性、性的指向も男性。そんな自分のアイデンティティに名前をつけるなら、ノンバイナリーになるのかもしれない。SNSは主にスレッズにいます。

マガジン

  • 性別をめぐる旅

    2024年4月にサービス終了となったウェブマガジン『wezzy』にて2022年に連載させていただいたものです。佐倉イオリが初めて執筆したエッセイとなります。書き手としてまだまだ不慣れで、恥ずかしい文章も多いのですが、掲載当時のままご紹介します。 文字数が多い記事は分割してご紹介します。

  • 佐倉イオリの日々のアレコレ(日記)

    私(佐倉イオリ)のただの日記をまとめたものです。イメージしやすい「性」の問題から、社会的、文化、生活する上で、みんなが無意識に使い分けている性、「ジェンダー」の問題まで、日常の中で考えたアレやコレやです。

最近の記事

  • 固定された記事

note始めました

これまで、女子SPA!などウェブメディアなどでコラムやインタビュー記事を書かせてもらってましたが、noteを始めることにしました。 まず、noteの皆さんに、私がどんな人か知ってもらえたら嬉しいです。 私はLGBTQ+やジェンダーを考える人一言で言えば、私は性の多様性について色々と考える人です。 私はいわゆる「LGBTQ+当事者」「セクシャルマイノリティ当事者」であり、性の多様性が広がらないと生活が困るからです。 といっても、具体的に何が困るか、分からない人も多いと思

    • 【前編】結婚したら、周囲の態度が変わった。性別の違和感を無視できなくなった(2022年wezzy掲載)

      今回の記事は、2024年4月でサービス終了した株式会社サイゾーが運営するWEBマガジン「Wezzy」にて、2022年に掲載していたものです。 前回のエピソードはこちら↓ 「自分を女性と思えない」と悩んでいた私だが、20代のころは女性として生きることにかなり執着していた。具体的に言えば、結婚したくてしたくてたまらなかったのだ。実際入籍したのは30歳だが、25歳からつき合っていた夫には、交際3カ月で「早く結婚したい」と迫っていた。「そんなに旦那さんのことが好きだったのね~」と

      • 【後編】「性自認は男性」と「子どもがほしい」ーー“私”が抱えてきた性別違和(2022年wezzy掲載)

        今回の記事は、2024年4月でサービス終了した株式会社サイゾーが運営するWEBマガジン「Wezzy」にて、2022年に掲載していたものです。 前半はこちら↓ 自分が我慢すれば丸く収まる?その声色には「男になりたいのに不妊治療するって、この人、ホントに大丈夫?」といった露骨な警戒があった。受診する前から漠然とあった不安が、はっきりと確信に変わった。 (治療対象として問題がない、そう思ってもらわなくてはならないーー) 私は慎重に言葉を選んだ。 「自分を女性だとは思いませ

        • 【前半】「性自認は男性」と「子どもがほしい」ーー“私”が抱えてきた性別違和(2022年Wezzy掲載)

          今回の記事は、2024年4月でサービス終了した株式会社サイゾーが運営するWEBマガジン「Wezzy」にて、2022年に掲載していたものです。 「性同一性障害なのに母親に? 妊娠、したいんですか?」ーー看護師は私にそう問うてきた。 不妊クリニックの面談でのこと。その日は、初診だった。問診票の記入を4枚ほど課され、過去の妊娠歴や生理周期などを書き込んだ。受付に渡すと「ほかに検査結果があればご提出ください」と言われた。何か持っていないか、私は記憶をたどった。 では、不妊治療は

        • 固定された記事

        note始めました

        • 【前編】結婚したら、周囲の態度が変わった。性別の違和感を無視できなくなった(2022年wezzy掲載)

        • 【後編】「性自認は男性」と「子どもがほしい」ーー“私”が抱えてきた性別違和(2022年wezzy掲載)

        • 【前半】「性自認は男性」と「子どもがほしい」ーー“私”が抱えてきた性別違和(2022年Wezzy掲載)

