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「LGBT当事者」とは「誰」か

最近、SNSを覗いていたら、ゲイの方がトランスジェンダーについて「当事者」として語るというものを目にしました。その「当事者」は本当に「当事者」なのか?ちょっと考えてほしいと思い、この文章を書くことにしました。

そもそもLGBTとは?

ニュースで取り扱われたり、学校によっては教材などでも「LGBT」という言葉を習うこともあり、見聞きしたことがある人は多いと思います。知っている人にとっては、説明するまでもありませんが、

  • L…レズビアン(女性を恋愛、性的に好きになる女性)

  • G…ゲイ(男性を恋愛、性的に好きになる男性)

  • B…バイセクシュアル(男性も女性も恋愛、性的に好きになる人)

  • T…トランスジェンダー(出生時に割り当てられた性別とは異なる性別のジェンダー・アイデンティティ(性自認)を持つ人)

の略称で、社会の中で、ジェンダー(性的)特性によってマイノリティとして扱われる人々が団結した状態を表す言葉と私は理解しています。

「マイノリティ」とは数だけの問題ではない

ここでいう「マイノリティ」とは、単に数が少ないというだけでなく、そのジェンダーの特性を理由不当な扱いを受けたり、不利益を被っている人です。

具体例を挙げれば同性同士で法律上の婚姻が出来なかったり、それに伴って、同性カップルが賃貸契約がしにくかったり保険の契約ができなかったり、などですね。

もちろん、数も少ないです。LGBTすべて集まっても1割程度と言われているわけです。トランスジェンダーでいえば、全人口の1%前後とも言われます。

そこまで数が小さいと、どんな不当な扱いを受けていても、「あなた個人の問題でしょ」と一蹴されてしまいます。というよりも、一蹴されてきたわけです。そんな状況を打破しようと、「セクシュアルマイノリティ」が団結して、社会に不当性を訴えようとなり、つけられた名前が「LGBT」なわけです。

(「LGBT」という言葉の発祥は、アメリカから市民運動(ストーンウォール事件)からと記憶していますが、正確には把握していないので、調べてまたわかればまとめたいと思います。)

LGBは誰を好きになるか、Tは自分の性の捉え方

上記の説明をみて、気がついた人もいるかもしれませんが、LGBは「恋愛、性的に好きになる性別」、性的指向に焦点があり、Tが「自分自身の性をどう捉えているか性自認が焦点となっています。

ここでわかってほしいことは、それぞれの特性を持つ人たちは、お互いにしんどい思いをしていることはわかっていても、「お互いよくわかっていない」ことも多い、ということです。

「LGBT」を「高校生」に置き換えて考えてみると?

いきなりですが、こんな例え話にお付き合い下さい。

冒頭で「LGBT」は団結を表す言葉とお伝えしました。他で言い換えれば、「高校生」みたいなものです。

現在の日本では、10代の若者は多くはありません。そんな彼らが社会になにかを訴えるために「我々高校生は」と訴えているようなものと想像してみてください。

GにTのことを聞くのは野球部に演劇部のことを聞くようなもの

当然ながら高校生の中には、色んな人がいますよね。私は個別のLGBTとは、部活のようなものだと感じています。なので、「ゲイ」を「野球部」「トランスジェンダー」を「演劇部」としたら、野球部高文連の演劇部門で最優秀賞を取るコツを聞いても、答えられる野球部員がどれだけいるのでしょうか。

そもそも高文連(全国高等学校総合文化祭)という文系の部活の全国大会がある事自体知らないではないでしょうか。

高校生には皆同様の悩みや葛藤があるでしょう。しかし、具体的になればなるほど、お互いが何に悩んでいるかわからないものです。それは、LGBTでも同じです。

LGBTがオーバーラップすることはある

もちろん、部活を兼部する人がいるように、LGBTがオーバーラップすることはあります。

私は自己紹介で、「FTMゲイ」という言葉で自分のアイデンティティを説明しました。ホルモン治療を始めて、男性と認識されるようになってから、ゲイの葛藤を味わうことになったのです。

それ以前までは、好みのタイプを聞かれても男性から女性に変換して考えなくても、素直に口に出して生きてこれました。

男性として認識されるようになってからは、好みのタイプやパートナーの性別を男性から女性に変換して口に出しています。同性婚が認められていない以上、男性と結婚してるとバレては、その瞬間に自分の性に関するプライバシーを全て説明しなくてはならなくなります。

女性置き換えて違和感がないよう考えるのは、想像以上にしんどく、緊張感があります。

逆に、女性を好きであれば、「T」のアイデンティティを持つ人でも、「L」の気持ちを理解できる部分があるのかもしれません。

また、バイセクシャルの人も、出生時に割り当てられた性別によって、ゲイかレズビアンと共通する悩みを持っているのでしょう。

LGBTはそれぞれ個別の葛藤を抱えていますが、切り離すことはできないものなのだと私は考えます。

すべての性は「人による」。個別性を大事に

LGBT当事者でなくても、性のあり方は人それぞれです。女は感情的だとか、男は浮気すると言われたら「人によるだろ」と分かると思いますが、LGBT当事者だって、同じです。人によります

カタカナやアルファベットも多いですし、多くの人にってLGBTは、なんだかよくわからないものでしょう。しかし、誰にとっても「性」は身近なもので、奇妙で興味をそそられる話はたくさんあるかと思います。

私のこの文章だって、私個人の経験を根ざして語っているものです。LGBT、いえ、LGBTQ+すべての人を網羅したものでは断じてありません。あくまで、私の考えです。

特定の誰かの言葉で「LGBT当事者」像を固めることなく、フラットに情報に触れていただければと幸いです。

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