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Photo by
yamamoto15
【毎週ショートショートnote裏お題】真夜中万華鏡
真夜中、妖怪小豆あらいは一人の少女と出会った。
少女はうずくまって泣きそうな顔をしていた。
みると足を挫いている。
小豆あらいは、少女を背負い、家に送ってやった。
少女は何度も御礼をいい、庄屋の家の門をくぐった。
それ以来、小豆あらいは胸が苦しい。
妖怪と人間、それも庄屋の娘、叶わぬ恋であることは重々分かっていた。
それでも止められない。
深夜、人目を忍び、逢瀬を重ねた。
それは真夜中万華鏡のように一刻一刻が夢のように煌めいていた。
『会うのを最後にしないと』
娘の縁談が決まったと聞いた。
小豆あらいは、丁寧に洗った小豆を持参し、泣きながらそれを手渡した。
「心を込めて洗いました。これで赤飯を作って下さい。結婚おめ……グスッ」
「結婚? 誰がです?」
娘がきょとんとしている。
「……貴女が、結婚すると、噂で」
「それは庄屋の娘の話です。私はあの家の座敷わらしですから」
……え?
座敷わらし?
では妖怪だったのか。
ならば何の障害もない。
「僕と結婚してくれますか?」
「はい、もちろん」
小豆あらいは、ぎゅっと座敷わらしを抱きしめた。
星々が万華鏡のようにキラキラと輝いていた。
(490文字)
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