        マガジン

        • 性別をめぐる旅
          3本
        • 佐倉イオリの日々のアレコレ(日記)
          7本

        記事

          日記7・ジェンダー以外のイシューで政治家を選びたい

          先日、久しぶりに古い知り合いに仕事をお願いすることになり、打ち合わせがてら、飲みに行きました。 古い同僚との政治談義知り合いは、仮想通過や為替など、ちょこちょこ投資をしているようで、その勉強の過程で政治に興味を持つようになったようです。 その方は、けっこう政治的方向性をはっきりと明言される方で国民民主党支持で、都知事選では、石丸氏を支持されていたようです。 どういった点で支持されているかは、深堀りして聞きませんでしたが、どうやら経済的方向から政治を考えたり、インターネッ

          日記7・ジェンダー以外のイシューで政治家を選びたい

          日記6・ホルモン治療で気づいた色々

          結構頭を捻る記事ばかり書いてしまい、ちょっと記事書くのがしんどくなりそうなので、緩めのテキストを書きます。 男性ホルモンによる治療を始めて、2年ほど経ちます。 正確に言えば、3年前くらいから治療しているんですが、10ヶ月くらい治療をやめていた時期があるので、2年くらいかなと。 だいぶ声も安定してきましたが、まだまだ声がカスカスになることもあります。 男性ホルモンを中断すると声変わりも中断する声について、興味深いと思ったのは、男性ホルモンを止めると、声変わりもそのまま止まる

          日記6・ホルモン治療で気づいた色々

          日記5・ハラスメント対策を考える後半

          前回の日記の続きです。 前回のおさらいものすごーく些細なことなのですが、こんなことで悩んでいました。 状況:LGBTQ+当事者中心の趣味の集まり場 困ったこと: 主催者(当事者)Aさんから女性扱いされている気がする。 自分の男女どっちでもない状態を伝えると余計拗れそうで訂正できず。 主催者だからこそ伝えたいけど「考えすぎ」で片付けられそう。 私は、性自認は男性で、仕事上は男性として生活していますが、女性が好きな(いわゆるノンケ)の男性と婚姻状態にあり、パートナー

          日記5・ハラスメント対策を考える後半

          日記4・ハラスメント対策を考える前半

          ハラスメント防止や事後の企業側の対策を考える上で、素晴らしい経験をしたので、ぜひ紹介させてください。 ※書いてたらめちゃくちゃ長くなって来たので、前提部分のみで一度投稿します。 前提:趣味の場でのこと仕事ではなく、趣味の場でのこと。ハラスメントというほど大仰なことではないのですが、話を聞いてくれた方の対応が、「この人が私の上司だったら…」という100点の対応だったんですよね。 きっかけ:些細な態度に違和感私は最近、立ち上げたばかりの性的マイノリティ中心の趣味の交流会に参

          日記4・ハラスメント対策を考える前半

          もうやめません?性的マイノリティと犯罪者混同するの。

          詳しい事情は気分が悪くなりそうなのでしっかりと見ていませんが、ワコールがクロスドレッサーへの新指針を表明したことに対して、売り場に男が入ることを容認していると受取り、怖くてワコール利用しないなど、様々な言説が飛び交ったようです。 騒動を紹介したYahoo!記事(FNNプライムオンライン) どうやらこの記事(と新指針のPDF)が発端のようですね。 共同通信の記事 新指針のPDF https://www.wacoal.jp/news/newsrelease/files/

          もうやめません?性的マイノリティと犯罪者混同するの。

          男性も日々小さなセクハラ受けてないか?

          普段、私は男性として生活をしています。 男性として扱われてみて、男性もそれなりにセクハラを受けていることに気づきました。 その一つが「男性の性愛は場を和ます道具」にされているということです。 ユニークな飲食店で感じた違和感先日、中東料理の店に行ってきたんですね。 そこは「日本一ウザい店」として有名な店「ザクロ」というお店です。 立地の良い場所で、異国情緒あふれる店内装飾と、おいしいお料理に、名物店長のうざ絡みが大変ユニークで大満足な体験となりました。ぜひ地方から出てきた

          男性も日々小さなセクハラ受けてないか?

