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ボーダレスにつながる身体。 五感で感じるteamLab Planets TOKYO(豊洲)

有楽町線新豊洲駅から徒歩10分、ゆりかもめ豊洲駅の目の前にteamLab Planets TOKYOはある。2020年秋までの期間展示だ。巨大空間でチームラボの作品にたっぷり没入できるなんて、聞いただけでもワクワクする。果たしてその全貌はどのようなものか。その体験のレポートを通して、チームラボの魅力に迫りたいと思う。

まずはチケット。事前に希望入場時間別の前売券をオンラインで購入する。当日券もあるが事前購入が混雑時の待ち時間がなくスムーズだ。
会場に着くと入場待ちの列にならぶ。入り口付近にはレストランとドリンクスタンドもある。
ここで首から下げる防水スマホケースを配られる。これには二次元コードが印刷されている。入場までに待ち時間があったら、二次元コードからアクセスしteamLab アプリをダウンロードしておくといい。会場内の2つの作品はこのアプリを使ってインタラクティブな反応を楽しむことができる。

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いよいよ入場。簡単な説明の後、ロッカールームに誘われる。そこでスマホ以外の荷物を預け、裸足になり作品に向かう。
作品には、ふくらはぎ位まで水に浸かる場所がある。だから膝までパンツの裾をロールアップしたり、そのための衣類に着替える。持参しなくても無料でハーフパンツを貸してもらえるから安心だ。しかし正直このレンタルパンツのデザイン、イマイチな気が…。微妙な丈感だし…。会場は撮影OKなので、自分が写り込んだ画像をSNSにアップしたい人は、衣類持参の上、臨んだ方がいいかも。会場は鏡面の床が非常に多い。スカートやワイドパンツで行く女性はくれぐれも注意して欲しい。膝丈くらいのスカートの中にレギンスやハーフパンツという女性を結構見かけた。慣れてる感ある。

気がついたことがある。カップルが多いのだ。ファミリー層や観光客は少ない印象を受けた。子供連れのファミリー層はキッズ向けプログラムのあるお台場 ボーダレスに行っているのか。その理由はすぐに判った。ピッタリ密着してゴロゴロできる空間があるからだ。22時まで営業しているのも大人のデートニーズに応えるものだろう。
もちろん、友達や1人で来ても楽しめる。
日常を離れて、その世界観にどっぷり浸かると、かなりリラックスできること間違いなしだ。


坂の上にある光の滝 / Waterfall of Light Particles at the Top of an Incline

あたたかい踝くらいの水位で水が流れる薄暗いスロープを登る。その先にあるのは光輝く一筋の滝。いつか見た夢のような、心象風景のような、神秘的な作品だ。遺伝子に組み込まれた原始体験を思い出すような不思議な感覚を味わった。 

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渡されるタオルで足を拭いて次の展示へ。
各作品間にはスポットライティングのあるほの暗い通路がある。床の食感がところどころ変化があり、裸足の身体に様々な刺激を訴えてくる。

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やわらかいブラックホール - あなたの身体は空間であり、空間は他者の身体である

柔らかな凸凹した床を持つ黒い空間。ここは思わず笑ってしまった。二足歩行では前に進むのが難しい。周りの入場者もきゃっきゃっとはしゃいでいる。思わず童心に帰ってしまう作品だ。四つん這いになって空いているスペースに倒れ込んだ。寝転ぶと身体の形状に床がフィットして、気持ちいい。しばしウトウトまったりしてしまった。

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The Infinite Crystal Universe(ジ・インフィニット・クリスタル・ユニバース)

圧巻だ。過去に類似の展示を銀座で見たことがあるが、スケールも純度も格段にアップしている。天井から下げられたチューブに無数のLEDライトがつけられ、キラキラと輝く光が雨のように降り注ぐ。床も壁も天井も鏡なので、無限にひろがる宇宙空間のように感じられる。
このスペースではteamLab アプリから「宇宙の構成要素」を飛ばして、作品のインタラクティブな変化を楽しむことができる。この機能は以前のものより圧倒的に進化しており、自らが起こすこの巨大装置への干渉を十分楽しむことができた。

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人と共に踊る鯉によって描かれる水面のドローイング / Drawing on the Water Surface Created by the Dance of Koi and People - Infinity

ここでいよいよ足はどっぷり水に浸かる。水温は人肌くらいに温かいのでちょっと足湯気分だ。広い空間の半濁の水面に無数の鯉と花が動き回る。鯉や花は人の動きによって変化すると聞いていたが、あまりそれを体感することはできなかった。時折、水面はカラフルな無数の光の帯に一変する。一面が色彩の海となり、その光景に息を呑んだ。

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冷たい生命 / Cold Life
冷たい生命は以前、美術展で見たことがある。それをバージョンアップした作品だ。ここの水温はちょっと冷たい。
DNAを連想させる螺旋状の生命の樹。そこから四季折々の命がゆっくり育ち、やがて宇宙全体に広がっていくような詩情あふれる作品。水鏡に映る様も幻想的だ。

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意思を持ち変容する空間、広がる立体的存在 - 自由浮遊、3色と新しい9色

無数のバルーンが浮遊し、人にぶつかり色彩を変化させていく。バルーンの色彩のグラデーションを楽しみ、触れ、遊ぶ、そんな作品だ。正直言うと、個人的にはこの作品にはあまりハマれなかった。他の作品に比べ単調な気がしたからだと思う。

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Floating in the Falling Universe of Flowers(フローティング・イン・ザ・フォーリング・ユニバース・オブ・フラワーズ)

プラネタリウムのような鏡面のドームに四季折々の花々が咲き乱れ、流れながら散っていく。寝転びながら見ていると、その世界に引き込まれ飽きることがない。気がつくと、春夏秋冬の花々の変化を2年分見てしまった。ここでもteamLab アプリから作品に干渉することができる。 アプリから「蝶」を飛ばすと、作品にその蝶が出現する。

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チームラボの魅力は五感をフル稼動させる体験にある。感覚を研ぎ澄まし、日常の中で忘れていた感情を呼び覚ます。鑑賞者はその感覚に埋没し、意識を解き放つ。楽しい、美しい、気持ちいい、そんな感じだ。
それが大人の遊園地たる所以だろう。(もちろん子供も楽しめる。子供は綺麗や不思議が大好きだし) 

2010年頃からアート作品を発表しているがチームラボ。チームラボの作品を目にした当初は観る作品、つまり展示型の作品もそれなりにあった。 当時から鑑賞者とのコミュニケーション要素をもつ、インタラクティブな作品作りを始めていた。
チームラボの作品は鑑賞者の体験深度を上げながら、巨大化し、完全なる身体没入装置となった。時には周囲の自然環境をも取り込みながら。
その圧倒的な存在感は、脳内で言語化する前に鑑賞者を異次元体験に誘う。自己のもつ根源的な他者や世界との繋がり。その関わりを深く身体感覚から訴えてくるのだ。
アートが人や社会環境にどの様なインパクトを与えられるのか、それは作品作りの根幹とも言える部分だ。チームラボの作品は現代美術の小難しいコンセプトメイキングを軽々と凌駕し、誰もが無条件にその世界を感応しうるエンターテイメントに昇華させた。 

この先、チームラボが向かうのはどこか。それは現在チームラボが手がけるプロジェクトそのものにその答えがあるように思う。様々なビジネス・商業シーンやエンターテイメントで、また医療、介護、福祉、教育などの社会的問題へのアプローチとして、活動の幅は無限に広がっていくだろう。
チームラボのボーダレスな活動そのものが、社会というフィールドで成長し続けるアート作品のように思えてならない。 

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