映画「心が叫びたがってるんだ。」/なぜ成瀬はしゃべれるようになったのか?
先日、自分の投稿したAmazonレビューがすべて消えていた。悲しいけど消すのはAmazonの自由だ。Yahoo映画への投稿レビューもいつ無くなるかわからないから、過去に投稿した内容をNoteにも書いておく。(2019/10/28投稿内容の自分用備忘録)ちなみにこの映画は「大人になってもアニメは面白いんだ」と気づいた思い出深い作品。
なぜ、あそこから成瀬はしゃべれるようになったのか?
そこには深いわけがあると思う。(たぶん)
ポイントは、幼い成瀬が抱えた「本当の問題」って何だったのか?
自分のせいで両親が不仲になっていくけど、なにもできない。
幼い成瀬は「大切なものを守れない無力さ」に深く傷ついていただろう。
そして、父親の「おまえのせい」発言。致命傷だ。
ここで玉子が現れて言う。すべて「おしゃべり」のせい。
だから「おしゃべり」を封印すればいい。
でも、おしゃべりのミスは「あっちゃー」って話だ。
その後に何もできなかったことの方が本当に辛かったはず。
だから「本当の問題」は「無力な自分」。
だけど、そんなのどうすればいいのか分からないから
「本当の問題」の苦しみから逃れるために
「しゃべれない症状」が生まれたのだ。
でも、しゃべらないことは母親を苦しめた。
成瀬の中に「母親に本当に伝えたいこと」が溜まっていく。
それでもしゃべることはできない。破裂しそうだ。
そんなときに、坂上と出会い、恋愛感情という勇気を得て、
母親に伝えようと格闘を始める。
が、突然失恋を知らされ、再び玉子が現れる。
ここで「しゃべれない症状」は消える。なぜか?
それは症状が「役立たず」だと分かったから。
自分を守ってはくれなかった。
症状という逃げ場を失った成瀬は、打ちのめされる。
打ちのめしているのは失恋じゃない。
これまで逃げていた「自分の無力さ」だ。
おしゃべりのせいにしないと、どうしたらいいのか分からないヤツだ。
坂上が城に来る。でも、今の彼に助けられるのか?
坂上自身だって疑っている。勝ち目などないのでは。
でも、もちろん奇跡は起こる。
坂上にも「無力さの深い傷」があった。
「伝えようと格闘する成瀬の姿」がそれを癒していた。
それが「無力でない証明」となって成瀬の傷を癒すのだ。
蛇足ですが、自分に響いたことのメモ。
・辛い出来事は「逃げていたことと対決する時」の知らせかもしれない。
・誰かを本当に癒すことができたと確信すること、は無力感に打ち勝つための、ほとんど唯一の方法だ。
・「どうすればいいか分からない問題」に対しては、直接向き合えなくても、本気でジタバタすると良い。成瀬が問題を克服したように。