          日記3・バーが苦手すぎる

          最近なんやかんや新宿2丁目に行く機会が増えたなーと思っているのですが、その割にはバーにほとんど行かないことに気がつきました。 そして、バーに行かない故に、あまり2丁目にきているという実感も湧かず、YouTubeでセカストを見ると、ゲイバー行ってみたいなぁという憧れをほのかに感じてしまいます。 しかし、私はそもそもバーが苦手なのです。なので、ゲイバーに行っても「帰りたい」「美味いもん食いたい」と、ソワソワしてしまうのです。 今まで漠然と感じていたことですが、齢四十を超えて、は

          日記3・バーが苦手すぎる

          孤立しやすいかも?バイセクシュアルを考える

          9月23日は朝日新聞の報道によると、バイセクシュアルデーだったようです。 バイセクシュアルとは、LGBTのBで、男性にも女性にも性的指向が向くセクシュアリティです。 最近、バイセクシャルを自認される方とお話ししていて、ふと 「孤独なセクシュアリティかもしれない」 と感じました。 新しく発見、あるいは名付けられたセクシュアリティ、「ノンバイナリー」や「アセクシャル」は、性的マイノリティの中でもよりマイノリティ性が高いと言われています。新しさゆえ、名乗りをしている人も少ない

          孤立しやすいかも?バイセクシュアルを考える

          LGBTQ+の「自殺リスク」が高い理由

          先日、精力的に性的マイノリティへのサポート活動を行う「アライ」の方と、性的マイノリティの健康について話すことがありました。 アライ(Ally)とは、セクシュアルマイノリティの人々を理解し、権利向上や啓発などで支援しようと行動する人々を指すものです。 その方も非常に楽しげに、しかし熱心に活動を行う様は頭が下がるものがあります。 しかし、お話しする中、ちょっとした言葉選びが気になってしまったんですね。私がその方の何に気になったのか、考えてみることにしました。 LGBTQ+

          LGBTQ+の「自殺リスク」が高い理由

          日記2・声をあげていいのは「間違えのない人」だけではない

          最近、精神的な不調を感じています。きっかけは、1週間ほど前の取引先との条件交渉の決裂で、大したことではありません。 しかし、交渉決裂で、一つ後悔して仕方がないことがあります。それは、性的マイノリティ性を交渉の材料に出してしまったことです。 配慮が足りないと言ったことを伝えてしまったのです。何もそのクライアントは、性的マイノリティ性にだけ無神経だったわけではありません。 あらゆる段取りや対応に納得いかなかったわけですが、配慮が足りないのは、わかりやすいかなと思い、特に深く考

          日記2・声をあげていいのは「間違えのない人」だけではない

          日記1・法律と手術

          先週、タイでの性別適合手術のアテンドを生業としているトランスジェンダー男性の井上健人さんの講演会を聞きに行ってきました。 性別適合手術とは、乳房や生殖腺の切除や外陰部の形成など、外科手術による性別移行全般のことです。 戸籍上の性別のためだった手術が減った最近では保険適応できるようになったことで、国内でも手術事例は増えつつありますが、基本的には自費診療のため、手術例が多く、安全で安価なタイでの手術をする人が多数を占めていました。その手術旅行の手配全般をサポート、アテンドを生

          日記1・法律と手術

          偏見はなくせない。だからこそ、自覚することが大切

          男性として認識されると思わぬ困難があるのか、と気付いたことがあります。 それは私が女性・性的マイノリティ差別をするのではと警戒をされる対象になったということです。 自分の心を守るため警戒して見てしまう私自身にも、男性に対して「どこまで分かってんのかな?」と穿った目で見てしまう傾向があります。人生に悩んでいた際、先進的な価値観を持ち、どんな人にも寄り添えると信じていた年配の男性から「女の幸せは男を支えること」と真顔でアドバイスをされたことがあるからです。そんな経験からのまず

          偏見はなくせない。だからこそ、自覚することが大切