【毎週ショートショートnote】リベンジトリートメント
点Rは悩んでいた。
片想いの相手、点Pが冷たい。
私と会うときはいつも一瞬。いつも無愛想。
去るときは、宿題が終わった小学生のように足取りが軽くなる。
*
ある日、私は点Pのあとを追った。
点Pがいそいそと最短距離で向かった先には、点Qがいた。
『負けた』
私はきつく目を瞑った。
点Qは、まろみのあるボディ(O)にピョンと跳ねた髪が可愛い女の子だ。
点Pは目尻を染めて柔らかく笑っている。
……ああ、あの子に恋をしている。
悔しい。
悲しい。
どうして私じゃないんだろう。
胸が締めつけられ、泣き叫びたくなる。
ぐっと歯をくいしめる。
負けたままでいるなんて性に合わない。
点Pが以前戯れに言った言葉を思い出す。
「キミと僕は形が似てるね。ほらPとR。あ、でもキミには長い髪があるから違うか。キレイだね」
よしトリートメントをしよう。
貴方がキレイだと言った髪で、必ず貴方を振り向かせてみせる。
だって私は点R。
REVENGERのR。
(409文字)
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先週のお題『海のピ』の続編、みたいな?↓